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三田学院

[2017年2月3日]

都立中作文のパターンとスタイル

都立中が共同作成問題形式になった平成27年度から、適性検査?の出題にパターンが見られるようになった。今年の問題は分析中だが、昨年と一昨年は次のようなパターンであった。

適性作文(小論文)は、問題と解答条件に正しく向きあい、適切に解答しないと得点できない。それぞれの設問(問い)の「様式」(パターン)に合わせ、「型」(スタイル)を適切に選択する必要がある。

共同問題:小石川、武蔵、富士、大泉
文章1、文章2を課題文として出題し、問1と問2で、それぞれの要旨を問う。問3で、受検生の意見を400字程度の作文(小論文)形式で書かせる。問1と2が各20点、問3が60点だ。正確な読解力と表現力がともに試される。要約問題40点を確実に得点できるかどうかが第一関門だ。要約問題で失点が大きいようだと、作文でも論点ズレとなる可能性が高く、合格から大きく後退する。

年度により問題の難易度が若干違うが、小石川の場合、問1・2合計で70%以上の得点率(28点以上)、問3で60%以上の得点率(36点以上)なら、100点中64点以上となり、適性?・?で各60%以上を確保(合計184点)できれば合否ラインを超えられるだろう。適性?で80%以上の得点率なら、適性?・?は各52%以上の得点率(合計184点)でもギリギリ合格だろう。小石川の適性?の大問2と適性?が得点しにくいのに比べ、武蔵は若干得点しやすいので、合計で200点前後以上を目指したい。

独自問題:両国
文章1、文章2を課題文として出題し、問1から問4程度で、読解に関する設問を設け、受検生の読解力を細かく見る。最後に、受検生の意見を350〜400字程度の作文(小論文)形式で書かせる。問1から4が40点、作文が60点だ。正確な読解力がないと突破できない。小石川などに比べ、私立4科型入試との併願者が少ないが、難関私立中の国語の入試問題を解いて高得点できるなら、読解力部分の問1から4でも得点できるはずだ。

独自問題:桜修館
写真、詩、図などを課題とし、受検生の意見を500〜600字程度の作文(小論文)形式で書かせる。配点は100点だ。出題意図(テーマ)を読み取る高度な着眼力・発想力・分析力と表現力が必要だ。課題文を読む時間が必要ないか短い時間で済む分、作文の字数が多い。解答条件が最も緩いが、訓練を十分に積んでいない受検生にはかなりの難題だ。ただし、換算比率の関係から、適性?の出来具合の方が合否には重要だ。適性?の大問1が要注意だ。

独自問題:白鷗
課題文が1つか2つ出題され、問1と問2で、それぞれ50字から100字程度で要旨や作者の意図などが問われる。問3で、受検生の意見を400から500字程度の作文(小論文)形式で書かせる。問1と2が各20点、問3が60点だ。共同問題に近い出題形式だが、共同問題とは課題文が違い、問1・2・3ともに字数が多い。読解力と表現力の高い力が求められる。都立中の中では最も難しいが、その分、受検生の平均点が低くなり、得点分布が大きくなりやすいため、適性作文の得点力が高い生徒には断然有利だ。

独自問題:九段
文章1(物語文)、文章2(論説文)を課題文として出題し、文章1では問1と問2で、読解力を問う。文章2では問1〜3で、読解力を問い、問4で受検生の意見を200から240字程度の作文(小論文)形式で書かせる。物語文を出題するなど、独自色が強い。私立難関校の国語に近い印象だ。毎年のように、課題文の本数や種類、設問の仕方が変わるので、出題パターンがもっとも予想しずらいが、難関私立中にみられる記述式問題の多い受験国語の対策と若干短めの適性作文演習を積めば突破できる。適性?・?も含め都立に比べやや平易で受検生の得点率が高くなるので、全体として男子75%以上、女子80%以上の得点率がないと合格は難しい。

志望校別に取るべき対策が違うことが、お分かりいただけるであろう。行き届かない作文指導では合格は期待できないのだ。