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三田学院

[2017年2月20日]

美辞麗句

受験シーズンの終わりが近づいている。

生徒大量募集&大量不合格で業績好調な大手塾は、不合格者をなぐさめる美辞麗句にも長けているようだ。次のような言葉かけをしているらしい。

・あなたの頑張りを忘れない!
・あなたは合格者よりも大切なことを学んだ!
・貴重な体験を胸に新たな出発を!

なかなか上手な「顧客対応」だ。そう、彼らのほとんどは企業戦士でありビジネスマンなのだ。中小塾なら、商店経営者であり商人ということになろう。

不合格者やその保護者は救われた気持ちになれるのかもしれない。しかし、よく考えてみてほしい。これらの言葉に込められた本当の意図は何かということだ。

不合格になったのには原因がある。これまでに何度も書いてきたが、次のようなことになろう。

?合格に必要な内容を入試までに学び終わらなかったこと
?合格に必要な力が入試までに備わらなかったこと
?合格に必要な心構えが入試までにつかなかったこと
?合格に必要な諸準備を入試までに行わなかったこと

何が言いたいのかというと、「不合格になった人は、不合格になった理由や原因を明らかにし、しっかりと反省し、同じ過ちをふたたび犯さないためには、今後どうしたらよいかまでを考え抜いて、はじめて不合格から学んだことになる」ということだ。

私が不合格者にかける言葉はいささか厳しいものだ。

「よく頑張ったね」とは言わない。これは合格者にかける言葉だからだ。不合格者のほとんどは、頑張らなかったわけではないが「頑張りが足りない」。本来なら、頑張りが足らなかった人に「よく頑張ったね」と声をかけてはいけない。反省の機会や、成長の機会を奪いかねない。

「残念だったね。どうして不合格になったと思う。」と聞く。反省を促し、次は不合格にならないようにしてほしいからだ。

ところが、不合格者の多くは反省しない。不都合な真実から逃げようとする。原因は自分にはないと考えたがる。茶化して深刻に受けとめようとない。または、新たな出発だと称して忘れ去ろうとする。これでは、不合格から学ぶことはない。成長は期待できない。

・不合格にもかかわらず、深く落胆しない人。
・不合格にもかかわらず、すぐに次に進める人。
・不合格にもかかわらず、真剣に反省しない人。
・なぐさめてもらえず、そのことで悲しむ人。
・理由や原因を指摘しても、素直に聞き入れない人。
・不合格の理由を、自分の行い以外に求めようとする人。

そうした人を信用できない。なぜなら、また同じことを繰り返す可能性が高いからだ。

合格を目指して全力で取り組んだ人なら、不合格には納得できず、深く落胆するはずだ。そして易々と次に向かって進むことなどできないはずだ。

反省するには月日がかかる。合格できる人になるのは簡単なことではない。辛いことから逃げてはいけない。成功は深い自己反省のなかからしか生まれない。

美辞麗句を期待するのなら、ビジネスマンや商人の運営する塾に通えばよい。

そして、美辞麗句をお金で買えばよい。