[2017年2月23日]
「3時間の壁」を読んでいただいた方で、誤解をされている人が少なくないようなので補足する。
「時間ありき」ではないといういことだ。
無理やり「3時間」の勉強をしても効果は上がらない。特に小学生は効果がない。むしろ勉強嫌いを生んでしまう。自ら進んで「3時間」の勉強ができるようにならなければならない、と解釈してほしい。
もちろん簡単ではない。
?まず、学校や塾の学習内容が十分に理解できていないと、ただ苦痛でしかない。
?理解できない原因は、必ず過去にある。
?過去の原因を見つけ出し、確実に解消する必要がある。
?焦らずに、原因までさかのぼって、しっかり解消することから逃げてはいけない。
?無理に、理解できない内容を理解しようとしてもいけない。原因を潰してから考え抜くようにしよう。
この原因解消は、学校授業をしっかり聞いているだけではできない。原則として新しい内容を学ぶからだ。同じ理由で、クラス形式の塾授業でも解消できない。無理についていくと壊れてしまうので注意が必要だ。
家庭教師か個別指導にしかできないだろう。
積み残しが解消するにつれ、自宅学習はさほど辛くなくなる。塾授業で新しい内容の学習をドンドン進め、自宅では復習による定着を徹底して行えばよい。理解できている内容だから、定着させることは難しくないはずだ。理解できていない内容は定着しない。
「追加の問題集」などを解くのが良いと考える人がいるが、その必要はない。まずは塾の学習内容の徹底復習だ。これができたら、追加の問題集に手を出しても良いが、できているなら先に進むことを優先してほしい。必要な学習範囲を時間的に終えられなくなるリスクにつながるからだ。
・要点まとめノートの作成
・解法ノートの作成
・解き直し
・暗記用カードの作成
これを徹底して行うだけで、かなりの勉強時間になる。
低学年では、時間を置いた解き直しをするだけでも十分効果がある。中高学年では、ノート作成を徐々に充実させて行こう。これにより理解がしっかり進み、定着も確実に進む。ドンドン「勉強できる子」になっていく。
テキストや教材は、新しいものには手を出さず、完璧に仕上がるまで繰り返し学習しよう。これが王道である。勉強が得意でない人にも効果絶大だが、実は勉強が得意な人ほど繰り返し学習をしっかり行っている。
テキストや教材は、最低3回繰り返してほしい。5回できればほぼ完璧だ。7回やればもう二度と忘れないだろう。繰り返し方は各回で違う。説明すると長くなるので省略する。塾生には指導していることだ。
これを実行するだけで、1日3時間の勉強時間はあっという間に過ぎる。足らないと感じるようになるだろう。
3時間の勉強時間が達成できないという人は、そもそも「勉強の仕方」を分かっていないのだ。
この「勉強の仕方」は、高校や大学受験でも威力を発揮するぞ。
追伸
理解できていないのに、理解できたことにして(理解できた気分になって)先へ進む人は受験で必ず失敗する。クラス授業を行っている大手進学塾や、テレビ広告を行っている個別指導塾の出身者に多く見かける。
この「悪癖」がついてしまっていることに、本人も保護者も気がついていない。これに「大手信仰」のようなモノを感じることがある。別の言い方をすれば、大手以外をバカにしているように感じるということだ。大手進学塾の進め方と違うことを不審に思う人もいる。
この「悪癖」は矯正が容易でない。というより、もはや無理だと感じることが多い。大手進学塾や大手個別指導塾からの転塾組をお断りしたくなる理由はここにある。大手でついていけなかった人に、修繕不能なまでに(勉強について)壊れてしまった人が少なくないのだ。壊れたくなければ、余裕で授業についていける人以外は、大手進学塾には通わないことだ。お金を貢ぐことになるだけでなく、壊れた受験生になってしまうリスクがあるからだ。
また、教えたがり屋が多く、わからないと実質的に答え(解き方も答えだ)を教えて次に進む、つまり考えることを指導できない大手個別指導塾も危ない。見事に思考できない子に育て上げてくれる。勉強できる子にならない。
子供はいつまでも熱い鉄ではいてくれない。失敗すると期待していた姿とは違う形で固まってしまう。もはや修理不能だ。そうした塾にわが子を入れる親も、たとえ動機はなくても、実は子どもを壊す実質的な共犯者だ。そのことに気がついていない人が実に多い。どういうことかは機会があればいつか詳しく話そう。話せば、それだけで気分が悪くなるから、今日はこの辺りでご勘弁願いたい。
私は壊れた子の修理屋ではない。街の小さな修理工場ではない。勘違いしないでほしい。壊れる前の子でないと順調に伸ばしてあげられない。当たり前でしょ。
壊れた子は、見た目で分からなくても、どこかでガタがきて動きが悪くなる。一見順調に伸びているようでも、いずれ故障する。小6途中で失速する、入試直前で失速する、と言うようなことが起こる。2年ほど前にも書いたが、大人顔負けのストレス症候群を発症したような状況になったりもする。
大手で完全に失敗してから来る。大手で勉強しない子になってから来る。もう手遅れでしょ。しかも、壊したのは私ではないのだから文句を言われても困る。そもそも文句を言う先が違うでしょ。壊れてなければ転塾してきても引き受けるが、しばらく指導しただけでは見分けがつきにくいこともあるので厄介だ。ストレスがかかっって初めて本性が見えてくることがあるのだ。不良債権を隠し持っている金融機関や大手優良企業と同じだ。見かけは健全なのに、実質債務超過ということだ。見かけだけの優等生だ。入塾審査でストレス・テストが必要なのかもしれない。
地元公立中学で学年1位まで登り詰めた子も、今年の入試で小石川に合格した子も、このような転塾組ではない。初めての塾として選んでくれた子たちだ。しかも、小学生の時に時期を逸しないで選んでくれた。もちろん、転塾組にも同じように誠心誠意指導するが、なかなか指導に忠実に従わない(従えない)、「悪癖」を引きずっている子が多い。それが勉強だと「信仰」しているかのようだ。大手を辞めてもマインド・コントロールがかかったままなのだ。そして受験で失敗する。「悪癖」の祟りは実に恐ろしい。
指導に従わないということは、指導に従わせないということは、指導者をバカにしているということと同じではないのか。こどもの好きなようにさせる、そんな教育があるのか。こどもは適切に訓練してこそ育つものでしょ。
学年1位の子にも、小石川合格者にも、その保護者にも、そんな不遜な態度や姿勢は微塵も見られない。これが大きな違いにつながって行くのではないか。