[2017年2月27日]
私立中高一貫に入学すると指導が手厚く目が行き届くのでお得だ、という意見がある。
しかし、学習指導、特に大学受験指導はそうとは言い切れない。
私立御三家では学習塾や予備校通いが常識だ。国立大学付属校(筑駒、筑附、学大附属、お茶大附属)は受験勉強は生徒まかせがほとんどなので、学習塾・予備校が必要になる。
実は私立や国立の進学校に進むと授業料に加えて塾代がかかるのだ。私立大学付属校なら塾に通わず頑張る道もあるが、大学が私立だから、さらに高い学費がかかる。
費用を抑えたいなら、ご存知の「公立路線」だ。
・公立中学+公立高校
・公立中高一貫校
もう一つお得なのは、私立中高一貫の特待生だ。
・私立特待生(6年特待)
公立中学+公立高校からだと大学進学で国公立に現役合格が容易でない。公立中の緩い学習内容で3年間を過ごしたために、高校3年間での挽回が厳しくなる。難関大学を目指すとなると、浪人を覚悟しなければならない。浪人すると予備校代がかかる。
一番お得なのが、「公立中高一貫校」だ。特別予算が配分されていて、大学受験指導もしっかりしてくれるので、高3の1年くらい予備校に通えば済む。予備校なしでも大丈夫な人もいるだろう。ただし入学試験を突破できるのは一部の人のみだ。
次にお得なのが、「私立の特待生」だ。6年特待を出すところもある。授業料や入学金などが無料となるケースがほとんどだ。私立学校が生き残りをかけて大学進学実績の積み増しを狙っているので、当然に受験指導に熱が入る。選抜クラスを編成している場合がほとんどで、しかも限られた人数だから、目が行き届く。手厚い指導を期待するなら「私立特待」がお勧めだ。年次審査がある場合がほとんどなので、中だるみのリスクも小さい。ただ、常にムチが入るだろうから覚悟が必要だ。事前の学校調査はしっかり行いたい。
難点は、特待生か否かは外部からは見分けにくいので、実力より下の学校にしか合格しなかったのね、と周りから思われるかもしれないということだ。ただ気にしなければ良い。
もう一つの難点は、一流企業難度では出身高校も採用基準にしているので、難関大学に合格し卒業できても、就職活動で目に見えないフィルターにひっかかる可能性がある。大企業就職を目指すなら、高校から名門を選んだ方が安全だ。その点では、都立中高一貫の両国と小石川、都立高校の日比谷と西に軍配が上がる。
節約できた資金は、大学以降の学費や生活費に充てよう。奨学金を借りると借金になる。奨学金を借りると、わが子を借金漬けで社会に送り出すことになる。アルバイト漬けでは学業がままならない。アルバイトが良い社会経験になるとは限らない。入社試験でも評価されない。大学生の本分は学業だ。学業が疎かになっては本末転倒だ。大学に進学した本来の意味が失われる。
「奨学金」=「学資ローン」=「借金」だ。そう思っておかないと後悔する。
・理工系や医歯薬系なら大学入学後も社会に出るまで6年かかる。
・文系でもビジネススクールやロースクールに通うと6年かかる。
この費用も忘れてはいけない。
大学や大学院の学費や生活費を含めて、教育費の計算ができていますか?
私立中に進んでも、実は国立中に進んでも、結果を出すには塾代がかかる。
公立中に進む場合でも、小学校中高学年や中学での塾代をケチればそれなりの高校にしか進めない。国公立大学や難関私大には進めず、多くは学費がかかるだけで評価の芳しくない私立大か、私立大なみに費用の高い専門学校に進むことになる。高収入で安定した職業や一流企業の幹部候補生などに就くことが容易でなくなる。
生涯賃金の損失見込額は、節約できたと思った塾代を、桁を超えてはるかに上回るのではないか。