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三田学院

[2017年4月28日]

都立中がムリでも、国立大附属中がある!

躍進が続く都立中。

意外に話題にならないのが、学大附属中(東京学芸大学附属中)との比較だ。

かつて、2月3日といえば国立大学附属の日であった。超難関で一般人には全く歯が立たない「筑波大学附属駒場」と「筑波大学附属」を除けば、人々の注目は「東京学芸大学付属校」に集中していたはずだ。

しかし、今は、明らかに「都立中」の日となった。

興味深い資料をご紹介しよう。有名老舗中学受験専門塾である四谷大塚の偏差値ランク表の“変化”だ。今回は「女子」のみ比較表を掲載した。男子で比較しても傾向に変わりはないが、「お茶の水女子大附属」とも比較できて、さらに興味深いからだ。以前から、今回とは違う分析をもとに指摘していたことだが、「小石川」と「武蔵」の女子の難易度は、ほぼ「お茶の水女子大付属」と並んだことが、ここでも確認できるだろう。

<2017年入試結果(女子)>・・これが今の姿だ!

68 筑波大学附属(国)
67
66
65 お茶の水女子大附属(国)
64 小石川中等、武蔵高校附属
63
62 両国高校附属、桜修館中等
61
60 大泉高校附属、九段中等B
59 白鴎高校附属、学大世田谷(国)
58 富士高校附属、学大竹早(国)学大国際中等B(国)
57
56 学大小金井(国)

*出展は四谷大塚HP(http://www.yotsuyaotsuka.com/njc/deviation_top.php)
*「しゅともし」の場合は上記値に+3〜+5すれば偏差値が一致するだろう。
*「学大国際中等B」は「旧学大大泉」。四谷大塚の偏差値ランク表にないため弊社推計値。

東急東横線で、「学芸大学駅」と「都立大学駅」と隣り合う駅に立地する「学大附属(ただし高校)」と「桜修館中等(旧都立大附属)」。中学入試に限って言えば、今や「桜修館」の方が格上になってしまったのだ。

<2011年入試結果(女子)>・・これが6年前の姿だ!

71 筑波大学附属(国)
70
69
68
67 お茶の水女子大附属(国)
66 学大世田谷(国)
65
63
62 小石川中等、武蔵高校附属
61 学大竹早(国)
60 両国高校附属
59 
58 学大小金井(国)
57 学大国際中等B(国)
56
55 桜修館中等、九段中等B、冨士高校附属
54 大泉高校附属
53 白鴎高校附属

何が読み取れるのか?

?都立中躍進の一方で、学大附属中の衰退が鮮明だ。
?難化著しい都立中と比較して、学大附属中は穴場となった。
?今年の大学合格実績は、6年前の入学者が作っている。
?今から6年後の大学合格実績は、今年と様変わりする。
?6年後、都立中の評価や難易度は今以上に上昇している可能性がある。

あなたなら、どうする?

巷の評判や人のウワサは当てにならない。古い情報や偏った情報で勘違いしたままの人が多い。保護者と話していると、この6年前の姿をイメージしている人がほとんどという印象だ。都立中は、さほど難しくないと思っている人が、いまだに多い。

そのためか、「小石川」や「両国」から、あるいは「桜修館」や「九段B」から、志望校を「富士」や「白鴎」に変更することに難色を示す人が多い。「富士」や「白鴎」が嫌なら、学大竹早や学大小金井はどうだろう?

四谷大塚や公中検模試で偏差値60以上が取れない人(特に女子)は都立中への合格は厳しいい。しかし、四谷大塚で56以上取れるなら学芸大学附属が選択肢に入る。しかも四谷大塚で60以上あれば学大世田谷も合格可能性80%だ。都立中にこだわる必要はない。4科型入試なので、私立中との併願もしやすく、良いこと尽くめだ。

しかし、実態を知れば、「富士」や「白鴎」だって志望校として不足はないのではないか。都立中はどこも大学受験指導を精力的に実施してくれるので、高校への内部進学選抜に恐々とする学大附属より、中1から安心して大学受験勉強に励める。情報不足や巷の評価に惑わされてはいないだろうか。

さらに、上記の偏差値ランク表には載せなかったが、「東大附属(東京大学教育学部附属中等教育学校)」という選択肢もある。東大附属派、国立大附属派の他、「九段B崩れ」や「九段Aとの選択(推薦入試は併願)」という人が多いようだ。「富士」とは同じ中野区(とは言っても、渋谷区・新宿区との際)立地で互いに徒歩圏内だから、「富士崩れ」も参戦しているかもしれない。進学校とは違う異色の教育内容だが、高校課程への進級時に学大付属系(除く国際中等)と違って『追放』がないので、安心して6年間を過ごせる。

ただし、適性検査型と称しながらも独特な試験問題(特に3年前から)なので注意が必要だ。東大の威光をバックに怖いもの知らずで入試問題を作成してくるので、管轄外の都教育委員会や文科省も手が出せない。情報開示に関しても高飛車なので合格最低点もつかみずらい。

出題傾向的に「九段B崩れ」には相対的に違和感が少ないかもしれないが、「都立中崩れ」にはお勧めしない。適性検査型と言いながら出題傾向が違う。しかも難問は少ないため高得点の闘いで、実技試験が入試科目として加わる。志望校として早めに絞り込んで対策しないと失敗しかねない。難易度的には、適性検査型で計測すると「白鴎」や「富士」のすぐ下、4教科型で計測すると「学大小金井」の下だ。

勘違いしないでほしい、難易度が低い学校だからといって、小学校の通知表に胡坐(あぐら)をかくと合格できない。「オールよくできる」が当たり前の闘いでることに変わりない。それぞれに合った入試対策が必要であることを忘れてはならない。小6になったら1年間を通して模擬試験で常に合格圏を維持しよう。特に「東大附属」は私立型と都立型の両方で合格ラインを超えておこう。毎年のように甘い考えの人が倍率だけを押し上げてくれるが、「運」や「祈願」で合否が決まる訳ではない。本人と保護者に慢心があると、きまって不合格になるのは、他の入試と同じだ。

また、今回は書かなかったが、というより、書くと要らぬ敵を作る怖れがより大きいので躊躇しているのだが、都立中上位校と比較すると、難関私立中は意外と合格しやすい。御三家も例外ではない。

近い将来、エビデンスをもとに説明する日がくるだろうが、今すぐ知りたいというのなら、三田学院で指導を受ければ分かる。