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三田学院

[2017年6月7日]

今春の都立中入試結果

今春の都立中入試結果が徐々に明らかになりつつある。追跡結果の集計が進んでいるからだ。

今春の都立中入試の結果は、もしかしたら、受検生や都立中を目指す親子には意外な結果だったかもしれない。男子でみて行こう。

小石川>・・>武蔵>大泉>両国>白鴎>富士>桜修館>九段B

このHPの直前予想で、予想倍率と難易度予想を指摘したが、その件を思い出してほしい(ただし今は表示していない)。

九段:前年大学合格実績で東大ゼロで人気ダウン。
桜修館:適性検査問題説明会で保護者の評価最悪。険悪ムード。

この予想が想定以上に影響したようだ。桜修館と九段が大きく沈んだ。今春入試ではこの2校が明らかに穴場だった。白鴎と富士が健闘したというより、桜修館と九段の落ち込みが激しかったことが、この入試結果につながったと見るべきだろう。

大泉の健闘が光る。向上中の大学進学実績の影響が大きいのだろうが、最新鋭の校舎やOB池上彰氏の活躍も影響しているかもしれない。

小石川と武蔵の難易度の差が拡大した。偏差値で4ポイント以上の差がある。武蔵以下はそれぞれ1〜2ポイントずつしか差がない。

1番手:小石川
2番手:武蔵、大泉、両国
3番手:白鴎、富士
4番手:桜修館、九段B

都立御三家と呼ばれる、小石川・武蔵・両国以外は、難易度が年度により変動するリスクが大きい。特に九段が要注意だ。都民枠の定員が少ないため、その年の受検生の選択によってブレ幅が大きくなりやすい。

来春は、適性検査?の追加が予想される白鴎の動向が注目だ。今春東大ゼロをやらかしてしまったので、入試内容変更による敬遠と合わせて、下落すると予想するのが素直だろう。注意深く見守りたい。

桜修館は別の意味で要注意だ。アンチ桜修館ような人が説明会などに潜り込んでいるのではないかと疑いたくなる事例が発生している。他の都立中では説明会が炎上するようなことは珍しい。学習塾向け説明会の雰囲気も今一つ芳しくない。参加者に城南地区地盤の学習塾関係者の比率が高いことが影響しているのではないか。

アンチ桜修館の保護者としては、わが子が桜修館に不合格になった保護者、低偏差値私立中にしか進めず鬱憤を抱えている保護者、そして桜修館に合格できた喜びを近隣にふりまく親子に激しく嫉妬の炎を燃やす保護者などが考えられる。

ざーます奥様が多く生息する城南地区の住宅街をバックグラウンドにしている立地の特殊性が影響しているのではないか。学習塾関係者もそうした方の影響を受けずにはいられないのであろう。

他人と比べて自分(自分の家族)が比較優位でないと落ち着かない人が多い。穏やかな立ち振る舞いの陰で、服装、アクセサリー、自家用車、お食事、調度品、自宅、旅行先、わが子の進学先、何でも比較優位が心地よい。比較劣位であることを何よりも怖れる。

このため、自分の子弟が合格できそうにない桜修館、合格できなかった桜修館は、素晴らしい学校であっては困る。桜修館には受からなくて良いんだと思いたい。桜修館は入学するにふさわしくない学校だと思いたい。桜修館は受検しなくても良いと思いたい。説明内容、受け答え、適性検査問題、難易度、受検準備、進学実績、何でも標的になる。

学校側も、そのことを承知しているのか警戒心が強い。都立中の中では発言に最も気を使っている印象だ。不用意な発言は攻撃目標となる。炎上もあり得る。必然的に情報開示が悪くなる。受検指導する側としても、何かと慎重にならざるを得ない。

ところで、学校見学会や学校説明会では、人間ウォッチングが面白い。参加者である保護者と受検生のウォッチングだ。親子セットが多いが、保護者だけも少なくない。受検生はさておき、保護者については合格後は一緒にPTA活動をすることになるので、合格見込みの高い方は保護者もウォッチングしておいた方が賢明だろう。公立小学校で成績優秀な児童の保護者を参考にすれば、だいたいの見分けがつくだろう。

どう見ても合格しそうにない高学年生の親子も多い。極度にガツガツしたような保護者もいる。他の受検生を敵とみなしているのかもしれない。

小石川も、武蔵も、両国も、大泉も、白鴎も、富士も、九段も、そして桜修館も、それぞれ違って面白い。都立中(公立中高一貫)と言っても、どれもがコピーではない。歴史のある学校が多いので、必然的にDNAも違う。よって、集まる生徒も保護者も違ってくる。

そして入試難易度にも影響することがあるから、さらに面白い。

あなたなら、どうする?

心で考えず頭で考えよう。しばしば人は論理的に思考しないで判断を下す。しかし、論理的思考力こそが適切な判断を導き出すのだ。すべての科学の基礎は論理学だ。論理的思考力をしない親子は、バイアスの強い親子は、合格する適性が低いということだ。