[2017年7月12日]
人工知能とビッグデータ解析が世の中を大きく変えつつある。
社会の変革は突然に始まる。始めは秘かに、中は急激に、後は劇的に、変革が進む。今は、始めと中の中間くらいのステージだろう。
ビックデータの解析は学術分野で先行したが、今は実用段階に入った。経験や勘に頼っていた需要と供給は、完全に工学的(数学的)に予測できるようになった。そしてマッチングまで効率的に行うことまでできる。もはや需要と供給は社会科学ではなく自然科学で扱う領域になった。必要なトラックの台数も、最適な在庫の数も、株価の予測も、なんでもこなす。
人工知能の進歩はもっとめまぐるしい。何度も話題にしてきたが、自動車の自動運転技術はSF的なレベルに進化した。ここでも、人工知能とビックデータ解析がベースとして役立っている。国内大手自動車メーカーの自動ブレーキシステムは「三角関数」を使う。先行車両との距離を角度を使って瞬時に計算して安全にブレーキをかける。
これから手に職をつけるなら、数学とコンピュータ・プログラミングだ、という感が強い。
「社会に出たら数学を使うことはない」、などと言う人がいるが、その人は数学を使えない人だ。今でも世の中は数学だらけだ。これからは、もっと数学だらけになる。
この数学を実社会で実際に使いこなすには、コンピュータ・プログラミングが欠かせない。これまで、C言語やJavaなどを使いこなせる一部の人が有利だった。しかし汎用ソフトの普及で、簡単なプログラミングは素人でもできるようになった。表計算ソフトの「マクロ記憶」がそうだ。アイコンを使えばコンピュータが自動でプログラミングしてくれる。
しかし、手に職をのレベルを目指すなら、コンピュータ言語を自在に使いこなせる力がなければならない。学生や専業主婦でもできるようなスキルでは食べていけない。
少しでもコンピュータ言語を操った人なら周知の事実だが、コンピュータ言語は、数学と記号的言語でできている。もともとコンピュータとは計算機である。この機能が拡張され、計算はこの手順で行え、計算結果はここに示せ、その計算結果をこう判断しろ、その次はこの計算をしろ、などと複雑な計算を重ねて行わせることができるように作られた装置だ。本来、数学がわからないと開発できない。
インターフェースの進化で、そのことがオブラートで包まれて、数学ができない人でも使えるように進化したが、使うことができることと、創り出すことができるということは根本的に違う。自動車を開発製造できることと、自動車を運転できることが違うのと同じだ。
整数とは何か?そうしたことが分からない人にはプログラムは書けない。演算規則が分かっていない人が書くと、プログラムは正確に作動しない。ハイレベルな数学が理解できていない人は、優れたプログラムを構築できない。論理的な思考ができない人は、役に立たないプログラムしか創り出せない。
数学を制する者が受験を制す。周知の事実だ。
数学を制する者がビジネスを制す。経営戦略ではセオリーだ。
数学を制する者が人生を制す。賢者なら自ずとたどり着く結論だ。
そもそも、数学を制する者が戦(いくさ)を制してきた。
大砲の弾を的に当てるには数学を使って高度な計算をする必要があった。
防衛大学では、戦車の戦場における配置を、数学を使って最適化する講義が必須科目だ。
臨界核実験のために数学は進化し、モンテカルロ・シミュレーションを磨き上げた。
数学は常に最大の武器であった。数学は善悪を抜きにして、常に生きる力の最高レベルの源泉であった。そして、その価値がさらに高まるのだ。わかり易いように軍事の話しを例にしたが、民生用分野でこそ、その価値が鮮明だ。
生き抜く上で、コアになる力というのは、数学なのだ。
それを具現化するのが、プログラミング力だ。そもそも賢者は、コンピュータのなかった時代から、自らの頭脳を使って同じようなことをしてきた。
なんで数学を勉強しないといけないの?そんな低レベルな疑問は早々にクリアしよう。
なんで数学を勉強しないといけないのか?それが説明できる大人や保護者になろう。