パソコン版を見る

三田学院

[2017年9月2日]

中学受験は親次第

中学受験における親の役割

これをテーマにした出版物は巷に溢れている。

しかし、どれを読んでもシックリこない。

具体的すぎて本質が見えていなかったり、細かすぎて全体が見えていなかったり、時代が変わったと言いながら過去に捕らわれていたり、陳腐な一般論を集大成しただけだったり、ヒドイものになると大手塾の広報セールスマンの代理ようなものだったり、などなどだ。

むしろ保護者にとって困惑混乱する書物ばかりだ。これまで上手く行っていたのに、間違った取り組みに変更してしまうリスクがある。むしろ読まない方が賢明かもしれない。

Q:中学受験を「失敗させる親」とはどんな親か?
Q:中学受験を「失敗させる親の行為」とはどんな行為か?


これがハッキリすれば、親のかかわり方が分かるのではないか。

?決断できない親 (親の「決断力」)
中学受験に限らず、勉強には年齢や時期によって取組んでおくべきことがある。この時期を逸してしまうと、低い、伸びない、わからない、わかるようにならない、といったことがドンドン多くなる。しかし、子や塾のせいだと思い違いし、自らの責任に気がつかない。決断が遅れたこと、決断できなかったことに原因がることに気がつかない。

?判断できない親 (親の「判断力」、親の「調査力」、親の「分析力」)
親に中学受験の経験があっても、その経験は今の状況にはほとんど合わない。中学受験の経験があってもなくても、最新の情報は自分の力で収拾できないと誤った判断や対策につながる。

「親が自分の力」で、というのが大切だ。大手塾や大手通信教育の情報は、すでに営利目的で歪められていることを知っておくべきだ。「ママ友・パパ友」情報も注意が必要だ。個人の価値観や不適切な情報収集などで、偏った意見になっている場合がほとんどだ。客観的で根拠のある情報以外は聞き流した方が良い。

重要な情報は、親自らが、原典に直接にアプローチし、自力で適切に分析して、判断できなければならない。

?行動できない親 (親の「行動力」)
必要な学校説明会をスキップしてしまう親、必要な模擬試験をスキップしてしまう親、必要な文房具や書籍を適切な時期に手配できない親、志望校を選定できない親などは論外だ。子に中学受験させるべきではない。しかし、高校受験でも上手く行かない親だ。

親の都合で教育関連費用を「チマチマ節約」しようとする親、たまにいるが、これも適切な行動ができない親の典型だ。女子の親によく見られる。親が男尊女卑してどうするのかと言いたくなる。

合格基準は親の都合で甘くはならない。夏期講習料を節約しようとする親が巷にはいまだに多いようだが、中途半端な費用支出は、かえって高くつくことになることも理解すべきだ。

予算が合わないようなら、あるいは高額な金額を提示する塾に通っているなら、リーズナブルな料金体系の塾を選ぶという選択肢もある。その塾で必要な支出を全て行っても、十分な節約ができる。味をしめて、そこでも追加的に節約しようとする親は、もはや「節約マニア」でしかない。受験生の親としての適切な判断力がない。

反対に、高額な授業料の塾に通わせれば、それだけで、成績が上がる、あるいは御三家などの難関に受かる、などと考えているようでは、親であるアナタの判断力、分析力がそもそも危ない。

大量の中学受験生をかき集める大手中学受験専門塾は、高額な授業料でも有名だが、そこから、毎年のように大量の中学受験難民が生まれていることも、もっと深刻に受け止めた方が良いだろう。

大手を脱落して彷徨う中学受験生の姿は実に痛々しいし、最後まで残って玉砕する中学受験生の姿は見るに堪えない。

大手塾は営利最優先だから、授業料をせっせと運んでくれる親を門前払いはしない。学年が上がってキャパがいっぱいか、あまりにも資質に問題がある場合でないと断らない。これが悲劇を生む。

大手は難関中学への合格を前提とした授業しか行っていない。デキの悪いアナタの子どもをデキる子にするような授業など行っていない。そもそもデキない子をデキる子にするノウハウはない。そのノウハウを持つ気すらない。

「選抜クラス」さえほぼ満席にしてしまえば儲かるという、彼らにとって良くできたビジネス・モデルだ。だから、デキない子をデキる子にする必要はない

もともとデキる子を難関私立中に合格させるのが大手の仕事だ。ここまで上手く行っている、このビジネス・モデルを壊してまで、デキない子をデキる子にすることに尽力したりはしない。それを期待する親をどうはぐらかすかのノウハウなら十分備えている。

ここでも、いや、ここでこそ、親の調査力、親の分析力、親の判断力が問われる。

中学受験は親がダメでは成功しない。親がダメでないだけでは成功しない。子がダメでは成功しない。しかし、ダメな子に育てたのも親だから、結局は親ががダメなら成功しない、ということになる。

デキる子か否かは「小3(新小4)」までに大まかに分かれる。塾へ入る前に、勝敗の行方の大筋は決まっている。ここまでの責任の所在は親にしかありえない。こうしたダメ親は、その後に学年が上がってもダメ親から抜け出せないから、ダメ子はダメ子のままになる。その間も、デキ子はどんどん合格へと近づいて行く。

中学受験は親がダメでは成功しない。中学受験に成功した多くの親子を観察すればわかる。あるいは、中学受験に失敗した親子を観察してもわかる。成功する子は、親子ともに判断力、分析力、行動力がしっかりしている。このことを観察してもわからないようなら、アナタはダメ親だと思ったほうがよい。

つきつめれば、中学受験は親次第ということだ。中学受験に失敗するのは、親のせいだということだ。

極論すれば、失敗したのは大手中学受験塾のせいでもない。そもそも大手は「もともとデキる子」しか合格させられない。それが実態なのだから、失敗はその大手塾にわが子を通わせたアナタのせいだ。あるいは、大手塾のマネをしている準大手や中堅の中学受験塾にわが子を通わせたアナタのせいだ。

つまり、「中学受験は親次第」だ。

中学受験は、大手のお決まりのセールス文句である「子の頑張り」次第ではない。ダメ親でない場合に限ってしか成立しない。ダメ親でなくても成立しない場合があるから、中学受験を「子の頑張り」に期待しても上手く行かない。

「子の頑張り」というキャッチコピーにだまされて、大手に高額な授業料さえ払えば何もかも許されると思い込み、親の務めを放棄してはいけない。大手の高額な授業料はお布施ではない。大手なら「免罪符」がもらえる訳ではない。

親の務めを果たしているつもりで、実は果たしていない。親の務めを放棄して、わが子を放置しているに等しい。

決断力、判断力、調査力、分析力、行動力とは、一言で言えば「自己管理能力」のことだ。自己管理能力のない親では中学受験は成功しない。自己管理能力のない親が、子に自己管理能力を期待しても、少なくとも中学受験では成功しない。

まずは、親が、中学受験に失敗するような行いを全て絶つことが、ダメ親から抜け出す第一歩だ。これが中学受験成功への第一歩だ。