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三田学院

[2017年9月13日]

夏のなごり

今年は秋の訪れが早いようだ。

「夏を制する者が受験を制する」のは、受験の世界では常識だが、この時期になれば、勝負の大勢は、ほぼ決まったと思った方が良い。ただ、ここから伸びる人もいないわけではない。しかし、残念ながら、これから脱落していく人の方が多い。勝負の世界は厳しい。

夏の成果は、9月と10月上旬の模擬試験で確認できる。この時点で甘かったことが判明しても、もはや取り返すのは容易ではない。

中学受験生も、高校受験生も、夏の約40日間、毎日12時間以上の実質勉強時間を達成していたなら、偏差値が大幅に下がっていることはないだろう。目的意識を明確に持ち、効率的な勉強ができたなら、相応に偏差値は伸びているはずだ。しかし、この時期にはライバルも頑張るから、受験生や保護者が期待するほどは大きく伸びない。

・1日05時間未満 → 偏差値ダウン
・1日08時間未満 → 現状維持
・1日12時間未満 → 偏差値アップ(小幅)
・1日12時間以上 → 偏差値アップ(大幅)

これは偏差値が平均と分散をもとに計算されるから仕方がない。自分の学力が大幅にアップしても、ライバルがそれ以上にアップしていれば、偏差値は下がってしまう。そのことを理解できない保護者が多い。

偏差値とは相対的な学力のことだ。競争試験である入試はこの相対的な学力で勝負が決まる。一定以上の得点や正答率があれば合格するような一般的な資格試験などとは違うのだ。

・高校受験生は、10月か11月の進路面談で受験校を決めなければならない。

・都立中受験生は、11月の願書配布説明会までには、受験校を絞り込まなければならない。

ということは、10月か11月には、ぼぼ大勢が決まるということだ。

私立中受験生だけ、制度的には直前まで右往左往できる。しかし、右往左往しても合格可能性は上がるどころか下がるだけだ。照準の合っていない矢は的を射抜くことができない。

ここまで来ると、偏差値がクリアできているだけでは不十分だ。志望校の入試問題が解けなければ合格はない。ここからは過去問対策が勝負を分ける。

最悪でも、夏までに、入試の出題範囲の学習を終えていなければならないのは、このためだ。

夏までだらしなかった受験生も9月には本気になる。もうライバルたちはみな本気だ。これからは堅実な志望校選択と準備を心掛けるべきだ。

夢見る時期は終わったということだ。

小5と中2、まもなくアナタたちの番になる。

小6や中3の後姿を、よく見ておくと良い。

成功からも、失敗からも、学ぶことが多い。

夢を見るなら、実現可能な夢を見よ。そして、夢に向かって全力で走れ。