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三田学院

[2017年9月15日]

魔物が取り憑く

今年も受験生に魔物が取り憑く時期がやってきた。

すでに、塾生の保護者には、9月冒頭に一斉メールで注意喚起を行っている。

Q:魔物とはなにか? 
A:受験生の心に取り憑く悪魔のことだ。

Q:魔物はどんな悪さをするのか? 
A:受験生を不合格へと引きずり込もうとする。

Q:魔物に取り憑かれるとどうなるのか? 
A:受験勉強が順調に進まなくなる、手につかなくなる。不安が受験生の心を蝕む。

Q:なぜ魔物に取り憑かれるのか? 
A:一言で言えば、準備不足だ。開始時期の遅れだ。

すでに一部に異変の前兆が現れている。

魔物に取り憑かれた受験生は、魔物と無縁の受験生とは、まったく別の生き物の様相を呈する。見るに忍びないばかりでなく、指導継続が困難となって行く。

本人は周りが見えなくなるので、己の異変になかなか気がつかない。保護者もわが子のことになると、なかなか客観的に把握できないばかりか、他の受験生との接点は少ないため、受験生とはこんなモノだと思ってしまう。お伝えすると逆上する保護者もいて、毎年頭を悩ませる。小6の9月を過ぎて退塾勧告するのは事実上困難であり、可能な限り他の受験生の迷惑にならないように配慮するのが精いっぱいなのだ。

昨年に輝かしい結果を残せたのは、小4春に準備を開始した小学生であった。別の小学生は、小6夏以降の3か月で、偏差値を12ポイント伸ばし、合格ラインを余裕で超えるところまで行ったが、晩秋から魔物に取り憑かれて結果を残せなかった。誰もが知る大手塾からの転塾組だった。大手塾は小4で開始していたが、転塾してきたのは小5秋で、残念ながら救えなかった。

中学生に関しては、中3から入塾した中学した中学生は、それぞれの受験校には合格できたが、やはり秋以降に変調が見られた。志望校には合格できたが、指導者としては満足できるものではなかった。中2からの入塾者の一人は、ここでは話せない大きな課題を抱えていた。中3の春に課題を克服できたところまで引き上げたにもかかわらず、やはり秋以降に変調をきたした。通院と投薬治療が必要なほど深刻な状態に陥り、入試直前に塾からは姿を消し、その後は音信不通となった。実は保護者も変調をきたしていた。

中学受験を目指す小学生なら小4早期から、高校受験を目指す中学生なら小学校高学年から、早期の受験準備開始をお勧めするのは、魔物に取り取り憑かれるリスクを極限までなくすためだ。

・ある保護者は、金儲けのために早期開始を勧めているのだろうと疑い時期を逸する。
・ある保護者は、何の根拠もないまままだ大丈夫だろうと開始を先送りする。
・ある受験生は、純粋に勉強に向き合うことを嫌って開始を遅らせる。

魔物は見逃さない

そんな受験生を、そんな保護者を、魔物は見逃さない。

今年の中学受験生は小4早期開始は一人もいない。小4で開始した受験生もいるが、開始したのは中学受験御三家塾であり、苦悩の果てに小6になって漂着したのであって、小4から預かったわけではない。小4からやり直さなければならず、その必要性を理解してもらうのに度重なる説得が必要であった。受験生の指導を軌道に乗せる前に、まず保護者を指導しなければならなかったのである。大手塾で学ばせながら、まったく学力が伸びず、困り果てた末の決断だったと聞く。リスクの高い生徒には違いない。

転塾組ではない、生え抜きの中学受験生は、すべて小6春以降の入塾者だ。短期間の突貫工事ながら順調な仕上がりを見せていた。しかし、9月に入って変調の兆しが見える。今最も警戒しているのは彼らだ。魔物に狙われたら危ない。

反対に、今年は高校受験する中3のリスクが、昨年に比べて全体的に低い。中3から預かった生徒は一人もいない。中2までに預かった生徒が主力だ。今年度の進学実績は高校受験生が下支えしてくれることだろう。ただ、小学校高学年から預かった生徒はいないので、想定を超えることはないだろう。

中2は、小5早期から預かった生徒が中1で学年1位まで登り詰めてくれた。開始時期の遅れが少ないことが、どんなに有利でリスクが小さいか、おわかりいただけるだろう。

唯一、紹介によってお預かりした中3生が、入塾基準を今だ満たしていないことが心配の種だ。魔物に狙われないことを祈るしかない。

・なぜ高校受験をめざす小学生を募集するのか?
・なぜ中学受験をめざす小3を募集するのか?
・なぜ大手塾からの転塾組を警戒するのか?
・なぜ募集基準を設けるのか?
・なぜ締切を設けるのか?
・なぜ保護者を指導するのか?

Q:その訳をご理解いただけたであろうか。

A:受験生と保護者の夢を叶えてあげたいからだ。