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三田学院

[2017年10月29日]

高校受験は中学生になってから?

高校受験は中学生になってからでよいか?

このように質問すると、保護者の信条や信念、保護者の学校歴や経済的制約などが影響し、客観的で合理的な判断ができなくなる人がいるので、質問を次のように変えてみる。中身は変わらないが、少しは冷静に判断できるのではないだろうか。

中学内容は中学になってからの学習だけで理解できるか?

算数と数学でみていこう。

中学数学が理解できない原因は、ほぼすべて小学算数が理解できていなことが原因だ。

中3で学習する「平方根」だが、平方根になると一行計算が正確にできなくなる生徒がいる。原因は平方根ではないことがほとんどだ。小4の「計算のきまり・計算のじゅんじょ」が身についていないために起こる。

次に、中3で学習する「2次関数」だが、これも苦手とする生徒が多い。原因は、小3の「□を使った式」と小3の「式と図の関連」までさかのぼる。

もうお分かりだろう。

中2や中3になってから、中2や中3の内容を真剣に勉強し始めても、小学算数がしっかり身についていないと理解できない。成績不振の原因は、小学生時代の勉強の甘さにあるのだ。

ところが、「理解できないのは中学の数学教師の教え方が下手だから」、「中学生になってから通い始めた塾の授業が合ってないから」などと、自分のことは棚に上げて、責任転嫁する。

原因は、アナタの子が小学算数をサボったからだ。アナタがアナタの子に、いい加減な小学学習を続けさせたからだ。

しかも、ほとんどの場合、小学校内容をさかのぼり学習しても解消しない。

まちがった鉛筆の持ち方や、まちがった箸の持ち方を矯正するのが難しいように、「わからないまま」や「あいまいな理解のまま」にしたことを矯正するのは容易ではない。

不思議なことだが、さかのぼり学習が必要な生徒に、さかのぼり学習をさせても、著しく定着が悪い。本人にその意義が理解できていないことが大きいのだろう。同じことを何度も繰り返し「わからない」と嘆き続ける。解決の仕方をアドバイスしても指導しても身につかない。保護者も実態を理解できない。自分と自分の子の落ち度を悔い改めようとしない。

小3や小4から学習塾に通わせるのは学習塾の経営戦略などと思っている人がいる。もちろん、ご家庭でしっかり学習指導できるなら、学習塾に通わせなくても大丈夫だろう。しかし、それができるのは、わが子の勉強をしっかり指導できるごく一部の保護者だけだ。そういう保護者ほど、低学年から学習塾へ通わせることが多い。小学内容の重要性を理解しているからだろう。

高校受験は中学生になってからでよいか?

もう答えはおわかりいただけたであろう。

高校受験の準備は、小学生から始めるのが正解なのだ。

小1と小2は内容が易しいからと油断して手を抜くな。
小3からは全力で取り組め。
小4からは専門家にまかせろ。

それを怠った親子は、中学になってから見苦しく右往左往し、苦しみながら敗北していくだけだ。