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三田学院

[2017年10月31日]

高校受験は小学生から!

『高校受験は小学生から』の理由を書こう。

その前に、中学数学が苦手な子の典型的なパターンを紹介しておこう。

?『計算が正確にできない』

簡単な計算はできるのに、ちょっと難しい計算やちょっと複雑な計算になるとできない人が多い。これでは数学は得意にならない。せっかく覚えた新しい単元の問題も、計算が正確にできないために誤答になってしまうと、新しい単元が理解できていないのか、基礎計算ができていないのか判然としないまま「(数学が)分からない」となってしまう。

計算が『正確に』できないと書いたが、計算の正しい学習法は『計算の正確さ』の追求である。けっして『計算の速さ』の追求になってはいけない。

計算が正確にできるようになれば、必然的に計算の速さも上がってくる。しかし計算の速さ(スピード)を追及しても、計算を正確にできるようになるとは限らない。けっして間違ってはいけない。計算の正確性は絶対の自信がつくまで取り組む必要がある。この正確性の違いが、数学力はもちろん、学力全般に決定的な影響を与えることになる。正確さが大切なのであって、速さではない。

?与えられた条件を整理できない

まず「何が分かっているのか」(何が与えられているのか)ということを頭の中で整理できない。次に、「何を求めようとしているのか」を鮮明にイメージできない。だから、「どうしたら答えにたどりつけるか」を見つけ出せない。

一行計算と違って、関数、図形、場合の数などは、問題を正確に読み取れなければ解き始めることができないし、正解に辿りつけない。

・何が与えられているか
・何を求めなければならないか

ここが整理できれば、「解いていく手順」や「使える公式や定理」が見えてくる。与えられた数値や条件から『立式』(数式に置き換えること)ができる。

しかし、数学が苦手ない人は、まず問題の意図が読み取れない。このため、手順、公式や定理、立式が思い浮かばない。

問題文を読み解くために高度な読解力など必要ない。国語の読解力が高い必要も全くない。まずは、素直に、客観的に、そして『正確に』、問題を読むことができるかどうかだ。

?『小学算数が理解できていない』

これが致命的な原因であることが多い。?や?も原因はここにあると言っても過言ではない。小学校のテストは簡単だ。理解があいまいなままでも満点が取れる。それに安心してはいけない。正確に理解できていないと中学数学で化けの皮が剥がれる。『正確に』だけでも足らない。『本質的に』理解できていないといけない。詳しく書くと長くなるので、ここではここまでにしておく。

目標は『本質的な』理解である。『表面的な』理解ではない。解き方を教わるという姿勢ではいけない。解き方を見つけ出す訓練をうけるという姿勢が重要だ。

ただ、中学数学のために小学校算数を一から全部学習し直す必要は必ずしもない。理解が不十分な領域だけ学び直せはコトたりる。

ただ、それでも、「かなりの時間と労力が必要」だということを覚悟しておかなければならない。もともと理解できていなかったコトを、長い間理解できなかったコトを、初めて正確に理解しようとするのだからだ。もともとできなかったコトをできるようにすることは、数学でなくても簡単でないことは理解できるであろう。安く短時間にできることではない。部活や行事で疲れたら「ノー勉」になるような人にはできない。

しかも、理解が不十分な領域がどこかを見出すのが難しい。数学の教師であっても誰でもできる訳ではない。なぜなら、中学数学の教師は小学算数を指導した経験がない人がほとんどだからだ。

小学算数と中学数学を一貫して指導してきたプロでないと難しい。学生アルバイトに指導してもらうのもリスクがかなり高い。理系の学生なら大丈夫だろうと思うのも危ない。彼らの本業は未だ学生でしかない。教科指導のプロではない。指導法なども学んでいないだろうから、答えや解き方を教えて終わりになりかねない。

そんなことでは、いつまでたっても数学が得意になどならない。

『高校受験は小学生から』の理由をおわかりいただけたであろうか。

中学になってから、成績が優秀な生徒と同じくらい勉強をしたら同じ成績が取れるなんていう考えは、あまりにも虫が良すぎる。中2や中3から成績優秀者と同じように数学が得意になろうなどというのも、はなはだ虫が良すぎる。まして、週1や週2程度の少ない通塾日数(数学のみ)で、数学を得意になろうなどと言うのも甘い。

中学生成績優秀な生徒は、小学生時代にもしっかり勉強していたはずだ。しかも、的を得た勉強をしていたはずだ。中2や中3になってから数学が得意になろうとするなら、ちょっとやそっとじゃ難しいと知っておいた方が良い。まず天才でないと難しい。しかし天才なら数学を苦手としていないはずだ。

小学生の段階から、確かな指導者のもとで、毎日みっちり算数と数学を学ぶなら、数学をモノにできる可能性が高い。『毎日』が重要だ。週に1回ほど家庭教師に見てもらうなどというのでは効果は期待できない。算数や数学は毎日休まず適切に取り組まないと、本質的な理解にはだどりつけない教科だ。

塾ならどこでも一緒だろうという考えも正しくない。集合授業では一斉授業が基本だし、ちょっと質問に答えてもらったぐらいでは数学はモノにできない。巷の個別指導や家庭教師はアルバイトがほとんどで、的を得た指導など期待できない。巷の個別指導は、学習塾ではなく保育園のようなところだと思った方がよい。塾の仮面をかぶった生徒保育だ。実質無試験合格できる底辺高校までしっかりおててをつないで連れて行ってくれることだろう。

余談だが、巷の通信教育など、算数や数学が苦手な人には何の役にも立たないと思って間違いない。算数や数学が得意な人でも役に立たないから、そもそも存在意義がわからない。添削課題は模擬試験の代わりにもならない。冬に雪深く、交通手段が乏しく、近くに塾がないような地域に住んでいるなら、すこしは気休めになるかもしれない。ただし役にたつかもしれないのは、受験情報くらいだろう。それもバイアスがかかっている場合がほとんどなので、うのみにするのはかなり危険だ。

中学受験しないアナタの子、高校受験するアナタの子、今どうしたら良いのか、よく考えてみよう。

アナタの子が数学が苦手になったのは、アナタの子が算数が苦手になったのは、保護者のアナタの誤った方針や対処が原因だということがおわかりいただけたであろうか。それとも、これからも間違た対処を続けるつもりだろうか。

同じ条件でも、成績を伸ばす生徒がたくさんいるのだから、原因や理由がどこにあるのか明白だろう。