[2017年12月19日]
帰国子女の受験指導をしていて、気がついたことを書いておこう。
「英語は、使わなければ使えなくなる」ということだ。
当たり前かもしれないが、重要なことだ。
「英語は、使わない人は上達しない」とも言えるからだ。
「英語を実践で使わない人は、いくら学んでも上達しない」とも言い換えられる。
以前、現存するほとんどの英会話教室は崩壊すると書いた。
スイスなどのように母国語ではないにのに実生活で英会話を使う機会が多い国民ならまだしも、日常的に英会話を使う機会がほとんどない日本国在住の人が、英会話教室などに高額な費用をかけて英会話を学んでも、ほとんどの場合、お金をドブに捨てることになる。これは実体験でもある。イギリスに住むことになる前に英会話教室でさんざん英会話を学んだが、結局のところ全くと言っていいほど役に立たなかった。
・読めない英文は、英語で聞いても聞き取れない。
・英作文できない内容は、英語で伝えることができない。
・英会話から入っても英語は上達しない。
英語指導してきても実感していることだが、外国語として英会話をマスターするための秘訣は英作文力を高めることだ。
もちろん、いきなり英作文できるようにならない。外国語として英語を上達させるための、私が考える王道は以下の通りだ。突飛ではない。むしろ古臭いくらいに当たり前の手順だ。
・英単語を覚える(意味、品詞、用法、綴り、発音、アクセントを含む)
・英文法を覚える(文型、構文を含む)
・英作文を練習する
英単語や英文法は再現できるまで徹底的に繰り返して覚えなければならない。つまり長期記憶に持ち込めれば合格だ。小テストが終わったら思い出せないようでは不合格だ。クラスメートなどに質問されても即座に説明できるようであれば合格である。
次に英作文だが、英作文を学ぶのに最適な市販の良書は少ない。特に英語を得意としない人向けの良書はほとんどない。中学生向けに至っては壊滅的だと感じている。
文系脳の人に限らず、特に理系脳の人におススメなのが、英文法の知識を利用した英作文力向上法だ。理路整然と英作文の仕方をマスターできる。おかしな英語にはならない。
高校生向けには唯一救いがある。市販の英作文教材で良書が1冊ある。約250ページで、価格も1,000円程度だ。文法と構文を一通り学び終えた人なら、すぐに使える。しかも無駄がない。文法と構文の知識を使って、一気に英作文力を向上させることができる。
しかも、電子メールなどの形式にも対応していて実践的である。とにかく使える。これ一冊をマスターすれば、国公立大学の二次試験や難関私立大学の英作文まで攻略できる。
しかも、中学生でも使える。時制の一致、仮定法、未来完了形などは飛ばせばよい。登場する英単語も、平易な日常英会話レベルなので安心できる。自由英作文の部は取り組まなくても、高校入試なら都立自校作成校や私立最難関校の英作文まで十二分に攻略できる。
例文を全て暗唱できるくらいになるまで、繰り返し取り組めば、気がついたら正しい英語で話せるようになっていること請け合いである。
文法、文型、構文の運用力もしっかりと身につくので、英語長文の読解力も向上する。ということはリスニング力もつく。
その後は、英単語学習の良書で、英語語彙力を高めれば鬼に金棒だ。目指す大学のレベルや目指す英会話力のレベルに合わせて、英語の語彙力を強化していけばよい。1万語もあれば、難関大学の英語長文も突破できるし、日常英会話なら不自由することはない。
理工系の学生であっても、(少なくとも私の修了した大学院では)博士の学位が欲しければ、英語で書いた論文3本と、ほぼ半日にわたり英語で論文発表し、レフリー(論文審査を担当する大学院教員)からの英語での質疑に、英語で受け答えを要求される学位論文審査を突破しなければならない。理工系大学院の学生であっても、英語を話せるのは当たり前の時代なのだ。もちろん、彼らに英会話教室に通う時間的余裕はない。しかし話せる。だから、その後すぐに海外大学(大学院)へ留学できる。海外の研究者と英語で議論ができる。
外国人講師についてもらって英会話を学ばなくても、英会話はできるようになるということだ。
外国人講師についてもらって英会話を学んでも、ちっとも英会話が上達しない人が履いて捨てるほどいるのとは対照的だ。