[2017年12月25日]
小5や中2になって、やっと受験を意識する親子が多い。
しかし、勝負を分けているのは、実は小4や中1だ。
中学受験、これは都立の中高一貫も含むが、小4までの取り組みが勝敗に大きく影響している。小4までに勉強に対する姿勢が出来上がっていない受験生はもろい。小4までの学習内容が完璧でない受験生は伸びない。小6で失速する受験生のほとんどは、こうした受験生だ。
その過ちに気がついた時には、すでに時遅しだ。真面目に取り組んできた受験生との、埋められない溝はドンドン開いていく。いつまでも目標に届かない。それどころか目標から遠ざかって行く。総仕上げ期になってからの伸びは、真面目に取り組んできた生徒の方が遥かに大きいからだ。
高校受験は、小学校での取り組みと、中1での取り組みで明暗を分ける。特に中1の夏休みの取り組みが甘いと、早ければ中2で失速する。中3で蟻地獄のようになる。そもそも、小学校課程の学習内容が完璧でない受験生は、まず数学の成績に顕著に表れる。国語や漢字を疎かにしてきた受験生は、英単語や英文法をモノにできない。
やれどやれど「5」には届かない。やれどやれど「偏差値61以上」に届かない。そうした人は小学校の時点でサボっていた受験生がほとんどだ。
サボった分を後から取り返すことは、実はかなり難しい。すでに学習内容の理解に、他人より多くの時間がかかるようになっているから、取り返しにかける時間が確保できない。目先のことに追われるということになる。また、こうした人ほど勉強時間を増やせないし、見かけだけ増やせても学習効率が悪い。
小学校の算数を正解できない受験生の保護者が、中学数学の成績が伸びないといってクレームをつけてきたことがあるが、課題として与えた小学校の算数の公式の復習を、何度言っても、いつになっても、やって来ない受験生であったから、この時ほど、受験生も受験生なら、親も親だなと呆れて、反論する意欲さえ失せたことはない。
成績は上げたいが、勉強したくない。勉強しないわけではないが、嫌々しかやらない。とにかく、勉強から受験勉強から早く逃げたい。こんな生徒が成績を伸ばし続けられるわけはない。
そんな親子に限って、感謝のカの字もない。偏差値40代半ばから偏差値50代半ばまで引き上げても、お金を払っているから当然だという態度だ。「3」中心だった通知表を、オール「4」以上に引き上げても、親子で頑張ったからだというような顔をしている。上手く行ったのは自分たちのせい、うまく行かないことがあると、それは他人のせい。実に都合がいい。
こうした親子は中3で偏差値の伸びがスローになると、塾の指導に不信感を露にする。部活を引退した受験生が受験勉強になだれ込む中3の夏以降は、偏差値を上げるのは容易ではなくなる。ところが、塾に通わせているのに成績が下がったなどと言いだす。絶対的な学力は上がり続けても、相対的な学力の伸びを示す偏差値は上がりにくい。他の受験生も命懸けで勉強に励んでいるからだ。それを超える努力ができて、はじめて偏差値があがる。それが入試直前期になるとハッキリと見えるようになる。それが理解できないようだ。
こうした親子が言う「できのいい子」は、どんどん学力を伸長させ、誰もがうらやむ目標校への合格を確実にさせる。
それが、小4までの取り組みの差、小学校と中1での取り組みの差、ここにこそ、違いの原因があることを理解できない。きっと一生理解できないまま生きていくのであろう。
その無知と、その不作為が、その後も親子で受け継がれ、格差拡大を連鎖させていくのではないか。