[2017年12月27日]
今年も、学習指導や受験指導をしていて、新たな気づきがたくさんあった。特に、受験指導の過程で、毎年のように新たなアイデアが浮かんでくる。それらをよく吟味した上で指導内容を改善してきた。
高校受験や大学受験に関するアイデアは一部この日記でも書いた。今日は、中学受験について書いておきたい。特に都立中だ。
公立中高一貫校が誕生してから、12年以上(白鴎高校付属中学、平成17年4月)の月日が流れた。
文部科学省の指導により、公立中高一貫校が受験エリート校になったり、受験競争が低年齢化するのを助長しないため、入学者選抜においては学力試験を実施してはならないと定められており、「入学試験」ではなく「適性検査」が実施されているが、都立中に限って言えば、当初から「学力試験」に近い選抜となっていた。
そもそも、都教育委員会の位置づけでも、明らかに進学校として扱われている。名目はともかく実質は、難関国立大学の合格者数で評価されている。
全国の公立中高一貫校の中には、まさに「適性検査」的な選抜を行っているところがあるが、それも程度の問題で、ほとんどは「学力試験」として機能している。
この「適性検査」は、最初から「学力試験」を代替する目的で作問されてはいなかった。しかし、徐々に「学力試験」に近い内容になってきている。当初の「適性検査」では、学力のない、つまり「適性」のない受検生が紛れ込むことが多かったからだ。
都立中に限って言えば、『共同問題』化した平成27年度入試を前後して、「学力試験」化が鮮明となったと感じている。
両国高校附属中の問題を見てもらえば一目瞭然だ。
平成27年度 適性検査? 問題1
あなた自身のXXXXXについて、具体的に一つ書きなさい。ただし、どんな出来事によってどのように感じたのかを明らかにして書くこと。
平成28年度 適性検査? 問題1
XXXXとありますが、本文中ではなにをXXXXとしているのですか。五字以内で答えなさい。
平成27年度は、まだ適性検査の匂いが残っている。しかし平成28年度は、国語の読解問題以外の何物でもない。つまり、実態は「学力試験」以外の何物でもないということだ。
文部科学省も教育委員会も、実態追認なのか、あるいは実質的に方針転換したのか、公式に指導も改善命令も出していない。だから、今後も「学力試験」として機能することになるだろう。
この実態は、大学入試改革へも影響すると見ている。「思考力・分析力・表現力」などと、都立中の「適性検査」のような狼煙をあげておきながら、実質「学力試験」として機能し続けることになることは間違いないだろう。見かけや形式は変わっても、中身はほとんど同じ、つまり学力がない人は合格できない、ということに何ら変化は起こらないだろうと予想する。
話しは都立中に戻るが、世間の一般的な理解や、保護者の認識とは違い、都立中の適性検査は実質学力試験である。少し前までわずかに迷いがあったが、もう断言できる。
とすれば、都立中コースは、これに則したコース設計にしなければならない。つまり、私立難関中受験と同じタイムスケジュール、私立難関中受験と同じ学力向上策、私立難関中と同じ記述力向上策が必要だということだ。
?新小4または小4早期の受検対策開始
?入塾時点までの学習内容の理解に課題がないこと
?早期に受検体制を確立できること
?入試までに高度な学力を獲得できること
?新傾向問題・記述問題へ対応できること
?適切な併願をすること(本番慣れ)
??はこれまで通りで対応できる。?も在籍生保護者の理解が進んだ。
???は、過去の合格者は充足していたし、現小4受検生も充足している。しかし、現小6と小5に、?を満たしているの受検生がいない。??を満たしていないと、???が満たせなくなるリスクが高い。つまり、確実に合格に導く指導ができなくなる怖れがある。
これらを踏まえ、新年度では都立中受検コースの改革を実施する予定だ。
「都立中チャレンジコース」と「都立中速習コース」は大幅に内容を変更するか、廃止とする予定だ。これに伴い、「都立中コース」(都立中の旗艦コース)も改編することになるだろう。