[2018年1月8日]
都立中の入試日まで1ヵ月を切った。
受験情報の広がりで、都立中のみ受けるという受検生は少数派となってきている。
私立併願者は大きく分けると2通りある。
?都立中が第一志望の受検生
?私立中が第一志望の受検生
?が典型的な都立中受検生だとは思うが、?の中にも「隠れ都立中派」がいるので要注意だ。
・開成と小石川の両方に受かったら小石川に入学
・桜蔭と小石川の両方に受かったら小石川に入学
これらは、私立中受験生の仮面をかぶった実質的な都立中受検生だ。大きな違いは、4教科型の受験勉強を優先してきたか、適性型の受検勉強を優先してきたかだ。「隠れ都立中派」は大手の私立中受験塾に通い、都立中専門塾や都立中専門コースには通わない。
話しは戻るが、典型的な都立中受検生も、多くは私立中を受験する。その最大の目的は「本番慣れ」だ。合格しても入学しないが、一部には「滑り止め」として、都立中がダメだった場合に入学する受検生もいる。多くは「特待生」としてだ。
現状において「特待生」として入学しても、都立中志望者として満足できそうな私立学校は数校に限られる。それ以外は「特待」であっても入学をお勧めできない。都立中とレベルが違いすぎるからだ。
このお勧めできる私立中の「特待生」だが、そう簡単には「特待」は取れない。「特待」が取れる受検生は、都立中にも合格できる。だから「特待」として私立中に進む人はほとんどいない。私立学校側も、その点は百も承知だ。優秀な受検生には安心して「特待」を出す。入学してこないから安心して「特待」を出せる。
お勧めできる私立中の「特待」を希望する受験生の多くは一般スライド合格になる。そして、多くが都立中には合格できない。
お勧め「特待」を目指しても、都立中に合格できない人は、お勧め「特待」もとれないことがほとんどだから、結局のところ地元公立中学に進むことになる。お勧め「特待」を目指しても、何かが大きく変わることはない。結局のところ「本番慣れ」受検としてしか機能しない。むしろ、2月3日の本番を前にして、お勧め「特待」が取れなかった時に、不吉な前兆となってしまう。
さて、お勧めの併願戦略は以下の通りだ。
?1月10日から埼玉の私立中学入試で適性検査型入試を実施する学校を受験し「合格通知」を受け取る。
?1月20日から千葉の私立中学入試で適性検査型入試を実施する学校を受験し「合格通知」を受け取る。
?1月20日から1月31日までは、最後の総点検を行う。
?2月1日と2日は、東京の私立中学入試で適性検査型入試を実施する学校を受験し、「合格通知」を受け取りつつ、最終調整をする。
?2月3日は、都立中の本番に臨む。
?2月4日は、東京の私立中学入試で適性検査型入試を実施する学校に出願しておく。受検生には、この日も受検するよと伝えておく。2月3日の都立本番のさなかに力尽きないようにするためだ。
小学生は、まだまだ幼い。2月3日を受検最終日にすると、今日で終わりだと思い、苦しかった受験勉強が終わった後のことが頭をよぎり、試験に集中できなくなる子がいる。これを防止するための出願だ。明日もあると思えば、2月3日の本番中に緊張の糸が切れるリスクを低減できる。受験料を払っているから、実際に受検してかまわない。2月4日に特待入試を行っている私立中もある。
重要なことは、併願する私立中は、合格できる(=不合格にならない)学校を選ぶことだ。前哨戦で「不合格」になると、自信喪失につながりかねない。「本番慣れ」どころか「本番恐怖症」になる。もし仮に「不合格」になった場合は、その事実を受検生に伝えないという配慮も必要だ。「合格発表は未だだよ」と誤魔化せばよい。その点で、埼玉と千葉は誤魔化せないから、絶対に合格できる(絶対に不合格にならない)ところを選ばなければならない。さしたる進学校でなくてもよい。受検生には関係ない。親のメンツの問題でしかない。
しかるべきレベルの私立中の「特待合格」を目指すなら、本気の本気で都立中への絶対合格を目指すべきだ。さすれば、自ずと「特待」も取れる。しかし、「都立中合格」と「特待合格」が、共にしか成立しない可能性が高い(=同時確立が高い)となると、体調不良による欠席など、不測の事態を除き、実質的に「特待」は意味をなさない。
結局のところ、また原点に回帰してしまうのだ。
都立中が第一志望なら、都立中に合格するしかないのだ。
?2月9日の都立中合格発表(九段はもう少し早い)後、「繰上合格候補」にも入らず、不合格が確定した場合、併願合格していた私立中に入学手続きするのか、地元公立中学へ進むのかを判断しなければならない。
「繰上合格候補」に入っている場合が最も難しい。辞退者の確かな人数が早く分かれば、私立中の手続き締切前に、手続きをするかどうかの判断が間に合う。しかし、私立の入学手続き終了日時が、繰上合格者数が分かる前に来るから、ほとんどの場合は間に合わない。こうした場合はどうするかの判断を、あらかじめ決めておく必要がある。しかし、その時にならなければ子どもがどう反応するか分からない場合は、入学手続きを取っておくしかない。
?2月10日以降、私立中学の一部で、公開や非公開で追加的に入試を行うところがある。毎年行っているところもある。都立中単願受検生の「残念組」の取り込みや、「一般スライド合格」した人などの再チャレンジ入試だ。「特待」再チャレンジ入試の場合は、入学手続きをしてからでなければ受けられない場合もあるので、事前に十分に検討しておく必要がある。
これで都立中受検は実質終了となる。
繰上合格候補者で繰上にならなかった受検生には、2月下旬頃に『事務手続終了通知』(正式名称ではない)が届き、この時点で不合格が最終確定する。入学予定者としての合格者も最終確定する。
これが最後だ。