[2018年1月23日]
近年気になるのは、母国語である日本語を軽視する風潮だ。
若い保護者に多いと思う。子どもへの影響が避けられない。
・漢字が正しく書けない。
・文章を書くときに「話し言葉」を使う。
・語彙力が弱い。
一番気になるのは「なので」を接続詞として使う人だ。これは以前にも書いたが、国文法的には明らかな誤りだ。「話し言葉」として使うのは使う人の勝手だが、入試などの記述で使うと減点対象となる。
?「なので、・・。」
「・・なので、・・」は、『助動詞』「だ」の連体形、または『形容動詞』の連体形に、『助詞』である「ので」が、連語として続いたものだ。
「雨な」(名詞「雨」+助動詞「だ」の連体形)+「ので」
「静かな」(形容動詞「静かだ」の連体形)+「ので」
「なので、・・」という『接続詞』は、もともとない。
「・・なので、・・」が、「なので、・・」に変形したもの。
正式な文章での使用は誤りとなる。
適性検査では減点対象となる。都立高校の推薦入試や、大学入試でも減点となる。
?奥さん、旦那さん
「奥さん」は、『他人』の妻を敬って言う言葉。奥様のくだけた言い方だ。つまり、自分の妻を「奥さん」と呼ぶのは正しくない。
「妻」または「家内」が正しい。
「旦那さん」も、『他人』の夫を敬って言う言葉。自分の夫を呼ぶにはふさわしくない。「ご主人」と同じ意味になる。もともとは、使用人や取引先の人、隣人が家主を敬って呼ぶときに使う言葉だ。自分の夫を「旦那さん」や「旦那」と呼ぶのは間違った使い方だ。
「夫」または「主人」が正しい。
これらは言葉の意味が正しく理解できていないか、敬語の使い方が誤っているかにより起こる。これも国語力の不足と言える。
適性検査でこれらの言葉を使うことは少ないだろうが、日常的にこれらの間違いを犯すということは、記述で類似の誤りを犯すリスクを抱えていると思った方が賢明だ。子どもは親の言葉づかいをマネするので、普段から気をつけて使用することをお勧めする。
?漢字・語彙力
漢字が書けないのは論外だろう。基礎学力のレベルだ。小6なら「漢検5級」までを、遅くとも小6の夏休み前には合格しておきたい。小5のうちに合格できていたら安心だ。
ところが、漢検に合格できていない受検生が多い。小学校で習う漢字を間違えると、これまた減点項目に該当する。それより、課題文を正確に読めているかどうかが疑わしくなる。
小学校6年間で習う漢字は当たり前に読み書きできなければ勝負にならない。それより高度な「熟語」や「ことわざ」や「慣用句」まで得意にしておかなければ互角に闘えない。
漢字については、小1から地道に学習訓練すべきだ。いくらワープロやスマホの時代となっても、グローバル化の時代であっても、小学校で習う漢字が書けないようでは教養を疑われかねない。小学校の漢字が完璧にならない人は、中学生になっても漢字を完璧にできない傾向がある。理科や社会の用語も怪しくなる。つまり学力が怪しくなる。漢字をなめてはいけない。
適性検査も大学入試改革も、思考力志向で知識を直接問わない方向性を持っているとしても、漢字が書けない人を救済することにはならない。そのために行われるのでもない。むしろ逆で、記述が増える分、漢字が書けない人には辛い仕打ちとなるだろう。
すべての学力の基礎である「国語」を疎かにしてはいけない。