[2018年1月31日]
2月1日から、東京と神奈川の中学入試が解禁となる。
その前日となった1月31日、千代田区内のあるホテルに、観光バスに乗った小学生の集団が到着した。修学旅行ではない。統制のとれた男女混成の集団である。昼食後、ロビーに整列したその集団は、整然と一列に並んで目の前から消えた。
もうお気づきだろう。関西方面からの中学受験生の遠征組だ。関西の中学受験は1月で決着がついている。もう進学先は決まっているはずだ。その上で、彼らは東京の中学入試に挑戦するために遠路はるばるやってくるのだ。
殴り込みだ。
2月1日に1日校に挑む受験生は覚悟しておいたほうが良い。彼らは関西の最難関中学に合格した強者揃いだ。開成などの東京の最難関校入試会場に殴り込みをかけてくるのだ。
関西の大手塾が合格実績を稼ぐために編成した特殊部隊だ。多くの場合、費用は大手塾持ちだ。東京観光や豪華な食事とセットで、中学受験会場に姿を現す。そして、忍びのごとく姿を消す。
2月1日、ついに決戦の火蓋が切られる。
これまでに見たことがなかったようなライバルの出現に動揺してはいけない。彼らのほとんどは合格することだけが目的だ。ただし、一部に入学する者もいる。東京の難関私立中に合格し、入学するために母子で東京に移り住んできた「子」を塾生として預かったことがある。中京圏の受験生であったが、中京圏の受験生には、関西と関東の中学入試にも参戦してくる受験生が少なくない。特に愛知県は「県立王国」かつ「私立寡占状態」かつ「公立中高一貫不毛地帯」だから、人口の割に難関中学の数が圧倒的に不足しているのだ。
都立中受検生には直接的な影響はない。なぜなら居住地により受験資格がないから、都立中には参戦してこない。都立中の併願向け私立中にも参戦してこない。そもそも参戦する意味がない。
その意味では安心してよい。しかし、彼らの参戦で東京の最難関私立に残念になった受験生が、2月3日の都立中入試で合格になると、辞退せずに都立中に入学するかもしれない。そこまで考慮すると、都立中受検生にとっても他人事とは言えなくなる。
ただし、考え過ぎは良くない。
それを含めて合否は決まる。それは毎年のことだ。いつも通りに当日を迎えればよい。しっかりと対策を積んできたらなら、運命の女神は微笑んでくれるはずだ。