[2018年2月6日]
首都圏の中学入試が終わった。
私立中学と国立附属中学の受験生は進学先が確定した頃だろう。
都内公立中高一貫校の受検生は合格発表を待っている事だろう。
中学入試は、事前の大騒ぎとは対照的に、あっけなく終わると書いたが、どんな感想を持たれたであろう。
今年も試験会場を巡った。どこかの大手塾のように、受験生や受検生を激励しには行かない。あの行動は緊張して試験会場に向かう多くの受験生や受検生とその保護者を威圧することになるので、一切禁止した方がよいと考えている。
試験会場を巡ったのは中学入試状況のチェックのためだ。異変がないかを確かめるためだ。毎年、数えるほどしか回れないので、それですべてが分かる訳ではない。気がついたことを書いておこう。
ある不人気私立中学は受験生を集めることにかなり苦労したようだ。試験会場である校舎の外に校長以下の幹部が出て、受験生を迎え入れようとしているのだが、ピーク時間であるはずなのに5分以上も受験生が途切れることがあった。しばらく観察していたが、受験生を数名しか数えることができなかった。にこやかな表情を保っていたが、心中は穏やかではなかったのではないか。じっと様子を窺う私に気づいたスタッフは、警戒心を露わに厳しい表情でこちらを見返してきた。トラブルにならないように、早々に立ち去ることにした。少子化が進む中で今後さらに厳しくなっていくのではないか。
御三家ではない、ある難関男子校は活況を呈していた。定員100数十名のところに、1,000人以上の受験生を集めたようで、都立中の試験会場以上に混み合っていた。受験生はほとんどが第一志望校の残念組だ。御三家の夢が破れ、最難関の夢も破れ、ここにたどり着いた。意気揚々とした雰囲気とは程遠い。悲壮感はないが疲労の色は隠せない。多くは「滑り止め」校の合格は持っているのであろう。気温が低かったのでマイカーで出かけたが、周辺のコインパーキングはすべて満車、公共の路上駐車場もすべて満車で、クルマから降りることはできず、校門から少し離れて迷惑にならないところから観察させていただいた。引率は父母の二人というのが目についた。マイカーやタクシーで到着する受験生も多かった。
御三家ではない、ある難関女子校は静かな入試状況であった。4日に回ったので、募集定員は50名弱だ。集まった受験生は300人強であろう。保護者ともども校内に案内されるので、校門付近に混雑はなかった。大手塾の激励応援団もあわせて十数名でおとなしくしていた。片側3車線の国道に面した校舎だが、通りの反対側から試験会場を視察する来年度以降の受験生親子が目立った。
2月3日は九段を巡った。同一時間帯に複数校を観察することはできないので、時系列では語れないが、特に異変は感じられなかった。粛々と会場に向かう姿は、どの公立中高一貫もほぼ同じように感じた。九段校舎と富士見校舎で男女別に検査を行ったようだ。それより隣接する私立男子校の方がやや賑やかだった。
小4や小5の受験生や受検生も、上の学年の入試日に志望校を回っておくと良い。集合時間に合わせて、本番で想定される経路で、会場に向かうのがよい。電車の込み具合、駅のトイレの位置、コンビニやドラッグストア、カフェやファミレスの場所なども併せて確認しておこう。予行練習になり不安解消に役立つ。2年続けて事前に下見しておけば、本番の状況をより想定しやすい。気持ちに余裕が持てるに違いない。
さて、また新しい年が始まる。また同じことが繰り返されるのであろう。
先輩たちが演じた悲劇は、けっして真似しないことだ。
悲劇は一度目なら「悲劇」だが、繰り返されたなら「喜劇」となる。
毎年繰り返される悲劇は、はた目には喜劇に見える。
笑いを取ろうとしているかのように見える。
悲しいことだが、そこに同情の余地はない。
ただ、過ちを繰り返しているに過ぎない。
どうしたら悲劇の主人公にならずに済むのか。
合格に必要なことはすべてやり切るコト。
合格から遠ざかることは一切しないコト。
不合格専門塾には通わないコト。
不合格者数No.1やNo.2の塾には通わないコト。
不合格専門塾で不合格の仕方を学ばないコト。
不合格者が多いほど儲かる塾がある。
高校受験でもう一儲けするには合格されては困る。
合格者はあちこち電話して集めればよい。
アナタはただ利用されるだけ。
ごく一部の人だけが合格できる仕組み。
ほとんどは高校受験生となる仕組み。
他力本願にはならないコト。
後手に後手に回らないコト。
決して遅れを取らないコト。
己の器を謙虚に見極めるコト。
実現不可能な夢は見ないコト。
根拠のない楽観はしないコト。
出題範囲のすべてを、遅くとも小6の夏には終えるコト。
その後は、総仕上げと、志望校の過去問演習に励むコト。
小6の夏までに、合格ラインを余裕をもって超えるコト。
その後は、その力を入試本番まで維持し磨き続けるコト。
そのために今、何をすべきか、常に自問自答しながら進むコト。
小6は実質半年しかないぞ。
力をつけることに専念する時期は過ぎた。これからは仕上げの時期だ。つけた力に磨きをかける時だ。
新受験生よ、新受検生よ、健闘を祈る。