[2018年2月21日]
中学受験する人は、中学受験のことで頭がいっぱいいっぱいになってしまう。でも高校受験のことも知っておくと、広い視野から判断できる。
高校受験を選択することは、女子にとってイバラの道となる。
ボリュームゾーンに、ちょうどよい学校が少ない。中学受験で選べた学校の多くが高校募集していない。しかも、名前を書くだけで合格できると見下していた学校の難易度が高い。恥ずかしいことに受験すらできない。
そこで都立高校狙いとなるが、都立高校はどこも激戦。確実に合格しようとするなら安全校まで下げざるを得ない。行ける学校の中に、行きたい学校がない。上を目指して猛勉するか、現状に妥協するか、私立単願に逃げるか、悩むことになる。
ほとんどの私立高校は、内申素点で受験できる学校が決まる。合否も決まる。だから偏差値などないに等しい。よって偏差値ランク表には書かない。
さて、受験勉強することにしても、猛勉できる自信がない。猛勉できないから中学受験に失敗した。猛勉できないから中学受験を諦めた。そんな過去がよみがえる。
そこに加えて、部活に時間が取られる。部活がある日は帰宅が午後7時過ぎになる。しかも疲れ切っている。気持ちだけ、その気になっても勉強できない。身体が言うこと聞かない。頭はもっと言うこと聞かない。いつのまにか、そうやって堕ちていく。
定期テスト対策を見据えた勉強だけでは受験勉強にはならない。皆がする定期テスト勉強だけやっていても差別化は図れない。しかも、いつも通りでは、定期テストの点数も上がらない。通知表の評価も上がらない。焦りだけは高まる。でもできないの繰返し。
部活を引退する中3になったらやろうと決意する。しかし、みんなも引退する。みんな受験勉強を始める。やれどやれど偏差値は上がらない。それは、他のみんなも頑張っているから。そのまま時間切れとなる。不本意ながらアナタの進路は決まる。どこかで経験したことがよみがえる。反省したつもりだったが、何も反省できていなかったとわかる。アナタの人生の岐路が決まる。アナタの社会における立ち位置が、この時点で、ほぼ決まってしまう。
?多くの人気女子私立高校は高校募集を行っていない。
?中学受験なら平易だった私立校も、高校受験では難関校になる。(男子も)
?併願優遇募集を行っている私立校は、中堅以下に集中している。(男子も)
?内申が高いのは当たり前の女子の中で競い合わなければならない。
高校入試では、同じ学校でも、入試方法により難易度が違う。これは男子も同じだ。
■難易度・高>難易度・低
都立:推薦>>一般
私立:一般>>併願優遇>推薦(競争アリ)>>推薦(競争ナシ)
■女子・主要高校難易度
78:
77:筑波大学附属、東京学芸大学附属、お茶の水女子大附属、慶應女子
76:渋谷教育幕張(千葉県)
75:豊島岡女子、市川(千葉県)
74:青山学院
73:(小石川中)
72:日比谷、西、(都立武蔵中)
71:広尾学園(医進・サ)
70:戸山、(東京学芸大学世田谷中)
69:東京工業大学附属、中央大学、広尾学園、(都立両国中、大泉中)
68:青山、宝仙理数インター、明治学院、(九段中)
67:小山台、駒場、三田、新宿、安田(S)、(東京学芸大学竹早中)
66:両国*、武蔵*、竹早、国際、(桜修館中、白鴎中)、東京芸大・音楽、東京工業高専、芝浦工大附属
65:(富士中)
64:小松川、大泉*
63:
62:富士*
61:白鴎*
60:文京
59:上野、目黒・・「オール4」以上
58:
57:
56:雪谷、広尾、田園調布・・「平均4」以上
55:
54:
53:向丘
52:
51:晴海総合、つばさ総合・・「平均3.5」以上
50:
49:松原
48:
47:桜町
46:大崎、美原、園芸
45:芝商業、農芸・・「オール3」以上
・新教育研究会(Wもぎ)などの情報を参考に独自に作成した。
・赤は国立、青は都立、黒は私立である。
・カッコ内は、都立中の難易度を高校受験偏差値に換算した推定偏差値。
・*印は「都立中」の高校入学枠。
都立中を目指す場合、総論として女子は男子よりも激戦となる。得点力は女子が高い。このため、平均的な都立中では男女混合の得点順で繰上となる補欠合格は、女子の人数が多くなる。
学校別に男女を比較する。男子と女子が揃って難しいのが小石川。男子が女子より断然難しいのが両国。桜修館も男子が女子よりやや難しい。それ以外は女子が難しい。武蔵と九段は女子が断然難しい。白鴎も女子が難しい。
特に、武蔵の女子は難しい。小石川の女子と並んで難しい。23区西部や多摩地区の「オールよくできる」が、自他ともに認める学力自慢が、こぞって参戦してくる。自ずと激戦となる。女子の定員は60人しかない。それに対して「オールよくできる」は数えきれないくらいいる。「オールよくできる」でも合格の保証は全くない。受検資格くらいに思った方がよい。
小石川と武蔵は、通知表における「よくできる」が100%の闘いだ。続く、両国、大泉、九段、桜修館までは、「報告書」の3段階評価が、「オール3」の闘いだ。白鴎もほぼ「オール3」の闘いだ。「富士」なら「2」が2つまでなら、なんとか勝負に残れる。
逆算すると、「よくできる」が、ほぼ100%必要だ。教科ごとの成績のバラツキ具合にもよるが、95%を切ると、合否判定に影響が出る恐れがある。85%を切ると挽回できない可能性がでてくる。一方で、バラツキがきれいなら、「よくできる」が80%あれば100%とほぼ互角になる。しかし、通知表の成績と基本学力には相関関係があるので、5年と6年の通知表に「よくできる」が85%以上なければ、九段なら4年も85%以上なければ、受検はおススメできない。絶対合格を目指すなら、富士を含め、ほぼオール「よくできる」が欲しい。それでも、半分以上は不合格となる。せめて「できる」は33個中の3個程度以内に収めたい。もちろん、「もう少し」は論外である。
都立中入試というのは「よくできる100%」の闘いである。特に女子はその傾向が強い。
この、「よくできる100%」は、中学での5段階評価では「平均4」以上となる。「よくできる100%」の中に、「平均4」から「平均5=オール5」がだいたい収まる。
女子の場合、受験対策を全くしないで模擬試験を受けた場合、「平均4」の高校受験偏差値は46以上だ。「平均4.5」では56以上となる。「オール5」なら61以上は出るだろう。
これを受験勉強で、「平均4」は56以上、「平均4.5」は65以上、「オール5」は70以上に引き上げないといけない。
「平均4」だと、高校入試では、白鴎や富士の高入枠合格圏には届かない。それよりも、かなり下で、都立中堅校の、雪谷、広尾、田園調布なら、なんとか不安なく合格できるレベルだ。この間に、上野、文京、目黒などが挟まる。
例えば、都立国際66。凡人から見ると、都立国際に合格する先輩は天才に見える。メチャクチャ頭のいい先輩に見える。偏差値65超でも、世間一般からすると、それくらい難しい。
例えば、東京工業大学附属高校69。私国立高校入試が追わった段階で、港区内のある公立中学校では、合格者の出た学校としては最も高偏差値な学校となった。つまり学年トップだ。担任やライバル受験生をビビらせるには、十分な威力のある学校だ。
しかも、この受験生、学校の先生からの評価は、義務教育の9年間一貫して芳しくなかった。その才能を見出したのはワタシが初めてだったと聞く。これにはワタシも逆に驚いた。ワタシには磨けば光る原石にしか見えなかった。そのことは他の塾生にも伝えていた。今年はこの受験生がトップを争うだろうと。そして、世間の目から見て、大化けした受験生となった。映画ビリギャルも顔負けの快進撃であった。ただし、この受験生は男子である。
東京工業大学附属に入学を決めると、都立高校の一般入試が受けられなくなるので、都立トップ校へは挑めなくなる。指導する側としては少しさみしい気もするが、「みなし都立トップ校」に合格者を出したということで、ここまでの合格実績を総括させていただきたい。
白鴎と富士の高入枠は、これでも中学受検よりは、かなり入りやすい。これは、中入生が高校内容を先取りしてしまうので、高入枠は人気がないことから起こる。つまり、白鴎中や富士中に、中学受検で合格できる人というのは、地元公立中学なら、最低でも5段階評価で「平均4」よりも“かなり”上になれる人ということだ。つまり「4」の中に「5」がチラホラ入る必要がある。これが、両国あたりだと、ほぼ「オール5」が必要となる。これは、小学生のうちにはイメージしにくいかもしれない。
地元公立中学で「オール5」とは、どんな人か?
国公立大学や最難関私立大学に合格する人が出て来るレベルだ。つまり、都立中に合格できる人というのは、将来に国公立大学や早稲田・慶應に合格できそうな人ということになる。
絶対評価の時代とは言え、学力上位層は私立中学に抜けてしまうので、地元公立中学では、平均すると5%もいないだろう。つまりクラス・トップだ。中学受験で学力トップ層が抜ける前の小学生時代なら、せめて上位10%に入っていないと難しい。男女合わせて、クラス3位以内だ。
アナタは、将来、国公立大学や最難関私立大学に合格できそうな人か?
自問自答してみるとよい。
・確信できるなら、遅れずに、しっかりと、正しい、受検対策を始めるがよい。
そして、しっかりと学力をつけるがよい。けっして、『総当たり解法伝授法』で学力がつくなどと思わないことだ。この方法では、一部のできる人はデキて、ほんのどのできない人は、デキないままとなる。
・確信できないなら、都立中の受検など、最初から考えない方がよい。むしろ選択肢に入れてはいけない。
辛い思いをするだけして、費用や時間を捨ててはいけない。辛い思いをしても、のどもとを過ぎれば、あっという間に忘れる。反省したつもりが、実は反省したつもりなだけで、実は反省していない人がほとんどだ。不合格も何ら教訓にならない。堕落した魂は、容易には堕落から抜け出せない。そして、過ちは繰り返される。だから、交通事故を起こした人の自動車険料は高くなる。保険数理や応用確率論における常識だ。
また、捨てることになる費用や時間は、最初から、高校合格の準備に充てるか、私立中学合格の準備に充てた方がよい。無駄にはならずに済む可能性が圧倒的に高い。
堕落した魂は、数学によって浄化される−ピタゴラス