[2018年4月18日]
漢検5級(小6相当)は小5で合格、というのが中学受験予定者への指導方針だ。ということは、漢検6級(小5相当)は小4で合格しましょうということになる。
小6で小6漢字を勉強していたら、受験勉強の追い込みなどできないから、小5で合格しておくということ。じゃ、小学校ではどうすればいいのと思うかもしれないけど、気軽に復習して、さらに完璧にすればいいだけ。漢字の宿題も楽々終えられるから、受験勉強の妨げにならない。
同じく、小学校で習う算数は、小5で小6まで終える。ここでいう小学校で習う算数とは、受験算数を除く部分のこと。小6相当の特殊残や高度な中学受験算数は、小6の夏期講習前(6月)に終えれば大丈夫。中堅校以上を目指す小学生なら、これも楽々終わる。小6で小6算数なんかやっていたら、これまた受験勉強などできないでしょ。小6での小学校の宿題は復習。復習にすらならないかもしれないほど楽々解けるはず。
さらに、社会も小5で歴史と公民まで終える。小6では新しい内容は学習しない。小6になったら、総まとめ演習と過去問演習に入る。小5までは、暗記系の仕上げはともかく、理解をしっかり進めておく。はじめは調べながらでも記述対策ができれば強い。暗記系は直前まで何度も繰り返す。暗記は繰返しが勝負。繰り返しながら実践レベルの問題を解けば、さらに定着が確実になる。
次に理科。これも小5で入試範囲を一旦終える。小6前期は入試実践レベルの内容に入る。ここでの学習は難易度が高くなるので時間がかかる。そして、ここでの学習が勝負の分かれ道となる。ここを乗り越えられれば難関校に手が届く。これは算数も同じ。小6前期からは、入試本番レベルの算数に取り組む。都立中に合格できるかどうかも、ここで最終的に決まる。算数も理科も、小6前期が天王山なのだ。
国語の知識と文法。中学入試頻出レベルの知識編、文法編は、小学校の授業では扱わない。小6になる前から、実戦レベルのテキストで徹底的に知識と文法の力を引き上げる。ただし、国語が苦手なままの子にはなかなか渡せない。小5が終わるまでに渡せない子は、その後も厳しい。
ここで重要なのは、小5で漢検5級(小6漢字)、小4で漢検6級(小5漢字)に合格しているということ。小学校で学習する漢字で知らない漢字があると、実践問題を効果的に進められない。その前に、満足な正答率が得られずスピードが遅くなる。国語の知識・文法編の仕上がりが遅くなり、引き上げられる到達点が低くなる。
国語読解。ここでも重要なのは、小5で漢検5級(小6漢字)、小4で漢検6級(小5漢字)に合格しているということ。受験国語のレベルを引き上げる上で、読めない、書けない、意味不明の漢字や語句があるのは決定的なハンディとなる。
実は読解の得点の悪い子を詳しく調べると、課題文の中に、読めない、書けない、意味不明の漢字や語句が多く、課題文全体が読みこなせていないことがほとんど。意味不明の漢字や語句を、前後関係から正確に推測できるだけの力があればよいのだが、こういう子はそうした力も弱い。だから飛ばして読む。よって、課題文を正確に読みこなせず、設問に正解できない。頓珍漢な答えを選択していたり、的外れな記述をしているからすぐにバレる。
国語の場合、親の国語力の影響がでる。親の国語力が低いと、子の国語力がなかなか上がらない。親子の会話のレベルが高いと、難なく国語が得意になることが多い。前提条件として、しっかりとした国語の受験対策が必要だが、親の国語力が低いと、これも実りにくい。
親の国語力は、保護者面談での会話や、頂くメールの文章でほぼ分かる。とても残念なことだが、指摘するのは失礼になるし、指摘しても改善はしないから、そこは他で埋め合わせるしかない。特に親子の会話の機会が多い母親の国語力は、子の国語力に多大なる影響を与える。「国語読解」や「算数文章題」が苦手だとよく相談されるが、正直、いつも回答に躊躇してしまう。本当のことを言いたいが、とても言えないというのは、実に苦しい。察していただくしかない。「親子でたくさん会話をしましょう」とでも言いたいところだが、レベルの低い親子会話をいくらしても、国語力は改善しない。
それから、都立中を目指す人に伝えておく。小5で「よくできる」が80%以上が実質的な最低条件だ。「できる」が特定の教科に2つ以上ないという条件付きだ。小5は、小4よりも達成が難しくなるから、小4でも80%以上あって欲しい。もちろん、小6も1学期から最低80%以上が目安。これでも安心できない。絶対合格を目指すなら、小5と小6の目標は100%。最低でも90%。それでも不合格になる人は後を絶たない。
他の塾で都立中に挑戦し、不合格になって、高校受験目指して、ウチに転塾してくる子がいるけど、「できる」が1個か2個で、残りは「よくできる」という子がほとんど。大手の都立中受検専門塾に通ったとしても、「よくできる」が90%以上ある子でも不合格になっているということ。じゃ、逆に報告書のデキが悪い子が合格できるのかというと、そんなことはない。さらに合格率は低い。報告書のデキが悪いにもかかわらず、大逆転合格できたという報告は、都立中入試の初年度など過去の話しだ。今はもう大逆転した話など聞くことがない。
九段を目指すなら、小4も報告対象学年だから、小3から「よくできる」100%を目指して取り組もう。ウチで小4から対策して小石川に合格した子は、小5も小6も「よくできる」が100%のパーフェクト。つまり、そういう闘いなんですよ、都立中入試というのは。営利最優先の塾ではどんな説明しているか知らないけど。「よくできる」が80%以上ないのに、前提条件なしで「大丈夫ですよ」と言われたら、詐欺トークだと思った方がよい。「よくできる」が80%以上あっても、大丈夫ではないのだから。
小4から始めても、小5から始めても、小6から始めても、合格に必要な準備内容というか、必要な勉強量は同じだから、準備期間が短いほど『負担』が大きくなる。それは、算数なら「速さ」の問題に置き換えればわかるはずだし、理科なら「仕事」の問題に置き換えればわかるはずだ。ある時点での『能力』が同じなら、早く始めた方が圧倒的に有利だ。遅れれば遅れるほど、不利になるばかりか、準備不足のまま本番を迎えるリスクが高まる。
昨年度後半から、今年度初めにかけて、多くの都立中を目指す受検生の入塾をお断りしたけど、どんなに指導しても合格が見込めない人は、どうしても受け入れる訳にはいかない。すでに在籍する受検生を油断させることになりかねないので、やっぱりできないんだよね。
都立中への合格を本気で目指すなら、小4早期で基準を満たして入塾し、その後も油断したり、サボったりせず、しっかりと指導に従って準備すれば、まず合格確実でしょう。
学力のレベルというか、受験の突破力を『根本的に』変えられるのは、小3から小4早期で、受験準備を本格スタートした人まで。小4が終わる頃には、「学習する力」と「相対的な学力」がほぼ決まる。小5が終わる頃にはガチガチに決まる。小6で大逆転なんて、まずない。少なくとも、都立中を含む、首都圏の難関中学受験で、小6で大逆転した話など聞かない。あるとしたら、でっち上げか、何か特殊要因がある場合だろう。
中学受験がダメなら高校受験でという人もいるけど、小5には高校受験で届く高校の難易度もほぼ決まるから、時期を逸せずに計画的に取り組むべきだ。「高校受験は中学生になってから」などという考えは甘すぎる。後悔することなるぞ。小学算数ができない人が、中学数学をデキるようにはならない。小学算数くらいは完璧にしておけ。漢字もね。
高校受験に絞ったなら、小5から英語に取り組みたい。お遊び英会話ではないぞ。受験に通用する英語のことだ。ここで重要なのは、バリバリの帰国子女でもない限り、英文法をないがしろにしないこと。さもなくば、難関高校も、難関大学も実力突破できなくなる。英文法悪者論や英語構文悪者論を唱える人がいるけど、英語の初学者が英語を理解するには欠かせない。英語の授業で何を説明してくれているのか分からなくなってからでは遅い。英語がネイティブ並みに流ちょうに話せるようになったら、英文法や英語構文は忘れてもよい。それまでは絶対必要。
小5になった時点で『勉強しろと言われなくても勉強する』ようになっていないと、その後は何をしても上手くいかない。これは、中学受験だけでなく、高校受験でも言える。小5までに決まるということ。特に女子は難しい。男子ならわずかに希望の光は残るが、男子であっても、その後に大逆転できるのは、ごくわずかな人だけ。それも必死に頑張った人だけ。
今春、東工大附属に合格した子は男子、成蹊に合格した子も男子。驚異的な大逆転をした子はみんな男子。どれほど驚異的だったかは本人の許しを得ていないので詳しく書けないけど、「できる」100%が、「よくできる」100%以上(ないけど)になったくらいの大逆転。
通っていた中学校が違う2人の男子の共通点は、「部活にのめり込んでいなかった」こと。片方が『科学部』、もう片方が『国際部』で、活動は月に2回ほど。そういえば、数年前に「5が2つで残りすべてが4」から、「4が2つで残りすべてが5」を9ヶ月で達成した女子は、『家庭科部』に所属して活動は週1回だった。
話しは戻り、今春は女子も頑張ったよ。9教科の内申素点合計(45点満点)で、9点より大きく上がった子がたくさんいた。分かりやすく書くと、「4が3つで、残りが3」が「5が3つで、残りが4」などの内申大幅アップ。でも男子ほど驚異的な結果を残した子はいない。これでも十分に上出来だと思うけど。
まとめると、小4や小5の成績が、小4や小5の相対的な学力のポジションが、その後は頑張っても、なかなか超えられないということ。手を抜いたり、サボったりすれば、どんどん落ちていくだけ。だから現状維持だけで多大なる労力を費やすことになる。成績を上げようとするなら、並みの努力では難しい。まあ、そこの手助けは得意なので、ご相談あれ。ただし、素直でない人と、学齢に見合った健康的な忍耐力がない人には、効果は薄い。
「漢検5級の小5合格」と「中学受験対策の小4早期での本格スタート」がいかに大切か、わかったでしょ。