[2018年4月29日]
適性検査問題を解いたことがある親なら、うすうす気がついていると思うのだが、適性検査問題は、ある程度の学力があれば、準備なしで、その一部くらいは難なく解ける。
これは何を意味するか、考えてみたことがあるだろうか?
保護者世代には、都立中学の適性検査問題など存在していなかった。それなのに解けることがある。つまり、適性検査問題の指導など受けていない人でも、解けることがあるということだ。
国公立大学を卒業している親や、私立大学の最難関校を学力試験で合格し卒業したような人なら、都立中の適性検査問題は、さして難しくないはずだ。
なんで、こんなにチョロイ問題が解けないのかと思う親もいるだろう。でも学力が備わっていない子だと解けない。親のイライラは頂点に達する。でもその責任は、学力をつけさせてあげなかった親にある。子を責めてもしかたない。
つまり、適性検査問題を解くための特別な訓練を受けていない人であっても、一定水準以上の学力があれば、適性検査問題は得点できるということだ。ところが、学力に自信のない親が解いてみると、得点できないことが多い。というか、まともな点数にならない。合格点に達するのは、さらに難しい。そこで、得点できない親は、一般的な中学受験対策とは全く違う、適性検査専用の特殊な指導を受ける必要があると勘違いする。
これは何を意味するか?
適性検査問題は「学力があれば得点できる」ということだ。そして、「学力がなければ得点できない」ということだ。全国の公立中高一貫校の中でも、都立中に関しては、この傾向が顕著である。特に、共通問題化した以降は、その傾向が鮮明になっている。
都立中に合格するには、「つかみどころがない、特殊な出題傾向の、適性検査問題」を解くための、私立中学や国立中学などとは違った、特別な訓練や指導を受けることが必要だと唱える人がいる。
しかし、実際に適性検査問題を本気で解いたことがある人は、そうは思わないであろう。特に、適性検査問題を得点できるような人は、決してそう思うことはないだろう。
・適性検査問題は、学力があれば得点できる。
・適性検査問題は、学力がなければ得点できない。
これが真実なのである。
よって、私立中の受験勉強と、都立中の受検勉強は、「本質」的には違わない。ここを取り違えてはいけないし、取り違えたままだと、都立中への合格は厳しくなる。頻出分野や出題形式が違うだけだ。必要な学力はほとんど違わない。
もちろん、都立中への合格を目指す人が、適性検査型の総仕上げ問題や、都立中の過去問で演習を積むのは意味があるし、効果もある。しかし、私立中への合格を目指す人が、私立中型の総仕上げ問題や、私立中の過去問で演習を積むことと、何ら違いはない。つまり、「志望校対策として適性検査問題を解く」ことに意味があるのだ。もちろん、早めに適性検査型の問題になれることも効果がないわけではないが、実際の適性検査は、少なくとも小6の学校学習範囲を早々に修了してからの方が効率がよい。あえて取り組むなら、適性検査?つまり小論文対策だ。適性検査?は作文ではなく小論文だから、その違いを早くからしっかり学んでおくとよい。
下準備として、私立中への合格を目指す人が、中学受験に必要な「算数・国語・理科・社会をしっかり学ぶ」ように、都立中への合格を目指す人が、中学受験に必要な「算数・国語・理科・社会をしっかり学ぶ」ことは、合格のためには必要不可欠なのである。
・適性検査は、学力があれば合格できる。
・適性検査は、学力がなければ合格できない。
学力が十分でない人が、いくら適性検査問題に取り組んでも、合格の可能性はない。学力をしっかり身につけてから、適性検査問題に取組めば、得点できるし、合格点を超えることもできる。
Q:都立中の受検対策は、小6からでも間に合う!?
それは、小6時点で、都立中に合格できる、卓越した高い学力を持った人の場合に限られる。つまり、中学受験で難関校を突破できる学力をしっかり備えた人なら、後は志望校対策をするだけで志望する難関私立中学に合格できるという意味だ。中学受験で難関校を突破できる学力がない人が、小6から都立中を目指して、適性検査問題に取り組んでも合格はない。
Q:都立中の受検対策は、小5からでも遅くない!?
それは、小4までの学力が、中学受験で難関校を突破できるような相対的な学力レベル、つまり偏差値に達している人に限られる。そうでなければ、遅くとも2年間で、そのレベルに達しなければならない。小4から開始した、開始時点で同じような学力の人に比べて、割増しの努力が必要になる。実際には、小5の4月1日本格スタートで、小6は正月までしかないから、33ヵ月かけられる準備を、21ヶ月でしなければならない。実際には、大手塾でも小5で小6内容までほぼ終わってしまうから、小4から始めたら24ヶ月で準備する内容を、実際には12ヶ月で終わらせなければならない。つまり、2倍の濃度か、2倍の速さやか、2倍の勉強時間で、取り組まなければならない。これがどんなに過酷なことか、よく考えてみれば分かるはずだ。
Q:自宅学習や通信教育で、小4までの内容をしっかり対策しているから、そんなことはない!?
本当に、自宅学習や通信教育で、進学塾並みの準備ができているだろうか。もしそうなら、進学塾などこの世に存在できないのではないか。自宅学習や通信教育で、進学塾並みの対策ができるには、保護者に進学塾の学習指導者並みの指導力があり、つきっきりで対策できなければ無理なはずだ。そうでなければ、それなりの対策にしかならない。
・適性検査は、学力があれば合格できる。
・適性検査は、学力がなければ合格できない。
都立中への合格を目指すなら、算数・国語・理科・社会の「基礎」をしっかり学ばなければならない。私立中型で仕上げるのか、都立中型で仕上げるのかは、その「基礎」ができてからの話しだ。
都立中入試は「競争試験」である。ある得点が取れた人はみんな合格できるような漢字検定や英語検定などとは根本的に厳しさが違う。
入学定員に入れるような得点力がなければならない。それは、入学定員に入れるような「学力」がなければいけないということだ。「よくできる」を取ることに、四苦八苦しているような人が挑戦できるレベルではない。
・都立中に合格できる「適性」とは「学力」のことだ。
都立中に合格した人の中には、大人しい人や、引っ込み思案の人が多く含まれる。元気で、外交的で、活動的な人というより、思慮深い人たちだ。共通しているのは、高い「学力」の持ち主だということだ。
・将来のリーダーに必要な「適性」とは「学力」のことだ。
・適性検査では、その「学力」が備わっているかどうかが試される。
よって、
・適性検査は、学力があれば合格できる。
・適性検査は、学力がなければ合格できない。
都立中への合格を目指すなら、遅くとも小1か小2から計画的に取組み、小2から「よくできる80%以上」を維持すること。学力があれば「よくできる80%以上」は容易に達成できるはずだ。逆に、「よくできる80%以上」を達成できないということは、学力が高くないということだ。
そして、手遅れになる前に、しっかりと受検対策を開始すること。そうすれば、都立中の合格圏に届く。小石川が志望校なら「よくできる(ほぼ)100%」を維持しながら、しっかり受検対策すること。
できないのなら、他の道を探すほうがよい。私立中学受験や高校受験なら、小3末で「よくできる80%」に届いていなくても、合格できる学校はたくさんあるし、逆転の可能性も残る。ただし、私立中学受験と高校受験も競争試験だから、遅くとも新小4から全力で取り組まなければ敗北することになる。
・都立中に合格できる「適性」とは「学力」のことだ。
・都立中に合格できないのは、受検した都立中に合格できる「学力」が不足しているからだ。
・都市伝説のようなムダな取り組みをしていては、都立中への合格はない。
・都市伝説のようなムダな取り組みは、難関高校受験でも、難関大学受験でも敗因となる。
・都合の良い情報のみで判断しないで、不都合な真実とも向き合いなさい。
多くの都立中受検希望者の親が語る、正体不明というか、お楽しみ優先のような「充実した小学校生活」を送っていても通用するかもしれない、文字通りの「思考力、判断力、表現力」が試される入試を行っているのは、むしろ、「リベラルアーツ入試」や「ルーブリック入試」などを行う私立学校の方だ。ただし、こちらも「学力」とは全くの無縁ではない。それなりの「学力」がなければ合格は難しい。
受検生やその保護者にとって都合が良いのは、都立中よりはるかに合格基準が甘いことだ。さらに都合がよいことは、都立中に合格できるような人は入学してこないので、入学後に落ちこぼれるリスクが相対的に低いことだ。望み通りの「充実した小学校生活」に続いて、望み通りの「充実した中学校生活」を送れるのではないか。そのまま、AOや推薦で大学へ進めばよい。
ただ、こうした受検生やその保護者にとって都合が悪いのは、特に保護者にとって都合が悪いのは、私立学校としての学費がかかることと、難関大学入試には通用しないことだ。しかし、難関進学校並みの高い「学力」を必要とせず、ほどほどの頑張りが認められる可能性があるので、こうした保護者にとっても、実は都合は悪くないのではないか。むしろ、「学力」と悪戦苦闘することから逃れることができるので、本音では、着地点としても都合がよいのではないか。
・都立中や都立トップ高校でいう「思考力、判断力、表現力」とは「学力」のことだ。
都立中は、都立高校の難関大学進学実績の復活を目指す方策の一つとして開設された。重点進学校となった日比谷高校などと、目指す方向は変わらない。都立中の使命は、私立御三家中学や私立難関中学に流れた優秀な生徒を、都立学校に取り戻すことだ。
呼び名に惑わされず、「本音」と「建て前」を取り違えず、入学試験の中身をしっかりと比較分析してみよう。入学試験の中身を見れば、どんな生徒に入学してもらいたいのか一目瞭然である。ミスマッチは、不幸な受検生活や、不幸な入学後の学校生活の原因となることも忘れてはいけない。
本質を見抜きなさい。
本質を見抜いて行動しなさい。
本質を突いた準備をしなさい。
・東大に受かる学力はない人は、いくら東大の過去問を解いてみても、東大に合格できない。
・東大に受かる学力はない人は、いくら東大の過去問類似問題を解いてみても、東大に合格できない。
・「東大」を「都立中」に入れ替えてみれば、何が大切で、どう取り組むべきか、明白になるはず。
「都立中に合格できる学力を獲得」しなさい。「都立中に合格できる学力の獲得」に一点集中で取り組みなさい。「都立中に合格できる学力の獲得」に名実ともに集中できる環境に身を置きなさい。
もともと優秀な受検生しか合格させられない「大手塾」のカモにならないように気をつけなさい。アナタの子は、大手塾に通えば、都立中に合格できる人ですか。
指導力も指導経験もない「パパママ塾」には注意しなさい。アナタの子は、受検指導力も合格指導経験もないパパママ塾で、都立中に合格できる人ですか。
実は学力不振児をカモにすることが得意な「大手個別指導塾」にも注意しなさい。アナタの子は、ちょっと個別指導を受けただけで、都立中に合格できる人ですか。