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三田学院

[2018年5月11日]

【都立高】華の三番手

都立高校の復活で、都立三番手校の入学難易度が高くなってきた。

都立中を目指し、ダメなら公立中学へ進み、高校受験で難関都立高校を目指そうとすると、現実はかなり厳しい。例えば3番手の人気校である都立三田を目指す場合、推薦入試なら「オール5」、一般入試でも「5と4が半々」は必要。小山台や駒場もそれ以上の内申が必要となる。

中1の1学期から「オール5」スタートを切ろうと思ったら、小学校高学年では「よくできる90%」以上が欲しい。しかも、「よくできる100%」でさえ「オール5」の保証などない。

「よくできる80%」だと「平均4」に届かなくても何ら不思議ではない。「よくできる50%」なら「オール3」でも驚いてはいけない。

「できる100%」だと、「オール2に近いオール3」が順当だが、テストの点数や提出物の状況によっては「2」がつく教科があっても不思議ではない。「もう少し」がある教科は「2」を覚悟しなければならない。「3」がついたら、かなり温情が入っていると思ったほうがよい。

「1」は、不登校や、授業中に無断で行方不明になるようなことでもない限り、定期テストの点数が悪いだけでは滅多につかないので、「2」が親世代に一般的だった相対評価の「実質的な1」だ。

「2」があると、低偏差値私立高校でさえ進学があやしい。定員割れしていても合格できない、合格させてくれない可能性がある。「2」のある人はお断りと、はっきり表明している私立高校が多い。だから「2」も滅多につかない。よって、「2」が一つでもある生徒は、学年ビりの可能性すらある。つまり「オール3」は、かなりの下位層ということだ。

話しは戻るが、中高一貫校の高入枠は定員男女40人ずつと少ないため、リスクがある。両国や武蔵は内申と偏差値ともに準トップ校レベルが必要。二番手の両国は「オール5」がこぞって受けにくる。おなじく二番手の青山は合格者の平均内申が「オール5」の年度すらあった。一番手の日比谷は「オール5」でもバタバタ落ちる。内申が良くても実力がないと落ちる。三番手の中でも平易な、富士、白鴎ならそこまで厳しくはないが、「オール4に、5が数個程度」しかないのなら挑戦しない方が安全だ。

この下の都立高校となると、上野、文京、目黒になる。「平均4以上」ならなんとか合格できる可能性があるが、校内トップでやっと国公立大学に届くかどうかという、ちょっとさみしい進学実績を覚悟しなければならない。

将来、高校受験もあり得るというなら、高校受験を見据えた準備を早くから着手しておくべきだ。一つは小学校の「報告書」対策、もう一つはしっかりとした「学力」対策だ。そして、学力優秀層がごそっと抜けた後のワイルドな地元公立中学を生き抜く「サバイバル力」だ。

始業のベルが鳴っても始められない「授業」、私語で先生の話が聞こえない「授業」、居眠り生徒の無秩序に伸ばす手足が邪魔な「授業」、油断しているとネクタイをつかまれて廊下を引きずりまわされる「休み時間」、何の前触れもなく水をかけられる「休み時間」、たまたま問題行動を起こした生徒と一緒にいただけで居残りを命じられ長時間の説教を受ける「生活指導」、教科書や持ち物がなくなる「伝統的なイジメ」、ライングループで標的となる「陰湿なイジメ」などなど、「選抜ナシ」で「誰でもタダ」の実態は甘くない。全力もって「サバイバル」し、余った力で「高校受験の勉強」。これが地元公立中学3年間の学校生活の姿だ。

特に「サバイバル力」がない人には厳しい。地元公立小学校より格段に厳しい。上手く生き抜かないと、高校受験もおぼつかなくなる。「サバイバル」で勉強への意欲を維持するのは容易でなく、その上、さほどレベルの高くない「部活」に体力と時間を奪われ、いざ勉強開始という頃には、気力も体力も尽きている毎日を送ることになる。

高校受験で成功したいなら、とにかく早くから受験勉強に着手すること。開始するなら小5の春がベスト。遅れれば遅れるほど、高校受験対策が重くのしかかるようになる。「よくできる80%以上」、英検3級合格レベルの英語力と、中学数学に耐えられる正確で高い算数力を身につけてから、地元公立中学に入学しよう。そうすれば、その後の努力次第では、都立「華の三番手」を目指すことが可能になる。

都立「華の三番手」以上を目指す上での、小学校内容の具体的な目標は、小5と小6で、最低でも「よくできる80%」だ。手を抜いてはいけない。中1の1学期の成績に、定期テスト成績とともに、影響してくる。中1の1学期の5段階評価は、その後の「通知表」成績にも影響を及ぼすので重要だ。高校受験対策は中1の1学期には、もう本格的に始まっているということだ。

地元公立中学進学が「メイン・シナリオ」なら、都立中の適性検査対策をすることは、「寄り道」、「道草」、「脱線」でしかない。書店で、高校受験対策の参考書や問題集を見れば一目瞭然だ。しかも、高校入試には英語がある。お楽しみ英会話ではない。都立トップ校を目指すなら、小5から高校受験を見据えた英語対策も開始しておきたい。

さて、「華の三番手」が人気なのは、レベルの低くない学友と一緒に高校生活を送れ、かつ、学内上位の成績なら、国公立大学や早慶にも進学できなくはないとの評判が、理由のようだ。

地道な努力で手が届きそうな「難易度ポジション」にあることも人気の理由だ。しかし、今や三番手の多くは難易度が上昇し、倍率も高いところが多く、かなり激戦化してきている。地元公立中学から確実に合格を目指すなら、3年間クラス1位を死守したい。

また、入試問題を自校作成校する一番手や二番手の一部などと違い、入試問題に都立共通問題を出題するため、受験対策がしやすい。ただし、「都立中高一貫校の高入枠」(武蔵、両国、富士、大泉、白鴎)ではグループ作成問題が出題されるので、専用の対策が必要だ。

■現在の都立高校の序列

学区制、学校群制、グループ選抜などが廃止され、都立中となった一部の名門都立高校が高校募集を停止するか縮小した後の姿だ。ただし、多摩地区は割愛した。青文字の都立高校が、おもな「華の三番手」だ。

一番手:日比谷、西
二番手:戸山、両国、新宿、青山、国際
三番手:大泉、白鴎、富士、小山台、駒場、小松川、北園、竹早、三田

*二番手では、戸山の難易度が一番手に迫る。
*三番手では、小山台と駒場の難易度が高く、一部の二番手と難易度で並ぶか逆転している。
*小松川と三田は女子の難易度が高い傾向が続いている。

■学校群制度導入前の伝統的な序列

もともと旧学区の一番手だった小石川と両国は、中高一貫化した後も、高いポジションを獲得できている。旧学区の二番手以降で中高一貫化した富士、白鴎、大泉は、都立中としてのポジションが中位以下になっている。番外だった桜修館の躍進は注目に値する。上野の没落は痛々しい。

学区の一番手校には、かつて東京大学(旧制第一高等学校を含む)の合格者数で全国トップ10に入った学校が多い。日比谷、戸山、西、小石川、両国が該当する。小山台や新宿もトップ10に入ったことがある。

尚、多摩地区は手持ちデータ不足のため割愛した。

旧第一学区:1日比谷、2小山台、3九段、(三田)
旧第二学区:1戸山、2新宿、(駒場、青山、桜修館
旧第三学区:1西、2富士、3大泉
旧第四学区:1小石川、(竹早、北園)
旧第五学区:1上野、2白鴎
旧第六学区:1両国、(小松川)

*赤は都立中高一貫化した学校。
*学校名の前に書かれた数字が、1なら一番手、2なら二番手、3なら三番手。
*カッコ内の学校は、この当時、二番手や三番手と呼ぶほどの進学実績はない。