[2018年5月24日]
前年度の、中学入試の結果を分析していて、次の現象が起こっていたことが分かってきた。
先の冬の中学入試は、高校入試とおなじように、二極化が大きく進んだ。
?高校入試だけではなく、中学入試でも「ニ極化」が進んだ。
?最難関での序列変化や、難関や中堅での大きな難易度変化が見られた。
?セグメントとして、都立中学の一人勝ちが鮮明だった。
?私立上位校で、難易度、つまり偏差値が上昇した学校が目立った。人気校で難易度が上昇している。果敢にチャレンジする受験生が増加している。この原因として、少子化、受験率の上昇、私立高校の授業料無償化が考えられる。
海城2:73→74
巣鴨2:62→64
豊島岡女子1:75→76
吉祥女子2:68→70
頌栄女子1:67→69
立教女学院1:65→67
品川女子1:58→61
品川女子2:**→66
品川女子3:58→62
恵泉女子1:57→62
三輪田1:48→52
栄東A:68→70
広尾学園1:68→69
三田国際1:59→62
茗渓学園2:54→60
かえつ有明1:49→55
小石川:69→70(男子)
小石川:69→70(女子)
両国附:65→66(男子)
九段B:65→66(女子)
桜修館:65→66(女子)
九段B:64→65(男子)
白鴎附:63→64(男子)
白鴎附:63→64(女子)
東大附:56→59(男子)
東大附:58→60(女子)
?私立男子御三家の構成が崩れつつある。開成に続くのは、麻布・駒場東邦・海城だが、麻布・駒場東邦・海城には、ほぼ難易度の差がなくなった。私立武蔵は大学附属ではない男子校としては5番手となった。
普連土学園と品川女子の難易度が逆転した。品川女子は1日午後に算数入試を導入し受験生を引きつけた。代わりに、普連土の2日午後の算数国語入試が大きく難易度を下げ、普連土は全体でも少し下げた。光塩女子が難易度を下げ、山脇とほぼおなじになった。豊島岡女子、吉祥女子、頌栄女子などの難易度が上昇した。
寮のある学校では、共学の茗渓学園2がジャンプアップし、茗渓学園1とともに、男子校の海陽学園2を逆転した。男子校の函館ラサール2を大きく引き離した。
?都立中の一人勝ちが鮮明となった。ほとんどの都立中でで難易度が上昇した。難易度が下がった都立中はなかった。
特筆べきは、2月13日以降でも、最難関私立中学のホームページの入試結果情報が、度々塗り替えられたことだ。都立中の合格発表や繰上合格の連絡を受けて、すでに手続きを終えていた難関私立中で、辞退する人が多く、繰上合格者がでるという玉突きが起きた。蒼々たる難関私立中でさえ入学辞退する都立中合格者が増加傾向にあることを示している。センシィティブな情報なので私立学校名や人数等は書かないが、御三家と最難関は、ほとんどが該当すると思っていただいて差し支えない。
行き先のほとんどが小石川であることは間違いないだろう。私立御三家合格者が都立中に不合格になる人数が断トツで多いのは小石川だからだ。よって小石川を選ぶ価値がある。正規合格であっても、繰上であっても、私立御三家より小石川を選ぶ受験生が増えたのだ。繰上だからこそ小石川を選んだのかもしれない。浮いた授業料で、塾や予備校に心おきなく通って、さらに学力に磨きをかけ、難関大学合格をより確実にすること目指す考えもあっておかしくない。あるいは単純に共学校だから選んだのかもしれない。私立御三家に支払い済みの入学金や諸費用を捨ててでも、小石川を選んだ人が数多くいた事実には隔世の感がある。都立の進学校は、長い低迷期を脱し、完全に復活したのである。
さて、一方で、私立下位中学では受験生を集めるのに苦労した学校がたくさんある。偏差値ランキング表では見えないが、実質全員合格、実質定員割れで、偏差値が意味をなさない学校が多い。しかし、魅力的な教育を実施している学校も多いので、偏差値で切捨てないで、情報収集してみてはいかがだろうか。思わぬ発見があるかもしれない。偏差値のより高い学校が、アナタにとっての良い学校とは限らない。
特に、高校受験で苦労しそうな受験生は、中学からこうした学校へ進んでおくことも選択肢に入れておいた方がよい。特に、学力に自信が持てない男女と、大人しすぎて埋没してしまう女子と、しばしば生活指導で注意を受ける男女は、高校受験では苦労する。というか、まともな高校に進めない可能性が高い。高校受験は「報告書」で受験できる高校が決まってしまうので、「報告書」の素点が悪くなるほど、受験できる高校がドンドン少なくなる。私立だと出願すらできなくなる。残るのは、低偏差値底辺私立高校になる。中学受験で偏差値表の最底辺にある学校よりも、さらに低偏差値の学校だ。高校中退率が異常に高い高校が多い。
低偏差値の私立中高であっても、中学受験で入学させてもらっておくのが良いかもしれない。学校説明会や公開業時に頻繁に参加するなどして、学校関係者と懇意になり、積極的かつ詳細な情報収集をお勧めする。より安全な中高6年間の生活を確保できる可能性がある。ただし、学業不振による追放がほとんどない学校に限る。大学附属や、大学附属ではないが高校募集で成功している学校は、いくつかのタイミングで、学力不振による「追放」があるので、この点に関しては、しっかりと事前に確認しておくとよい。「追放」されて成功した人の話しは聞いたことがない。