[2018年5月30日]
西へ東へ、ではなく、西へ日比谷へ。
今日は、泣く子も黙る、都立トップ校の、都立西高校について書く。
概要は次の通り。旧制府立10中。創立81周年。自由な校風。私服。募集人員約320名。H30年度の国公立大学合格者190名。杉並区宮前。京王井の頭線久我山駅徒歩10分。土曜授業ナシ。50分授業。週3〜4日は7時間授業。残りは6時間授業。ゼロ時限授業アリ。クラスマッチ(夏・春)という名の運動会。記念祭という名の文化祭。高校アメリカンフットボールの発祥高校。都理数研究校。都グローバル10。文科省のSSHやSGHの指定は受けていない。ハーバード大、マサチューセッツ工科大などでの海外研修制度アリ。
一学年320人で、国公立大学合格者200人は、かなり強烈だ。
一学年400人で、国公立大学合格者300人の高校に通ったから、強烈さがよくわかる。
一学年400人前後の公立中学マンモス校を、ほぼトップの成績で卒業しても、学年上位25%に入るのは容易ではなかった。学年50番以内なら東大か京大に楽々合格するような高校だった。国公立の医学部医学科にも、一学年10〜20人が進んだ。灘・開成・ラサールをライバル視するような、いかれた公立高校だった。入学早々から難関国公立大学の二次試験を想定したレベルで授業が進むから、予習しないと全く何を言っているのか理解できなかったという思い出がある。
過激なくらいに充実した高校生活を送れるのではないか。
なぜ、都立西について書くのか。
今回から、入試問題がグループ作成から自校作成に戻り、それによる影響を確認するために、都立西高校を訪問したから。
学校説明会で保護者や受験生向けに説明されるような内容ではなく、入試問題に重点を置いて書く。
■国語
見た目は共通問題と似ているように見える。しかし、恐ろしく難しい。共通問題なら90%くらいの得点力がある受験生でも、60%取るのは容易ではない。受験生の平均得点率は51%。合格者の得点率は公表してくれなかったが、おそらく60%弱だろう。
学力トップ層に共通問題のような易しい問題を出すと、どの子が本当に学力があるか見分けがつかないので、本当に学力がある子をあぶりだせるような出題傾向になっている。漢字の読み書きはもちろん、物語文や説明文の読解、古典、それぞれにハイエンドな問題となっている。大学生であっても三流大学だと、合格ラインを越えられないのではないか。ハイレベルな読書ができる受験生でないと突破は難しい。男子は相当苦戦するのではないか。
■数学
見るからに共通問題とは違う出題内容だ。過去問で確認されたし。記述問題が目立つ。純粋な数学の記述問題だ。都立中の適性検査のような記述ではない。推論の過程が正しく記述できないようだと得点できない問題が目立つ。つまり、いきなり答えが出てくるような解答では正答にならずわずかな部分点が与えられるのみとなる。正確な計算力、数学用語の正しい理解ができていないと得点につながらない。受験生の平均得点率は57%。
数学の大問1は、都立高校共通問題とは大違いで、難関私立中学の大問1の匂いがした。大問4も難関私立中学で出されるような、高度な平面図形の問題だ。大問2も大問3も共通問題とは一ひねりも二ひねりも違う。随所に落とし穴がある。数学力に一縷でもいい加減さがあると、あっという間に罠にはまりそうな問題だ。それでも難しくなりすぎないように配慮しているとのことだ。
■英語
長文が長い。明らかに長い。約3,000語の英文を読まなければならない。英文読解力に自信がないと最後までたどり着けないだろう。問題の英文を二度読みする時間はない。一回で正確に読み取れないと得点できない。グループ作成前の自校作成の時とおなじ出題方針に戻したという。英文法や英単語は完璧でないと無理。その上で高度な英語長文読解力が必須となる。リスニング力や英作文力のレベルで、最終的な勝負が決まる。
■共通
大学入試改革、高大接続などを意識して入試問題を作成しているとのことだ。よって、バリバリの学力試験問題となっている。いいですか、適性検査型問題ではなく、PISA型のような思考力テストでもなく、バリバリの学力試験だ。都立西高校を目指す受験生は、小学生のうちから難関私立中学を目指すような受験勉強をしておいた方がいい。特に算数と国語。間違っても適性検査対策などしていてはいけない。中学内容に進んだら、数学と英語は基礎基本からハイエンドな内容まで、しっかり理解し活用できるようになること。国語は大学入試レベルの課題文が読めるくらいの国語力を目指すべきだ。三流大学卒の大人だと、合格ラインを越えられないようなレベルだ。
■H30入試結果
倍率が低下傾向にある。女子は1.34倍と、かなり低くなった。男子も1.65倍と高くはない。ただし女子は隔年現象が見られるので、来年は1.4〜1.5倍くらいになるのではないか。男子は1.6倍前後で推移するだろう。西高校側も入試倍率低下の理由を把握しかねていた。小6人口の減少、都立トップ校の難化による敬遠、私立高校無償化による私立難関高校への流失、大学付属校人気などが理由ではないかと思うが、十分な裏付けデータはない。個人的には、高い浪人比率が女子に懸念されたことも、要因の一つかなと思う。
■感想
・浪人比率が高く約50%が浪人する。
・浪人覚悟で難関大学を目指す傾向がある。
・駅から遠い。
・道が狭く、歩道が車道から分離されていない道を歩かなければならない。
・狭い道を、トラックなどの大型車両が行きかうので、危険。
・クルマの少ない裏道を見つけて歩くのが良かろう。
・自転車通学率が高い。40%近い。
・どうやら、遅刻する生徒が少なくないようだ。実際に見かけた。
・都心から遠い。港区三田からなら約1時間の通学時間を覚悟しなければならない。
・運動場が広い。都心の進学校にはない魅力だ。
■おまけ
都立学校の入試問題の作問ルールを事実上たくさん確認できた。極秘事項だと思うので、この日記では書けないし、書かない。推薦入試の小論文の採点基準も確認できた。都立中の適性検査?共通問題とおなじ。わかりやすい学校だと思った。職業柄、こういう学校は大好き。受験指導に存分に活かせる。活かしてほしいのではないかとすら思った。とにかくトップエンドの学力を持つ受験生が欲しいようだ。これも、わかりやすい。
そう。ちゃんとわかっていると感じた。学校は塾と仲良くしなくてはいけないということを。すべては受験生のためだから。受験生に選ばれてこそ、トップ校でいられるのだから。
ポスターをくれたけど、どこに貼ろうか。
地域柄、日比谷、小山台、三田の人気が高いんだな。
ところで、生徒は定期試験の真っただ中なので、様子を覗くことはできなかった。また、いつか会えるだろう。定期試験に遅刻して大丈夫なのか。頑張れよ。
西へ日比谷へ。次は日比谷。
第一学区は近くてありがたい。