[2018年5月31日]
都立中に合格する子、と、都立中に合格しない子
何が違うか?
尺度が不明瞭な判断基準だと、都合が良いように解釈してしまう人がでてくる。
曖昧で都合の良い意見が巷には多い。そして、そうした発言をする人は、すでに不合格になった親子に多いのだが、不合格になりそうな親子ほど、そうした情報に飛びつきやすい。
分析可能な情報に注目すると一目瞭然である。客観的でなければ、情報は信用できない。
話しが長くならないように簡潔に書く。次のすべてを満たすなら、合格する可能性がある子だ。
?報告書はほとんど満点、つまり「オール3」
?通知表はほとんど満点、つまり「よくできる90%以上、または100%」
?テストはほとんど満点、つまり「ほぼ毎回100点」
?小5や小6で小学校の学習内容に不安なし
?算数や国語に圧倒的な自信あり
?ハイレベルな読書家である
?受検生本人に、受検勉強の実行力がある
?保護者に、適切な計画力や実行力がある
次の1つでも該当すれば不合格になる可能性が高い。2つ以上該当すると、不合格になる可能性が少なくとも半分以上ある。3つ以上該当すれば、ほぼ合格の可能性はない。
?報告書に「2」がある。
?通知表に「できる」が「15%以上」、つまり「5個以上」ある。
?テストは「100点」でないことが多い
?小学校の学習内容に全く不安がないと言えばウソになる
?算数も国語も圧倒的な自信はない
?読書が好きでないか読書が苦手
?受検生本人に、受検勉強の実行力が足らない
?保護者に、適切な計画力と実行力が足らない
小3の学年末で、「ほぼオール3」に届いているかどうかが、都立中受検を視野に入れるかどうかの目安となる。「ほぼオール3」とは、「2」が一つまでを意味する。
小3の学年末で、「ほぼオール3」に届いていれば、新小4もしくは小4早期から直前まで、適切な都立中受検対策を実行し続けることができれば、高い確率で都立中に合格できる。ここで、適切な都立中受検対策とは、他塾での対策のことではない。他塾のことまで責任は負えない。大手都立中専門塾では、小3から準備を始めても高い確率で不合格になっているようだから、そうした塾と一緒の塾かのように考えないでいただきたい。
「2」が2つ以上あっても合格の可能性が残る都立中は、23区内には、ほぼなくなった。ほぼというのは、1つくらいはない訳ではない、ということだ。ただし「2」が2つ以上あっても確実に合格できるという意味ではない。合格できるかもしれないという意味だ。ほとんどは不合格になる。
小5と小6は、小学校の学習内容も難しくなるので、「ほぼオール3」をキープするのが難しくなる。これにより、実質的に合格できそうな子が絞り込まれていく。小5と小6でも「ほぼオール3」がキープできて、適切な受検対策を本番まで実行し続けることができれば、合格する可能性がある。
都立中に合格できそうにない親子の選択肢は以下の通りだ。
?都立中受検は諦め、私立中学で成功を目指す。
?都立中受検は諦め、高校受験で成功を目指す。
都立中学に合格できそうにないのに、都立中を受検するのは、「万歳突撃」や「玉砕」のような行為だ。入試直前であっても、冷静に思いとどまった方がよい。
中学受検と漢字検定受検などは、受検の意味が全く違う。漢字検定は何度でも挑戦できる。だから最終的に合格できる可能性が高く、合格すれば不合格は帳消しにできる。しかし、中学受検に不合格になると、再挑戦できないから、帳消しにはできない。例え、高校受験や大学受験で成功しても、都立中に不合格になったことを、帳消しにはできない。不合格の経歴は残る。命を全うするまで残り続ける。
合格できそうな子でさえ、不合格になる子はたくさんいるのだから、合格できそうにない子に勝ち目はない。
都立中不合格の「十字架」を背負って地元公立中学へ進むより、「十字架」なしで地元公立中学へ進む方がよいのではないか。
この近所なら、品川女子、普連土、高輪に合格できそうにないのなら、都立中受検はおススメしない。合格は難しいし、入学後のハイレベルな授業についていけなくなるリスクが高い。
頌栄、芝、広尾学園に合格できそうなら、かなり可能性がある。しっかりと、適性検査突破に向けた準備をするがよい。
私立御三家中や私立最難関中に手が届く受検生でも油断してはいけない。不合格になる人が後を絶たない。ぬかりなく適性検査対策を早くに仕上げるがよい。
小5や小6の時点で、将来に国公立大学や最難関私立大学を目指せるような子でない限り、今となっては都立中を目指すのは「お門違い」なのだ。
小5や小6の時点で、将来にMARCHクラスの大学を目指せるような子であれば、高校受験で進学校を狙えなくはない。早くから取り組めば、さらに上が狙えるようになる。小5から、こちらの道を選ぶ方が賢明ではないだろうか。
地方の公立高校経由で難関大学を狙うのとおなじ戦略だ。そういう子も、小5から目に見えて頭角を現してくることが多い。しかし中学受験はしない。近くに中学から入れる進学校がない。でも東大・京大や国立大医学部医学科へ進む強者も少なくない。
出遅れてしまった子や、あと伸びする子は、高校受験で成功を目指す方が賢明だ。ただし、甘い自己評価や甘い受験対策など、おなじ過ちを、ここでも繰り返さないようにしろ。小5から、しっかり始めなさい。