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三田学院

[2018年6月10日]

【都立高】三兎を追う小山台

小山台高校をご存知だろうか。旧第一学区では日比谷に次ぐ二番手校であった。旧制府立八中の伝統ある名門進学校である。都立高校全体では三番手の扱いだが、三番手筆頭格の風格がある。

2014年に野球部が甲子園に出場した、文武両道の都立名門進学校としても知られる。東急目黒線武蔵小山駅から徒歩0分とアクセスが抜群に良い。

特筆すべきは、生徒の礼儀正しさ、素直さ、真面目さである。学校説明会などに参加すれば一目瞭然だ。隠れた人気校となっている。学校説明会などは、都立中学の説明会以上に盛況となる。

班活動と呼ばれる部活動が盛んなことでも有名である。野球の他、文化系では将棋班が全国大会に出場するなど、いろいろな分野で強豪校である。

都立駒場高校とおなじく器械体操部がある。器械体操に挑戦したいなら、都立高校では駒場か小山台となる。駒場高校のように保健体育学科を持たないので、部員には初心者が多く、気軽に入部できる。

大学進学実績も良好だ。学校方針として「三兎を追え」という掛け声のもと何事にも全力で取り組む校風となっている。三兎とは、学業・行事・部活のことである。「一兎を追うと一兎しか手に入らないが、三兎を追えば三兎を手に入れることができる」という考え方らしい。

学業・行事・部活をすべて全力で取り組んできた、今なお残る数少ない牧歌的な公立中学校の優等生にとって、とても居心地が良い高校となろう。そのまま高校でも学業・行事・部活に取り組みながら大学受験を目指せる。ただし高3生の部活引退時期は6月上旬と他の都立校とおなじだから、実質2年間となる。その後は、大学進学という「一兎を追う」日々となる

合格の下限の目安は、「5」が3個以上(男子)または5個以上(女子)で、残りは「4」。5教科共通問題の得点率平均は80%以上である。「5」が7個以上あり、80%の得点率なら、まず不合格になることはないだろう。入学後もそのまま校内学力上位をキープして難関国立大学を目指すという手もある。

おなじような入学難易度の都立三田に比べて、著しく国公立大学への進学実績が良好である。勉強ばかりしてきたのではない、余裕で「5」を並べてきた、まだ伸び代の大きい生徒が入学してくる傾向にあるのではないだろうか。それでも、国公立大学へ進めるのは上位30%が目安となる。三田は10%程度しか国公立大学に進めない。しかし、三田はここ数年入学難易度が上昇したので、今後は少し改善すると見ている。

尚、主要な都立高校等の2018年3月の国公立大学合格実績は次の通り。小山台の健闘ぶりがよくわかるだろう。比較しやすいように、すべてを、8クラスの320人に換算しておいた。新宿や駒場がライバルと見てよいだろう。二番手と三番手の境目の立ち位置である。進学実績からは、戸山と小石川は、もはや一番手と呼んでも差し支えないのではないか。

日比:222人
国立:195人
都西:190人
戸山:175人
小石:160人(80人)
八東:156人

換算後150人超はここまで。一番手校と二番手上位校が名を連ねる。「オール5」は当たり前の競争となる。完全中高一貫の小石川は、完全に6年前の入学者の実績だから、今後さらに向上しそうだ。もちろん、他の都公立中高一貫校もさらに向上が見込まれる。3年制の都立高校と、6年制都立高校である都立中が、ともに都立高校の復権を担っていることがわかる。

立川:134人
青山:129人
武蔵:123人(77人)
両国:122人(76人)
桜修:110人(55人)
新宿:103人
小山:100人

換算後100人超はここまで。二番手校と三番手上位校が入る。青山から上は「オール5」が安全圏の目安となる。武蔵や両国もほぼ同じ。小山台の安全圏は、本試験の得点力にもよるが、女子なら「5」が6つ以上、男子なら「5」が5つ以上、残りすべてが「4」だ。

九段:090人(45人)
駒場:082人(72人)
富士:082人(51人)
白鴎:081人(61人)
小松:076人
大泉:072人(45人)
武北:069人
東附:059人(22人)
竹早:058人(52人)
北園:054人

換算後50人超はここまで。三番手は都立三田を除きここまでに入る。九段はA区分が生徒数の半分を占めるので、単純に換算するのが適切か迷うところだ。A区分の半分が貢献していないと仮定し除外すると換算後は120人となり、両国に続く。白鴎と富士も、入学難易度が中入生よりかなり平易な高入生を、換算上の分母に含めるのが適切かどうか判断が難しい。白鴎はほぼ中入生が稼いでいるだろうから、中入生だけで換算すると122人となり両国と並ぶ。富士も中入生だけで計算をすると136人となり立川を抜くことになる。よって、高校3年次のクラス数を8クラスに変換する当該表の換算方法が妥当なところだろうか。白鴎も富士も、そして大泉も、武蔵や両国のように、高校募集でも積極的に優秀な生徒獲得に取り組めば、さらに進学実績が向上するだろう。東附が思いのほか善戦していることがわかる。大泉は最新年度は不作あったが、今後は徐々に増加に向かうだろう。

三田:039人
上野:030人
文京:027人(30人)

換算後25人超はここまで。以下は参考表示。上野は「特進クラス」を、文京は「国公立大学進学対応クラス」を設置し、国公立大学の進学実績を伸ばしている。三田については、今年中に詳しく書こうと思っているが、国公立大学不振の原因は数学に強い生徒が少ないことによると考えられる。明治、立教、法政、日本、東洋などの文系学部へ進む生徒が多い。難関私立大学の理系学部の合格者も少ない。

三田の難易度は、小山台や駒場とほぼおなじで、「5」と「4」が半々というのが安全圏の目安だ。上野と文京は「オール4」でも合格の可能性はあるが、安全を期すれば「5」が2つ以上欲しい。

田園:017人(13人)
目黒:009人(7人)
雪谷:008人(7人)
広尾:004人(3人)

「アドバンストクラス」のある田園調布が頭一つ抜けている。だが総じて、三番手未満の都立高校の国公立大学進学実績は、三番手校までとは比較にならないほど淋しいことが一目瞭然だろう。雪谷と広尾は、大学に進学しない人もある一定割合いて、もともと進学校には分類されないが、それでも国公立大学の合格者が複数人いるのは立派である。この辺りの高校は「オール4」以上が安全圏の目安となる。

*3文字以上の名称は短縮形とした。日比=日比谷、小石=小石川、八東=八王子東、小山=小山台、桜修=桜修館、小松=小松川、武北=武蔵野北、東附=東京大学教育学部附属、田園=田園調布。

*青字は都公立中高一貫校、赤字は国立中高一貫校。