[2018年7月4日]
アナタはもう、都立三田高校を見たか?
東京都教育委員会から、平成22年度に「進学指導推進校」に指定されてから、大学進学実績の快進撃が始まり、今も続いている。
■進学指導重点校:日比谷、戸山、青山、西
■進学指導特別推進校:小山台、駒場、新宿、国際
■進学指導推進校:三田、竹早
*港区周辺から通いやすい学校のみを掲載。
早慶上理の現役合格率は、平成11年に3%だったのが、平成26年には26%となり、平成30年には33%まで向上した。三田に立地しながら慶應大学ではなく早稲田大学に強い。
GMARCH以上の現役合格率は、平成11年に14%だったのが、平成26年には67%となり、平成30年には84%まで向上した。
都内の名門私立大学が軒並み入学定員の厳格化に踏み切ったが、影響はほとんどなかった。とうことは、定員の厳格化がなければ、さらに実績を伸ばしていた可能性がある。
入試倍率は例年2倍を超える高倍率を維持している。今春の都立高入試では倍率が下がった高校が多かったが、高倍率を維持し、高い人気が続いている。
おなじような入学難易度の小山台、駒場などと比べて、国公立大学の進学実績が見劣りするが、難関私立大学であっても、生徒が活躍してくれればそれでいい、生徒が満足するならそれでいい、というスタンスを感じた。ただ、しっかり、国公立大学に挑戦しやすい体制整備も進めている。
もともと、府立第六高等女学校として発足し、女子に高い人気がある。入学者も女子の学力が高い傾向が続いていたが、ここ数年はその差が縮小してきた。大学進学実績の向上で、優秀な男子受験生も集められるようになったようだ。
ある年度の「一般入試」の合格者の平均「内申素点」を参考表示する。ただし今春の数値はここではお伝えできない。今春を除く過去4年のいずれかの年だ。都立高校入試では、内申点の合否に占める比率は、一般入試で30%、推薦入試では50%というのが一般的である。三田も一般は30%、推薦が50%だ。推薦入試の内訳は、内申が50%、集団討論・面接が25%、小論文が25%だ。
国・数・英・社・理・音・美・保・技の順。
女子:4.7、4.7,4.7、4.7、4.6、4.5、4.5、4.0、4.5
男子:4.3、4.6、4.3、4.4、4.6、3.9、3.9、3,9、3.6
「5」が半分程度あり、残り「4」というのが、合格者の平均的な姿であるが、不合格者も頻差で追っており、確実に合格するには、限りなく「オール5」を目指したい。女子の推薦入試は「オール5」でも不合格者が出る。
高校入試は「共通問題」校では特に鮮明だが、中学校での学習内容から出題される。定期テスト対策と高校受験対策と内申対策は切っても切れない。内申を引き上げる学習が、高校受験の本試験対策にもなるし、高校受験対策が内申を引き上げる対策にもなる。もちろん、それぞれに、コツとツボには若干の違いがあるので、ステージに合わせて効率よく対策することが求められる。
高校入試で「内申貧乏」は致命的に苦しい闘いとなる。しかも、中1の1学期の成績が内申に約80%の影響を与えているという見方が優勢だから、「高校入試は中1には確実に始まっている」ということになる。
中1の1学期の成績は、高い相関度で、小6の成績に相関するので、小5と小6の「あゆみ」の成績は重要である。その意味で、「高校入試は小学校高学年から始まっている」とも言える。
さて話は三田に戻るが、いまだ、入学時は女子の学力が高い傾向にある。「男女別定員制緩和」を実施する年度が多いが、実施した年度は女子が活発で、実施しなかった年は男子が活発な傾向があるらしい。
「共通問題」校だが、合格者の英語の平均得点率は95%を超える。合格者ビりでも英語の得点率は90%を超える。英語が得意な受験生が集まる傾向にある。得点率60%が偏差値50の目安だから、驚異的な高得点率である。
これは、「国際理解教育」を推進してきたことが、受験生にも広く認知されていることによる。「海外帰国子女学級」を、都立高校として最初に設置した経緯がある。
毎年「留学生」の受け入れと送り出しが活発である。「ユネスコスクール」としても認定されている。都立高校としては3校のうちの1校だ。
英語を得意とし、将来にその得意な英語を活かして活躍したい人は、満足度の高い高校生活を送れるだろう。生徒の高校生活満足度は80%を超えているそうだ。
近年、数学と理科のカリキュラムを改善し、英語が得意だけれど、理系科目がチョッと、という生徒でも、国公立大学への受験準備がよりしやすくなった。
「問題行動を起こす生徒はいない」ので、「生活指導」は厳しくない。「生活指導」というよりも「マナー指導」に力を入れているとのこと。
体育際、球技大会、白珠祭(文化祭)、合唱コンクールでは、日ごろの鬱憤を存分に発散させてあげるようにしているそうだ。
生徒の気持ちをよく理解できている進学校ではないだろうか。