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三田学院

[2018年7月19日]

【都立中】追跡調査結果の衝撃

都立中の平成30年2月3日入試の追跡調査のデータがそろった。

入試結果をランキング形式でお伝えする。ランキング表の1ポイントは、偏差値1ポイントに相当する。

合格難易度を、男女別に示すとリアルすぎるのと、学校間格差が大きくなってしまうので、男女混合で表示する。また、すべての学校名を掲載すると、これもリアルすぎて、刺激が強すぎるかもしれないので、「最上位校」と「最下位校」、そして旧第一学区の「九段B」のみ実名表示し、他の校名は伏せる。「附中」は附属中学、「中等」は中等教育学校を、「M」(Metropolis)は23区内、「S」(Suburb)は都下を示す。

合格難易度であり、成績優秀者や成績上位者の層の厚さなどを示すものではない。誤解しないでいただきたい。ボトムラインのランキングと理解していただいて、ほぼ差し支えない。

X±00:小石川
X−01:−
X−02:−
X−03:附中S
X−04:附中M
X−05:附中M
X−06:九段B・中等S・中等S
X−07:−
X−08:中等M・附中M
X−09:中等S
X−10:富士

一言で「都立中」とか、「都立中高一貫」とか、「都内公立中高一貫」とか言っても、難易度のバラツキは、衝撃的なほど大きく、難易度を十把一絡げに論じるのは適切ではないことがわかる。

ボトムライン付近の、外れ値や異常値に近いものにまで焦点をあてると、さらにバラツキは大きくなり、「小石川」と「富士」では、偏差値で15ポイント以上の差となる。「小石川」のトップと「富士」のボトムの間は、偏差値で25を超える、大きな差となる。

さらに、「小石川」は偏差値70〜75でも合格率は50%しかないのに対し、「富士」は偏差値65以上なら100%、偏差値60以上でも70%を超える合格率となる。

私立御三家に合格しながら「小石川」に不合格になる人が多数いる一方で、「富士」なら、私立御三家レベルに合格できる実力など必要はなく、私立新御三家レベル(女子なら鴎友や吉祥女子、男子なら芝や本郷など)のさらに下の私立学校に合格できる実力があれば、「報告書ボロボロ」でも、総合得点成績上位でほぼ確実に合格でき、入学後も学内成績上位のポジションを狙えるであろう。

「富士」より下をランキング表に加えていないので、「富士」なら簡単に合格できるような印象を持たれる方がいるかもしれないが、これより下の難易度に、中学入試を行っている膨大な数の私立学校があることを忘れてはいけない。

話は戻るが、「小石川」と「富士」を一緒にして語るのは、全く持って適切でないことがわかる。そもそも、話が噛み合わないであろう。「小石川」と「九段B」、あるいは、「九段B」と「富士」を一緒に語った場合でも、チグハグなやりとりになるのではないか。

都立中全般に関するコメントは、「X−5」付近、つまり「九段B」よりも少し上の付近を前提に行っているが、「小石川」を基準にすれば「ユルすぎる」し、「富士」を基準にすれば「厳しすぎる」ことになろう。

「都立中」という、一つの難易度はないのである。
「都立高」という、一つの難易度がないのとおなじである。

都立中について語る際には、どの都立中を念頭に置いているのかを示唆すべきであろう。おなじように、公立中高一貫校を語る際にも、どの地域の、どれくらいの難易度の公立中高一貫校を念頭に置いているのか示すべきであろう。さもなくば、情報が有害となりかねない。

「偏差値」が10ポイント違えば、全く別世界である。
「偏差値」が20ポイント違えば、異次元空間である。

おなじことは私立中学などにも言える。内容が、偏差値70付近のことなのか、60付近のことなのか、50付近のことなのか、はたまた40付近のことなのかハッキリしないと、情報を受け止める側の解釈が全く違ってくることがありうる。偏差値が5ポイント違うだけでもありうる。

さらに、ギリギリのビリでいいから合格を狙うのか、安全確実に合格を狙うのか、将来を見据えて上位合格を狙うのかなど、受験や受検に臨むスタンスの違いによっても、難易度や合格可能性の見え方や受け止め方は違ってくるだろう。

今年度は、合格者や不合格者の得点情報も厚く捕捉できており、昨年度よりも格段に精度が高くなった。今後の受検指導にさらに有効に活用していきたい。