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三田学院

[2018年9月25日]

【都立高】日比谷への道

偏差値が70を超える、都立トップ校を目指すなら、数学と英語は中2で終えるべきだと、以前に書いた。「自校作成」問題を出題する都立トップ校の入試問題を攻略するためには、譲れない期限だ。

■都立トップ校:都立日比谷73、都立西73、都立戸山71

英語共通問題レベル:中2末
数学共通問題レベル:中2末
国語共通問題レベル:中3の1学期末(夏期講習前)
理科共通問題レベル:中3の1学期末(夏期講習前)
社会共通問題レベル:中3の1学期末(夏期講習前)

詳しく書くと、中2や、中3の1学期末までに終える内容は、「共通問題」レベルの受験対策である。「定期テスト対策」レベルの対策ではないので、くれぐれも誤解しないでいただきたい。

都立トップ校を目指して、共通問題の受験対策を終えるということは、過去問で90%以上の正答率になることを指す。最終的には95%以上、限りなく100%が目標となる。それでも、自校作成問題を60%以上正答するのは容易ではなく、50%も正答できない人など珍しくない。特に、日比谷の数学は手ごわい。西よりも手強い。数学が「5」の人でも25%しか正答できないなんてことが起こる。自校作成問題の3教科は、内申がオール5を前提とした場合、3教科平均で60〜65%以上(年度により異なる)の正答率が合格の目安だ。

定期テストの対策もしながら、どうやって中3までの内容を、中2までに終えるかというと、中学入学後から始めたのであれば、学校授業の約2倍速で進めることになる。3年間の30ヶ月分(長期休業は授業が進まない)を15ヶ月で終えるということだ。1年分は5ヶ月で進むことになる。仮に、2年間の定期テスト10回分に、それぞれ約1ヵ月を割り振ったとしても、トータルで25ヶ月だから、つじつまが合う。1年の10ヶ月分を5ヶ月で進むためには、夏期講習などを、すべて有効に使う必要がある。

定期テスト対策を復習に充て、夏期講習、冬期講習、春期講習は、復習ではなく先取に充てる。これで、定期テスト対策と受験対策を並行して進められる。

しかし、このスケジュールは、小学校内容に理解が不十分な部分がある人には達成できない。少なくとも小学校内容が完璧である必要がある。

小学校内容が完璧な人であっても、すべての人が達成できる訳ではない。学習内容のレベルが高くなるからだ。中学3年間の内容は3年間以上かけて取り組む方が安全だ。だとすると、遅くとも小5の終わりには高校受験の対策を始めるべきだということなる。

小学校内容も完璧にしたいから、僅かにでも不安があるのなら、高校受験を想定した準備は、小4から始めた方がより安全となる。

私国立の中学受験の勉強は、教科型の学力試験がほとんどだから、ほぼそのまま高校受験に流用できるので問題ないが、公立中高一貫の受検対策を小6まで行った場合、それが大手専門塾のような適性検査対策ばかりだと、中1から小学校内容の応用や発展レベルの再確認を含めて高校受験対策を開始しなければならなくなる可能性があり、負担が大きくなるので注意が必要だ。

中3では何するの、という質問が聞こえてきそうだが、中3では、「自校作成」問題を攻略するための「ハイレベル問題」に取りくむことになる。特に数学と英語は、合否を完全に握っている。さらに、これらと並行して、過去問演習も行う。

「ハイレベル数学」と「ハイレベル英語」は、2つ一緒なら、攻略に4ヵ月から6ヶ月程度が必要である。これに、「ハイレベル国語」も合わせると、余裕をもって9ヶ月を見ておきたい。よって、中3に入ってすぐ初めても、冬期講習前までに仕上がるかどうかというスケジュール感になる。

夏休みが終わって2学期が始まると、入試まで半年を残すのみとなりながら、9月には「中間考査」、11月には「期末考査」があって忙しい。12月上旬には「仮内申」が決まるから、実質的に中学生活で最後となる「中間考査」と「期末考査」も手が抜けない。よって、このスケジュールでも時間的にギリギリになる。理想としては、5教科すべての出題範囲の学習を、中2末で終われたら、かなり安全なスケジュールとなる。

繰り返しになるが、中2で入試範囲をいったん終えられるような「高校受験対策」のスケジュールを組みながら、「定期考査・定期テスト」にも全力を尽くすためには、工夫が必要である。

「定期テスト」前に「受験対策」を中断することを繰り返すと、その分、スケジュールが遅延する。遅れを取り返すために、さらに速度を上げれば、消化不良のリスクが高まる。

「定期テスト」前に「受験対策」をいったん中断して「定期テスト」対策に集中する期間を設けないと、「定期テスト」対策が不十分となり、「内申」で十分な結果が得られなくなるリスクがある。

「定期考査」対策と「高校受験」対策を効率よく両立して進めるためには、ノウハウが必要なのである。「受験指導」偏重でも、「定期テスト」偏重でも、上手く行かない。集団指導塾はスケジュールが硬直的で非効率だし、一人として全くおなじ能力の人などいない受験生それぞれに合った効果的な指導などできない。一方で、巷の介護型個別指導塾には、指導力のある講師はいない。

しかも、最難関校と、難関校と、上位校と、中堅校では、攻略の仕方が違う。では、都立トップ校を目指さないなら、中学3年間の学習内容を、いつ終えたらよいのかというと、これもまた甘くない。

機会があれば次回以降にご説明したいと思うが、中3の部活引退後に受験勉強を開始したのでは、話にならないということが、ここまで読まれれば理解できるであろう。

天才ではないアナタの子が、トップ校に確実に合格することを目指すなら、どうしたらよいかわかったであろうか。もちろん、天才なら必要はない。そもそも、ここまで読み進める必要もないであろう。

高校入試を甘く見てはいけない。