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三田学院

[2018年10月9日]

【都立中】闇の真相

都立中高一貫校は全体として入学難易度が上昇し、はた目には、順風満帆かのように見えるが、多くの都立中高一貫校では、中学募集にも課題を抱えていることが分かってきた。

何度かこの日記でも指摘したように、特に問題を抱える、いくつかの都立中については、世間でも認知されるようになりつつあり、都立中高一貫校の内部関係者も、正直に認めるようになりつつある。

大学合格実績だけを見ていると、気がつかない人がいるかもしれない。しかし、大学合格実績だけを見るだけでも、注意深くデータを分析できる人なら、何かがおかしいなと気がつくだろう。

内部者でないと、なかなか正確に状況を掴みずらいが、実態は次のような状況だ。

・上位の都立中高一貫校は、難関大学を狙える生徒の数が多い。
・中位の都立中高一貫校は、難関大学を狙える生徒の数が、上位校ほどではないが、それなりにいる。
・下位の都立中高一貫校は、難関大学を狙える生徒が、いないくはないが、少ない。

ここまでなら、何も重大な問題はないように思うかもしれない。

・上位の都立中高一貫校は、中学入学者のボトムであっても優秀である。
・中位の都立中高一貫校は、進学校の授業に耐えられそうにない生徒が、一定数混じっている。
・下位の都立中高一貫校は、進学校の授業に耐えられそうにない生徒が、相当数混じっている。

ある都立中の在籍生徒による相談会で、生徒が説明してくれた。学力が下位で入学してきた人の中には、早々に授業についていけなくなる人が一定数いて、その中には、高校進学時に別の道へ進む人も少なくない、と。

都立中高一貫校のある幹部は、中学生の入学者選抜で成功しているのは、断トツで小石川のみ、という認識を示した。認識を示したのは、小石川に在籍する幹部ではない。また、なんとか上手く行っているのは、小石川につづく上位校と、中位校の中の上位まで、であるという認識だ。中位校の数校と下位校は、中学生の入学者選抜が上手く行っていない。つまり、都立中の下位校は、進学校にふさわしい生徒を集めきれていない、ということだ。

加えて、併設型中高一貫校は、高校入学者選抜でも、期待できるような優秀な生徒を集められていない。

やっと、すべてが明らかになった。

高校入学者は、今後は募集停止になるから、課題は解消へ向かう。というより、存在しなくなる。

下位校の中学入学者の課題は、どのように解決を図って行くのだろうか。

都立中下位校であっても、進学校として、難関大学へ合格できるようなカリキュラムを組まなければならない。そうすると、進学校のカリキュラムについていけない生徒は脱落する。

それを承知で、都立中の下位校に入学するのは、個々人の自由である。

しかし、こんなハズではなかったという状況に陥ったとき、どうするのだろうか。

合格できれば、それでよい、というほど、物事は単純ではないことも、知っておくとよいだろう。

「報告書の評点が低くても都立中に合格できたぞ」とか、「偏差値が低くても都立中に合格できたぞ」とか、そんな程度の低いことを論じているのではない。

そのことが読み取れない人は、閲覧されないほうがよい。誤解して気分を害しかねないし、意図を理解できず何も得るものはないだろう。

わが子への愛情もそうだが、本物の愛情は、厳しさも併せ持つ。厳しいと感じられるかもしれない分析には、明確な深い意図があるのだ。