[2018年10月11日]
都立中を象徴する言葉の代表例が次の2つだ。
・入学者の学力分布が幅広い
・入学後の成績分布が幅広い
都立中幹部が認めているばかりではなく、世間でも認知されるようになってきた。
有名模擬試験の中には、合格者の偏差値分布が幅広い旨を、わざわざ偏差値表に注意書きしているところさえある。
ある都立中の生徒の間で、まことしやかに、ささやかれていることがある。
・作文の高得点で合格した人には、入学後に「総合成績が平均以下」になる人が多い
・適性検査専門塾からの合格者は、入学後に「総合成績が平均以下」になる人が多い
「多い」と書いたが、「かなり多い」または「傾向がある」というのがより実態に近い。次のように言い換えた方がニュアンスが伝わりやすいかもしれない。
・入学後に、「総合成績が平均以下」の人は、作文が高得点で合格した人が多い。
・入学後に、「総合成績が平均以下」の人は、適性検査専門塾出身の人が多い。
原因については、もう議論の余地はなかろう。
これまで論じてきたことと整合的なことに、驚きを感じるくらいだ。
具体的に示そう。
ある都立中の換算前得点が以下のような場合があったとしよう。
受検生A:適?60%、適?70%、適?70%
受検生B:適?100%、適?50%、適?50%
4項目の換算後の得点比率が、それぞれ1:1:1であった場合、受検生Aと受検生Bの総合得点はおなじとなる。
ところが、入学後に、受検生Aは平均点以上に、受検生Bは平均点未満になるというものだ。学年が進むほど差は開いていく傾向にある。100点満点の定期テストで、20点未満、10点未満(一桁得点)の生徒が、中1年次の早い段階から存在し、中2以降は定着するようになる。
ちなみに、この都立中、「報告書満点」は履いて捨てるほどいる、というか、仲の良いクラスメートや部活の仲間など、学友のほとんどが「報告書満点」らしい。加えて、適性検査?(作文)が満点の人もかなりいる。
作文満点組は、入学後に、数学が苦手になる人が多いらしい。これは一般論としてもうなずける。しかし、進学校で数学が苦手だと、他の教科にも悪影響が及ぶ可能性がある。
数学の授業についていくために、また、数学の課題の提出のために、数学に費やす勉強時間が多くなる。その分、他の教科に手が回らない。数学の成績で平均近くがやっとの状態で、他の教科が手薄になると、全体の成績は平均から大きく下方乖離してしまう。
英語にまで悪影響がでてきたら危険だ。英語は文系と理系を問わず、入試科目であることがほとんどだ。進学校に進んだ意味が、都立中に進んだ甲斐が失われる。「有名私立大学の文系学部」なら、進学校でなくても、十分に合格できる。推薦やAOなどを使えば、無試験でも合格できる。晴れて都立中に合格できたのに、都立中に不合格になった人たちに、大学入試で逆転されてしまうことになりかねない。
多くの人が、都立中合格を目指した最大の理由は何か。有意義で充実した6年間を過ごしながら、目標である難関大学に合格することではないだろうか。部活や行事などを楽しむだけなら、都立中である必要は全くない。
都立中から難関大学合格を目指すにはどうしたらよいのか。
進学校での学校生活を、楽しく有意義に送るには、どうしたらよいのか。
しっかりとした学力をみにつけた上で入学すること、ではないだろうか。
・小学校学習内容の徹底した理解
・小学校学習範囲の高い応用力
・バランスの取れた教科の学力
都立中合格の小手先の技のようなものばかり磨いても、合格可能性は高まらないばかりか、もし合格できても「学内成績下層」に甘んじるリスクが高い。
都立中「下層民」の実態や原因は、もう明らかになった。すでにご報告した通りだ。
都立中での成功を目指す「賢明な」あなたなら、もう、どうすべきかは、お分かりだろう。