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三田学院

[2018年10月13日]

【都立中】2011年の難易度は別世界だった

日能研が過去に公開した「R4偏差値表」2011年結果は、現在とは別世界だった。

6年ほど前には、都立中は、私立御三家や難関国立大附属よりも、かなり手ごろだったことがワカる。

しかし、この偏差値表が難易度を適切に表し続けているのであれば、2019年2月は、小石川だけでなく、両国も、武蔵も、桜修館も、相当に厳しい闘いになるだろう。

もはや、凡人が、気軽な気持ちで挑戦できるような学校では、確実になくなったのだ。

近年、難関国立大学附属や私立御三家や最難関私立の激闘に、上位や中位の都立中が、統合されつつあるように感じていたことは、極端な見方ではなかったことが確認できる。

ただし、「都立中の下位校こそ、都立中」と考えているような、一部の受検生親子には、この実態は相当な違和感があるだろう。

偏差値で18ポイントもの差がある、小石川と富士を、おなじ「都立中」というカテゴリーで論じること自体に、そもそもムリがある。先日ご紹介した、都立中幹部の見方にも、深くウナズける。

偏差値で18ポイントも差がある私立中学を、あるいは高校を、あるいは大学を、ともに本気で併願受験するような受験生は、そもそも、いないであろう。

「公立中高一貫校」とか「都立中高一貫校」とか、難易度の大きな違いがある複数の学校を、一括りにして論じることは、もはや危険である。

東京大学の合格難易度を、「国公立大学」という一つの括りで論じようとするようなモノで、適切でない。

2011年・結果R4一覧・女子」(2011年4月発行)より抜粋

67:筑波大附、桜蔭、女子学院
66:雙葉
65:
64:お茶の水女子大附(女子)
63:青山学院
62:フェリス、普連土?
61:小石川、立教女学院
60:吉祥女子
59:都立武蔵、鴎友、頌栄
58:
57:両国、学習院女子
56:桜修館、大妻?
55:普連土?
54:
53:富士立川国際、東洋英和A、共立女子A
52:三鷹、広尾学園
51:九段、品川女子?
50:白鴎東京大学教育学部附

2つの偏差値表を比較してみる。

・小石川、両国、白鴎が、大躍進し、難化が著しい。
・九段B、都立武蔵、桜修館は、堅調で、若干難化した。
・一方で、富士は、難易度が大きく下落した。
・都立中トップとボトムの差は、偏差値で11ポイントから、18ポイントに大きく拡大した。

・筑波大学附属、お茶の水女子大附属に変動なし。
・桜蔭、女子学院、雙葉も、ほぼ変動なし。
・広尾学園が大躍進した。
・青山学院、普連土、大妻、共立女子が平易化した。

・小石川が筑波大付属に並び、両国がお茶の水女子大附属に肉薄する難易度となった。

・適性検査型入試を実施する私立中は、この時点ではまったく存在感がない。
・適性検査型入試を実施する私立中は、現在でも、高い難易度の学校は数少ない。

比較のため、2019年予想R4一覧・女子」(8月16日発行)より抜粋、を再掲する。

67:小石川筑波大附、桜蔭
66:女子学院
65:雙葉
64:お茶の水女子大附(女子)
63:両国
62:フェリス
61:都立武蔵
60:広尾学園、吉祥女子
59:桜修館、頌栄、青山学院
58:鴎友
57:立教女学院、品川女子(算)
56:白鴎、学習院女子、普連土(算)
55:九段、大泉、三鷹、南多摩、東洋英和A
54:立川国際
53:品川女子?、普連土?
52:
51:大妻
50:共立女子?、安田(先進)?、茗渓??(茨城)
49:富士
48:
47:
46:東京大学教育学部附

都立中の在校生に聞いてみたら、筑波大付属とおなじ難易度というのは信じ難いという反応だった。そんなにも難しくはないと感じているようだ。

確かに、学力試験型と適性検査型入試の違いがある中、都立中をどこまで適切に判定できているのか不安が残る。しかし、都立中どうしの相対比較なら参考にはできそうだ。

それにしても、富士と東大附の「中野区コンビ」は苦戦している。ともに難易度が下落した。

東大附はノビノビ学校なので、それを最優先する人には良い学校だろう。ただし、都立中の上位校のような大学進学実績は期待しない方がよい。そもそも、東大附は進学校ではない。

富士は進学校としての体制はあるから、都立中への絶対合格を目指すなら「断トツの穴場」だ。ただし、絶対学力が上位の層が薄いため、入学後の学内成績上位20%〜25%以内のポジションを維持できないようだと、国公立大学や難関私立大学への進学は難しいかもしれない。

実際の難易度が低下した学校を、しばらく高いままで表示し続けるような、模擬試験の偏差値表が散見される中、日能研のR4偏差値表は、上方修正だけでなく下方修正でも、動きが早いように感じるが、どうなんだろう。