[2018年10月15日]
短い秋が終われば、冬が来る。受験生にとっての、運命の季節がやってくる。
さて、都立両国高校附属中学の入試内容が変更になる。
これまで「独自問題」であった「適性検査?」が「共通作成問題」(以下、「共通問題」)になる。
これにより、両国高校附属中の「独自問題」は「適性検査?」のみとなる。
変更理由を学校幹部へ質問しても、回答の歯切れが良くない。出題方針に変更はないとのことなので、「独自問題」ではなく「共通問題」であっても、十分に選抜機能を期待できると判断したようだ。「独自作成」する負担の軽減が最大の理由かもしれない。
「学力が高い人が合格でき、学力の低い人は合格できない。倍率は高くても、得点はきれいに分散するので、高い学力ある人がオチ、学力の低い人がウカることはない。だから倍率など気にせずに安心して受検してほしい」というのが、幹部の考えだ。
採点と合否判定の責任者の「お言葉」は意味深長だ。
ただ、「適性検査の得点力が高いことと、学力が高いことは、同義なのか」とういう命題が残るが、これは別の機会に論じることとして、今回は触れないことにする。
話は戻り、両国のこの変更により、適性検査?と適性検査?が共通問題である、大泉や富士などとの間で、志望校変更がしやすくなる。
しかし、両国→大泉・富士への難易度を下げる変更はあっても、大泉・富士→両国への難易度を上げる変更をする受検生は多くはないだろう。
「2019年予想R4一覧・女子」(8月16日発行)より抜粋
67:小石川、筑波大付、桜蔭
66:女子学院
65:雙葉
64:お茶の水女子大附
63:両国
・・中略・・
55:九段B、大泉、三鷹、南多摩、東洋英和A
54:立川国際
53:品川女子?、普連土?
52:
51:大妻
50:共立女子?、安田(先進)?、茗渓??(茨城)
49:富士
*しゅともしの偏差値しか持っていない場合は、その持ち偏差値を5ポイントほど差し引くか、上表の偏差値に5ポイントほど加えて比較する必要がある。
そもそも、地理的条件から、受検生の移動はほとんど起こらないかもしれない。両国は、受検生も在籍生徒も、東京23区東部地区在住の人が圧倒的に多い。
むしろ、多摩地区西部を除く、ほぼ都内全域から優秀な受検生を集める小石川への影響が気になる。
小石川は、適性検査?と、適性検査?の大問1と3が共通問題である。
小石川→両国
両国→小石川
という志望校変更が起こるのかどうか、注目したいところだ。しかし、大きな異変はないかもしれない。
そうなると、白鴎の「適性検査?」が今後どうなるのか、気になる。今冬の入試は「独自作成」のままだ。ただ、もともと「独自問題」でありながら、両国ほど、「共通問題」と違いはなかったので、「共通問題」化しても、選抜への影響は軽微だろう。
となると、桜修館の「適性検査?」が、そのまま「独自問題」を続けるのか、気になるところだが、今冬は例年通りで変更はない。
いっそ、適性検査?と適性検査?は、全校で「共通問題」の方が、作成者も受検生もありがたいかもしれない。しかし、都立中の序列が明確になるかもしれないので、そこは都立中の側が嫌かもしれない。
共通問題化が進んでも、小石川が、「適性検査?」の大問2(社会)を「共通問題」とするかどうかは、わからない。小石川の攻略は、この「適性検査?の大問2」と「適性検査?」にかかっている。特に、「適性検査?の大問2」を、15分以内で正解できるかどうかが、大きなカギを握っている。自称優等生は、ここで振るい落とされる。
データから必要な情報を選び出すことができ、必要な数理的処理を選択することができ、しかも負荷の大きい計算を、ミスなしでできる生徒。これが、小石川が求める生徒像でもある。計算ミスをするのは学力が低いからであり、ミスではない。始めからお呼びではないのだ。
小石川がムリそうなら、両国ではなく、桜修館を選ぶのがよいだろう。適性?の大問1(算数)の問題は、小石川ほど高速で正確な演算能力は問われないが、出題の意図は小石川の適性?大問2(社会)に通じるものがある。正確な計算力が求められる。
両国は、偏差値表から読みとれる以上に、合格者のボトムラインが高いから、小石川が不安だからと両国に志望校変更しても、合格可能性が大幅に高まるとは考えにくい。いずれにせよ、志望校は、早めに決断するのがおススメだ。
もちろん、傾向が違っても、高い学力があれば確実に合格できるので、必要以上にナーバスにならなくてもよいだろう。
両国がムリそうなら、九段Bか白鴎を選ぶのがよいのではないか。白鴎は昨年度から適性?を追加し、両国との互換性が高まった。九段は、見てくれは大きく都立共通問題と違うが、難易度や求められる学力は共通問題に近い。年度にもよるが、全体で、男子70%、女子75%の得点力が合格の目安だ。ただし、九段は、問題の難易度により、男子80%、女子85%が合否ラインであった年度もある。白鴎は適性検査?が共通問題よりやや難しい年度が多く、その場合は、合格者の得点率がやや低くなる。
勝負は大学入試だから、経由地の都立中高一貫校は、トップ校でなくても気にする必要はないだろう。
もちろん、アナタの考え次第だ。
学力を高めることに専念しなさい。これが勝負を分ける。
その上で、適性検査演習と過去問演習を、ぬかりなく進められればよい。
ギリギリやスレスレ合格を目指すから、入学前と入学後で、悲劇が起こるのだ。
合格したいなら、合格者「最低点」ではなく、合格者「平均点」を目標にし、入試日の1ヵ月前までに実現しなさい。これ以上早い必要ないが、これ未満は危ない。しかし、11月までに達成できても慢心しないこと。本番で実力を出し切れなくなるリスクがある。
合格確実レベルに達しても、最後までトップスピードで駆け抜けること。
2月4日以降にも入試を入れて、全力で駆け抜けること。
そうすれば、2月3日の試験中に脱力することはない。
合格者「平均点」を目指すのは、都立中受検に限ったことではない。公立高校や国公立大学など「一発勝負における鉄則」である。
できないのなら、「一発勝負」は、おススメしない。