[2018年10月24日]
ある都立中の進学実績が興味深い。
2018年実績を見ると、合格実績と進学実績が分けて一覧表になっている。一人で複数大学や複数学部に合格する人がいるので、合格実績だけでは実態がつかみにくい。進学実績こそ、実態と見るべきだろう。
まず、現役と浪人を合算して表示する。
国立大学:33(16.5%)
公立大学:07(03.5%)
国公立大学へは、現役浪人を合わせても、20%しか進めない。
慶應義塾大:05(02.5%)
早稲田大学:13(06.5%)
早慶へは、現役浪人を合わせても、9%しか進めない。
上理GMARCH:32(16.0%)
上記計:90(45.0%)
尚、分母は、中学と高校の募集定員の合計である200人とした。
・上位29.0%が、浪人込みでの国公立大学+早慶進学の目安となる。
・上位45.0%が、浪人込みでの有名私立大学進学の目安となる。
・下位55.0%が、どこへ進学したかはHPで確認されたし。
次に、現役だけで見てみる。
国立大学:25(12.5%)
公立大学:07(03.5%)
国公立大学へは、現役だけだと、16%しか進めない。
慶應義塾大:04(02.0%)
早稲田大学:11(05.5%)
早慶は、現役だけだと、7.5%しか進めない。
上理GMARCH:29(14.5%)
上記計:76(38.0%)
・上位23.5%が、国公立大学+早慶進学の目安となる。
・上位38.0%が、有名私立大学進学の目安となる。
・下位62.0%が、どこへ進学したかはHPで確認されたし。
東京+京都+一橋+東工は、現役浪人合わせて5人(2.5%)である。もちろん、合格者数と進学者数は、同じ人数だ。
東京一工以外の難関国立大学(グローバルトップ型)と国公立大学医学部への進学者が現役浪人合わせて7人(3.5%)だ。
そこで、次のようなストラテジーを、一つの案として提案したい。
「都立中の下位校で、学内成績『上位10%以内』を狙う」
*募集定員が200人の場合、上位20人以内。
東京大+京都大+一橋大+東工大:現浪5人(2.5%)
難関国立大学+国公立大学医学部:現浪7人(3.5%)
上記現浪合計:12人(6.0%)
難関国立大学が狙えるようなポテンシャルがありつつも、都立中の下位校を受検すれば、不合格の不安に苛まれずに入試に臨むことができ、入学後も授業を適度な負担感でこなしながら、難関国公立大学や国公立大学医学部医学科への合格が狙えるのではないか。
活き活きとした中高6年間を過ごせて、大学も安い授業料で済み、返済のある奨学金や学資ローンの借り入れ額を抑えやすく、親子ともに負担が少ない。
都立中の「ソフト・インフラ」の恩恵を十二分に享受でき、充実した中高6年間となるに違いない。
合格力に余裕があるからと言って、上位の都立中を狙うことが、必ずしも得策とは限らない。
入学してから「よ〜い、ドン」でガンバレば良いと言う人もいるが、そんなに甘くはない。
マラソンの国際試合を見ればワカる。一斉にスタートしながらも、あっという間に「先頭集団」ができあがり、多くのランナーは遅れだす。レースが進行するほどに、先頭との差は開いていく。メダリストは必ずと言っていいほど「先頭集団」から出る。「遅れた集団」から優勝者が出ることはまずない。レースの中後半になって、ゴボウ抜きで「先頭集団」を追い越し優勝するような、「遅れた集団」からの「勝利のランナー」など見たことがない。
公立中高一貫校が設置され始めた初期の頃の、まだボヤっとした競争しかなかった時代なら、ありえたかもしれないが、効率的な競争が定着した今となっては、皆無ではないかもしれないが、ほぼ期待できないだろう。
入試教科数の少ない私立大学なら、得意教科のみで大逆転もアリかもしれないが、難関国立大学は、体操競技なら個人総合戦のようなものだから、甘くはないだろう。
スパルタ進学校に進むのだからこそ、最初から学内成績上位でいられることのメリットは非常に大きい。
学力自慢しかいない、都道府県トップ校のような、正真正銘の進学校出身の保護者なら、何を言わんとしているのか、ご理解いただけると思う。
都立中に合格したのに、残念なヒト
そうならないようにと祈る。