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三田学院

[2018年11月8日]

【都立中】併願−世田谷学園

来春の入試から、2月1日午後に「算数入試」を導入する世田谷学園。

注目校の一つだ。

曹洞宗吉祥寺に起源をもつ、バリバリの仏教系男子校だ。校長以下、幹部教員の多くは、丸刈りと筋金入りだ。単なる学校教員ではない。

人間教育が素晴らしい。人は心を磨くことによって、輝くことができる、と説く。凡夫の「知恵」をではなく、仏の「知慧」から学ぶという、崇高な教育目標が基盤となっている。

校長先生のお話しは俗世界と一線を画している。

「妬み、怒り、貧り(むさぼり)、不平、不満、思い込みなど、さまざまな自己中心の『我』に捕らわれていることが少なくありません。それは、心の中にゴミをためるようなものです。ひとたび、『アイツが気にくわない』と思えば、それを正当化するために、その人の短所ばかりを探し出そうとします。誠実に自己の心を見つめてみれば、そこにゴミがたまっていることに気がつきます。いらないゴミは捨ててしまうのが一番です。スッキリとした心になりましょう。」(学校説明会でのお話し、ならびに、ホームぺージ掲載の「平成29年10月の校長のおはなし」より抜粋・一部加筆・一部修正、加筆・修正の文責は筆者)

算数入試は併願戦略に有効な選択肢だ、などと分析していたことが、恥ずかしくなる。修業ではなく、まだ修行がたらなかったかもしれない。尚、世田谷学園の教育内容を正確に知りたい方は学校説明会に参加されたし。ワタシには伝道師たる資格はない。

算数入試を導入した背景には、「ビッグデータ」と「AI」の急速な普及がある。文系か理系かを問わず、新しい時代には、数学的な力、つまり論理的思考力が必須であり、これが世界のスタンダードになるという考えに基づく。これからはコンピュータ・プログラムを読めることが、基礎学力の一つとなると予測している。算数・数学は得意になれということではなく、苦手にしないようにとのメッセージだ。ちなみに、英語4技能に関しての説法は一切なかった。英語が4技能かどうかなど、仏の知慧からしたら、煩悩の一つでしかないのかもしれない。

それにしても「算数入試」は魅力的だ。

受験料は10,000円。

成績上位者20名は特待合格。

第2回入試でも、10名の特待合格を出すが、4科入試だ。大手都立中専門塾などで適性検査型入試対策ばかりをしてきた受検生には攻略は難しい。

2月1日の午後が空いているなら、受けてみる価値があるのではないか。

通常の第1回〜第3回入試の「算数」と違って、「算数入試」の算数は、記述式が多くなる。これも魅力だ。しかも、難問や奇問は出題されないので安心してよい。これも仏のご慈悲か。

曹洞宗に改宗する必要はないので、安心して合格を目指されたし。公立の中学や高校では授かれないような、崇高な人間教育が受けられる上に、進学校としての魅力も尽きない。大学進学実績も良好だ。

都立中との「ホンキの併願校」にいかがだろうか。

それとも、適性検査型入試を行う低偏差値私立中学だけを併願受験して、実質的に「都立中一発勝負」で挑む?

小学校高学年で、適性検査入試対策ばかりをしたら、高校入試に挑むことになった場合に、大きなハンディになる。都立中に合格できても、バリバリの進学校としての教科指導についていけなくなるリスクもある。

目先のことばかりに囚われてはいけない。広い視野と長期的な視点で、わが子の教育を見つめ直そう。

「心のゴミ」は捨てるのが一番。

スッキリした心に返ろう。