[2018年11月12日]
都立中の本気の併願校候補をシリーズでお伝えしている。
第2弾も男子校である。
巣鴨は、来春の中学入試で、2月1日午後に「算数入試」を追加する。
今年度入試の注目校の一つだ。
ただし、公式の特待はない。名門校だから、そこまでする必要はないか。巣鴨は、言わずと知れた伝統ある名門校である。中学入試と高校入試において、ともに存在感がある。「新御三家」という呼ばれ方もする。
御三家:開成、麻布、私立武蔵
新御三家:駒場東邦、海城、巣鴨
駒場東邦と海城は、御三家の二番手や三番手と難易度で大きな差がなくなった。一方で巣鴨は、本郷、芝などと難易度を競い合っている。世田谷学園も健闘し、城北や攻玉社などと共に、巣鴨とも競合する。この辺りまでが、男子校難関校と呼ぶにふさわしいだろう。
高輪も難易度的には接近している。高輪は2月2日午後の算数入試で頭角を現したことで知られる。もしかしたら、今後は巣鴨(算数)や世田谷(算数)に受験生を取られて、苦戦するかもしれない。しかし、2月2日午後というポジションは、普連土の算数・国語入試と共に、絶妙な位置にある。2月1日午前に第一志望、2月2日午前に第二志望をもってきたら、この辺りで決着させたい気持ちが高まる。2日午前までは全力投球で勝負して、2日午後から早々に抑えにかかるのに適している。3日は国公立が集中するし、4日と5日まで入試を行う名門校は限られる。本郷?、巣鴨?、芝?くらいだ。
しかし、2月3日が大本命の場合、2月2日午後は空けておきたい。そのこともあって、2日午後の高輪(算数)はお薦めしない。
巣鴨は、卒業生240人で、医学部医学科156人、東京大12人、慶應44人、早稲田62人、東京理科80人と、驚異の進学実績を誇る。近年、難関国立大学合格者数を減らしたが、医学部医学科の合格者数が伸びている。
「硬教育」がキーワードだ。平たく言うと「スパルタ教育」だ。
校長が代わり、かなり柔らかくなったが、それでも、バリバリのスパルタ教育は健在だ。入学難易度と比較して、大学合格実績が良好なのは、このスパルタ教育によるところが大きいのではないだろうか。授業を見学しても気迫が伝わってくる。
宗教系ではないので、校長先生のお話に宗教色はない。しかし、人間教育が疎かになっていることはない。伝統の遠泳や、徹夜の大菩薩峠超え強歩などで、心と身体を鍛え上げる。
19人の英首相を輩出したイギリスの名門校「イートン校」でのサマースクール、英語合宿の巣鴨サマースクール、オンライン英会話、ターム海外留学など、英語教育や国際教育も充実している。
学校説明会は大盛況である。保護者世代からの名門進学校で知名度が高く、入学難易度にしては進学実績が抜群に良好だからであろう。御三家や最難関の抑え校的な併願が多いと思われる。
せっかくだから、「世田谷学園」と比較してみる。
参加保護者の性別は、世田谷は母親が多く、巣鴨は父親もしくは両親が多い。参加保護者のキャラクターは、世田谷は静かで上品、巣鴨は上昇志向が強く活発、といった印象。ただし、説明会参加者の保護者である。合格者の保護者ではない。在籍生徒は、医師や法曹の子弟が多い。
難点は最寄駅から遠いこと。「世田谷」は三軒茶屋から徒歩約10分だが、「巣鴨」は大塚駅から徒歩約15分かかる。「本郷」が巣鴨駅から徒歩3分であることと比べると、通学にやや難がある。
校舎は新しく清潔である。設備的な問題はない。
難易度的には都立中の中位校に近い。進学実績重視のご家庭なら、算数入試は本気の併願に使える。校風は、都立中では両国が近いかもしれない。
しかし、安い教育費が前提となる受検生親子には、お勧めできない。
合格通知だけを、いただいておく?
受験料だけなら、10,000円だ。
2月3日に向けて、自信をつけられるなら、安いかもしれない。
硬教育は、実践する学校がほぼなくなった今だからこそ、価値が際立つ。後になって実は安くついたと思える可能性が高い私立学校の一つだろう。