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三田学院

[2018年11月26日]

【都立中】報告書点数考

報告書の点数について、改めて考察しておきたい。

8教科の3段階評価で「2」が2つまでが合格の目安、という業界の暗黙の常識に、変更を加えることは、今のところ必要ないであろう。

ところが、昨年度の入試は、この常識が一部で通用しなかった。理由は、適性検査問題が、例年と比べてやや簡単で、得点率が高かったためである。

報告書の評価基準は、年によって変動する性質のものではない。ところが、適性検査問題は、年によって難易度が若干変動する。つまり、適性検査の得点率は変動する。

最も影響が大きいのは「適性検査?」である。この「適性検査?」が簡単な年は、「報告書点数」が低くても合格できる可能性が高まる。逆に、「適性検査?」が難しい年は、「報告書点数」が低くい受検生は不利になる。

都立中ごとに、報告書点数の換算基準が違うので、加えて、都立中ごとに受験生のレベルが違うので、影響度は若干違ってくる。報告書点数の総得点に占める割合が低い都立中ほど、平均得点率が高い時の影響が大きくなると考えられる。

では、来春はどうなるか。試験問題が漏洩することはないので正確な予測は難しいが、昨年度が例年に比べて、やや簡単だったことを踏まえると、適性検査?単独で、得点率が10%ほど下がるような作問になる可能性は覚悟しておいた方がよいかもしれない。

その場合、報告書点数が高い受検生が、前回に比べて有利になる。

過去の適性検査問題の出題傾向を、長期にわたって分析すると、概ね3年単位で、出題形式や出題傾向に大きな変化が現れる。昨年度が3年単位の1年目、来春2019年2月が2年目、2020年2月が3年目となる。来春は、おなじ出題形式と出題傾向が続く可能性が高いので、共通問題の「適性検査?」と「適性検査?」は、出題傾向はそのままで、若干難しくなる可能性があるかもしれないことを、警戒しておいた方がよかろう。

また、2021年2月からは、形式や傾向が大きく変化するかもしれないので、現小4は、過去の出題に囚われず、しっかりと学力を磨いておくと安心だろう。

報告書点数は、試験当日の遥か前から、事前に準備することが可能である。試験当日の失敗を救ってくれる唯一の手段であることから、都立中の受検を意識する以前から、「よくできる」を目指して努力を継続することが得策である。

その努力が、都立中への合格可能性を高めるばかりか、さまざまな場面で有益となる可能性がある。地元公立中学入学後の5段階評定とも相関が高い。なによりも、報告書点数が高いことが、人生の足を引っ張ることはない。

直接には報告対象にはならない小学校低学年から、報告書点数満点を目指して、勉学に励むことが大切である。小4や小5から急に意識しても、そう簡単に改善するものではないからだ。

高学年に比べて達成が容易な小3の学年末の時点で、「よくできる」が80%以上、限りなく100%が理想である。これが実現でき、継続できれば、その後の都立中の受検準備で苦しい思いをすることは少なく、順調に学力をつけることができ、都立中合格を手にできる可能性が高い。

何か特別な事情でもない限り、「よくできる」を目指した努力が、後悔につながるとは考えにくい。