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三田学院

[2018年12月6日]

【都立中】ホントに安いか?

中学と高校の6年間の学費を、文部科学省の「子供の学習費調査」を参考に概数で示すと次のようになる。

私立中学高校6年間:約550万円
公立中学高校6年間:約150万円

公立中学高校6年間とは、地元公立中学から公立高校へ進んだ場合の費用の合計額である。

都立の中高一貫校に進んだ場合は、全員参加の語学研修や海外修学旅行や海外語学研修の費用が、別途上乗せされるので、6年間で200万円程度はかかるのではないだろうか。

都立中学高校6年間:約200万円

私立と都立の6年間の名目差額は、約350万円となる。

ここからが本題である。

私立高校の授業料実質無償化で、平均的な年収の家庭の子弟は、最大で年間約45万円の補助が受けられる。3年間では約135万円となる。

私立と都立の6年間の実質差額は、約215万円となる。

6年間の1年あたりの差額:約36万円
6年間の1月あたりの差額:約3万円

子どもの教育資金を、学資保険などで、乳幼児期から計画的に用意できたなら、負担にならない金額かもしれない。

高校卒業までの18年間の1月あたりの差額:約1万円

私立中学の学費を高いと感じるのは、親の計画性の欠如が原因なのかもしれない。

さらに、大手塾での中学受験までの3年間トータルの塾代等約300万円を、適正料金の塾に通って3年間トータルで半額の約150万円に抑えられれば、その差額を差し引いて、実質差額はトータルで約65万円になる。6年間なら年約11万円で月約1万円、18年間なら年約4万円で月約3千円、無視できるほどに、小さな額となる。

大手塾の高額な塾代は払えても、私立学校の実質的な授業料は高くて払えないというのは、どこかで何かの判断を誤ってはいないだろうか。

自称節約上手は、実はムダなことばかりに出費する、隠れ浪費家だったのかもしれない。

大手都立中受検塾に通っても、地元公立中学へ進むしかない、多くの都立中受検生は、その高い出費に見合う、どんなモノを手に入れるつもりだったのだろうか。それは、その高い費用を支払わなければ手に入らないモノなのだろうか。

私立中学を目指して受験準備した場合、第一志望校に合格できなくても、それに近い第二志望校や第三志望校に合格して、そこへ入学するという道がある。しかし、都公立中高一貫校を第一志望として、それ専用の受検準備をすると、不合格のになったときに、地元公立中学へ入学することになるケースがほとんどとなる。その場合は、努力はムダにならなかったとしても、費用はムダになり、高校受験することになるから、その対策や準備として、新たな費用が追加的に必要になる。

大手塾から都立中を受検し、残念になって地元公立中学に進んだ場合に、ムダとなった大手塾の塾代等約300万円を加算すると、どうなるか。

公立中学高校:約450万円

これに、難関高校受験に伴う塾代等を加算すると、どうなるだろうか。その額が仮に100万円なら合計額は550万円となる、その額が仮に150万円なら合計額は600万円になる。

私立中学高校:約550万円 − 私立高校助成金約135万円 = 実質約415万円

この試算では、費用が逆転する。

公立中学高校:約150万円 + 都立中受検費用約200万円 + 難関高校受験費用約200万円 = 実質約550万円

この試算では、ほぼ同額となる。

その大手塾に払った高額な費用は適切だったのであろうか。あるいは、費用が高額なその大手塾を選択したことは適切だったのであろうか。

ウマくいった人の例だけで判断してはいけない。ウマくいかなかった例も考慮して試算してみるべきだ。都立中を目指すことが安くつくかどうかは、すべての事象を生起確率で加重平均してみないと分からないとうことだ。

ホントに安く済むのは「都立中を目指した人の中の、ほんの一部の人だけ」かもしれない。

私立中学を選択した場合の費用も、よく検討してみると、必ずしも、高額とか割高とか、言えないかもしれない。