[2018年12月10日]
都立中受検に本気で挑んだ場合の費用を簡潔にまとめておこう。
私立中学高校6年間:約550万円
都立中学高校6年間:約200万円
公立中学高校6年間:約150万円
名目的には私立中高一貫校に通うより350万円安い。ただし、まず、都立中高一貫校に合格できた場合の話しであることを忘れてはならない。次に、私立高校の授業料実質無償化による実質負担額を考えてみる。
私立中学高校:約550万円 − 私立高校助成金約135万円 = 実質約415万円
実質差額は215万円となる。
次に、都立中に不合格になり、都立高校進学校または私立高校進学校を目指した場合を考えてみる。進学校としての授業ではなく、地元公立中学の一般的な教育を受けることになるので、都立中受検費用はムダになり、これを加算する。
公立中学高校:約150万円 + 都立中受検費用約200万円 + 難関高校受験費用約200万円 = 実質約550万円
6年一貫の進学校としての教育を受けられず、私立中高一貫校並みに費用がかかる。
もちろん、私立中高一貫校に進んだ場合も、受験費用がかかっているので、同じ金額だけ加算してみる。
私立中学高校:約550万円 − 私立高校助成金約135万円 + 中学受験費用約200万円= 実質約615万円
この比較では、差額は65万円にしかならない。
都立中に合格できた場合と、合格できなかった場合を、生起確率で加重平均してみる。
合格した場合:(受検費用約200万円+都立中6年間の費用約200万円)×確率6分の1=約67万円
不合格の場合:(受検費用約200万円+公立中高6年間の費用約150万円+高校受験費用約200万円)×確率6分の5=約458万円
加重平均:約67万円+約458万円=約525万円
私立中学高校:約550万円 − 私立高校助成金約135万円 + 中学受験費用約200万円= 実質約615万円
私立中高実質総費用約615万円 − 都立中高実質総費用約525万円 = 約90万円
実質差額は100万円未満となる。
100万円を節約できても、中学3年間は、地元公立中学と、私立進学校の授業内容の違いを、生起確率6分の5、つまり約83%の確率で、受け入れなければならない。
私立中高の進学校でも、6年間の費用が、高校無償化考慮前で、約550万円も必要はなく、約450万円の学校もある。桜蔭、本郷などは500万円を切る。巣鴨は約450万円、豊島岡女子は約420万円である。伝統ある難関進学校には、学費の安い私立学校が多い。これらの学校へ進んだ場合、計算上で実質差額は発生しない。逆転するケースもあり得る。そうなると、充実した教育内容の6年間を、公立学校に6年間通ったのと実質おなじ費用負担で享受できることになる。
都立中を目指すことは、ホントにお得だろうか。
都立中を目指すことは、誰にとって、ホントにお得だろうか。
都立中を選択したことが実質的にお得になるのは、中低所得者の子弟ではなく、実は私立高校の授業料無償の恩恵を受けられない高額所得者なのだ。
恐ろしいことだが、都立中学の難易度上昇は、幼少期からしっかり教育を受けてきたような、高額所得者の子弟によって、もたらされることになる。
高額所得者こそ、都立中を目指すことの、費用的なメリットが大きい。
これもまた、不都合な真実かもしれない。