[2018年12月17日]
都立中高専門塾と思われている方もいらっしゃるようだが、そうではない。都立中受検生や都立高校受験生ばかりを募集し、受検指導している訳ではない。
年度によっては都立中受検学年生がいないときもある。総じて、私立中受験学年生がいない年はほぼないので、中学受験指導は恒常的に実施している。
経営的な観点からは、私立とか都立とかに絞った方が、経営資源の稼働率が高くなり効率がよい。営利第一主義なら、その選択は有効だろう。
京都の老舗和菓子屋は「少品種大量生産」をしない。「多品種少量生産」である。しかも、「受注生産」だけで、つくり置きをしない。手間はかかり、利益はおぼつかないが、顧客の満足度は高くなる。そのようにして、店を存続させ、伝統の技を継承してきた。
京都老舗和菓子屋式の戦略である。
冷やかしのお客さんや、通りすがりのお客さんや、味見感覚のお客さんには、和菓子は提供しない。味の分からないようなお客さんや、風情のわからないお客さんは、むしろ、商品の価値を損ない、店の存続を脅かす存在となりかねない。
「一見さんお断り」。その神髄は、ゆるぎない信頼関係の構築にある。信頼できない指導者の下では学び続けることができないように、信頼できない親子に対しての受験指導もできない。
さて、本題に入る。
・中学入試は私立中学が本流
当たり前の常識や、先人の知恵に抗うほど、ひねくれた考え方はしない。
都立中に関するコメントが多いのは、そこに問題意識が強いためで、都立中受検を勧めている訳でも、反対に、都立中受検を批判している訳でもない。
問題意識の矛先は、悪徳学習塾と悪徳教育評論家であるということを、ここで改めて確認しておきたい。
・中学入試は私立中学が本流
本流と表現したのは、その選択が正しいという意味ではない。募集人員の大きさ、日程などを含めた現実的な試験制度、多様性のある選択肢など、マッチング機能がしっかり機能しているからだ。
ところが、都立中に関しては、単願志願者や実質単願志願者が、いまだに多いという点で、かなり特殊な入試となっている。実態は、難関都立中ほど、私立中学との併願が多いなど、実態は国立大学附属の名門中学と、実情が大きく変わらない。
授業料が安いという理由で、国立大学附属の名門中学(筑波大学附属駒場、筑波大学附属、お茶の水大学附属、東京学芸大学附属)を単願受験する人はほとんどいない。
この都立中単願志願者や都立中実質単願志願者が多いという背景に、悪徳学習塾や悪徳教育評論家が、意図したかどうかにかかわらず、影響している可能性があり、そのことに問題意識が向いているのだ。
都立中入試を目指す親子であっても、中学入試全般に関する情報収集に心掛けることをお勧めする。そのことが、都立中を、より正しく理解することにつながり、悪徳商人の餌食になるリスクを低減させるのではないだろうか。
誤解のないように補足しておくが、大手の私立中受験専門塾に通うことをお勧めしているのではない。それは以前にも説明した通り、都立中を目指すにはムダや苦労があまりにも多すぎる。ほとんどの私立中学を目指す親子にとってもムダや苦労が多すぎる。私立御三家を目指せる親子なら、好きにしてもいいかもしれないが、他はカモにされるだけだ。
都立中受検も中学受験なのだと心得て、偏らずに幅広い情報収集を心掛けてみてはいかがだろうか。
そのことで、都立中の本当の魅力を、発見できるのではないだろうか。