[2019年1月4日]
年末年始の休講期間は、ずっと「合格への数理モデル」について考えていた。
有名高校に合格しただけで、難関大学に合格できる訳ではない。
都立中学に合格しただけで、難関大学に合格できる訳でもない。
世の中には、勘違いをしている人もいるようだが、学力を向上させるためには、必ず必要となる学習量というか勉強量というものがある。
有名高校に合格し入学すれば、実質学習量の多い仲間に囲まれ、自らも実質学習量が多くなり、難関大学への合格力が向上する可能性が高まる。
都立中学に合格し入学すれば、実質学習量の多い仲間に囲まれ、自らも実質学習量が多くなり、難関大学への合格力が向上する可能性が高まる。
ただ、それだけのことだ。
有名高校や都立中学に入学しただけでは難関大学へは進めない。
有名高校や都立中学は魔法使いではない。
邪(よこしま)な期待をしてはいけない。もし期待しているなら、まだ心にスキがある証拠だ。
有名高校に入学しても、都立中学に入学しても、学力向上を怠れば、つまり学力向上量が少なければ、それなりの進学先にしか進めなくなる。
学力向上量とは何か?
学力向上量=名目学習量×学習効率×学習能力
名目学習量×学習効率=実質学習量、とすれば
学力向上量=実質学習量×学習能力、となる。
学習能力とは理解力のことであり、同じ学習量であっても、学習能力つまり理解力が低ければ、その分だけ、学力向上量は低くなる。
合格力の向上=学力向上量の増加
学習効率は、効果的で効率的な学習の仕方をしているか、ムダで非効率な学習の仕方をしているかで、大きく違ってくる。
学習能力は、まさに能力のことである。個々人による能力差は、たとえ小さくても、そこからもたらされる差は、累積すると大きな差となる。学力が年齢が上がるとともに差が大きくなることからも想像できよう。
学力向上量=名目学習量×学習効率×学習能力
学習効率は、本人の意欲や関心や学習姿勢によって大きな違いが生じる。また、勉強の仕方が正しいか間違っているかでも大きな差となる。
よって、正しい勉強法で意欲的に取組んでいる限り、ここに課題が生じることは考えにくい。しかし、思い込みの激しい人など自己流に固執する人や、学習意欲が低い人は、勉強しても効果が薄い。
学習能力は、才能のことだ。才能は、生まれた時点でも差があるが、その後の能力開発への取り組みによっても大きな差が開く。
学習能力に大きな差がない場合、実質学習量がカギを握ることになる。しかし、1日が24時間であることは、誰にとっても同じである。健康的な生活を送るならば、自ずと1日の勉強時間には限界がある。
学力向上量は日々の累積だから、実質学習量を増大させるには、受験勉強開始の時期を早め、学習量の増加を図る必要がある。
中学受験なら、小5開始の実質学習量よりも、小4開始の実質学習量が多くなる。
高校受験なら、中3開始の実質学習量よりも、中1開始の実質学習量が多くなる。
大学受験なら、高3開始の実質学習量よりも、高1開始の実質学習量が多くなる。
学力向上量をUPさせるためには、実質学習量をUPさせる必要がある。実質学習量をUPさせるためには、名目学習量をUPさせればよい。その過程で、学習効率や学習能力も徐々に改善していく。学習効率や学習能力は、これを先にUPさせようとしても簡単にはUPしない。
名門高校や名門中学が、魔法を使っているのではない。そこに集う生徒の学習量が多いことが、良好な進学実績につながっているだけだ。学習量の向上なくして、学力向上は難しい。逆に、学習量を向上させることができるならば、進学校からでなくても難関大学に合格できる。
学力向上量=名目学習量×学習効率×学習能力
単純化したが、名目学習量×学習効率×学習能力の部分は、実際には「積分モデル」となる。
学習効率×学習能力、これが優れていると、生まれながらにして頭が良い人、あるいは勉強のできる人と目される。しかし、頭が良い人や勉強のできる人ほど、実質学習量もまた多い。
ここで負けるような愚行は犯してはならない。だから、中学受験なら小4早期までの、高校受験なら小学校高学年までの、本格的な受験勉強開始をお勧めしているのだ。
それだけでは足らない。学習姿勢が悪ければ、学力向上量はより小さくなる。学習意欲が低ければ、学力向上量はより小さくなる。学習効率が悪ければ、学力向上量はより小さくなる。
正しい学習姿勢(態度)、適切な学習意欲(意思)、これに一定以上の優れた学習能力があれば、あとは名目学習時間を増やせば学力は向上する。
学力向上量=名目学習量×学習効率×学習能力
小3までは、学習能力の向上に努めるのがよい。
小4からは、学習効率を改善しながら、名目学習量を増やすのがよい。
根拠のない期待はしてはいけない。
真面目に、素直に、正しい方法で、適切な量を、継続して、取り組んだ人が、最後に勝つ。
合格指導の原点はここにある。