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三田学院

[2019年2月22日]

【公立中高一貫】熱望なら茨城県へ引越か

公立中高一貫校を熱望するなら、茨城県に引っ越すのが、いいのかもしれない。

茨城県は2月20日、2020年から2022年に、公立中高一貫校を10校を増設すると発表した。既存の3校(連携型1校を除く)と合わせ13校になる。進学校である水戸第一、土浦第一なども、中高一貫化する。

茨城県は、「全国屈指の公立中高一貫校銀座」のような県となる。茨城県は、何を目論んでいるのだろうか。住民誘致だろうか。

このニュースで色めき立つのは、またもや商機に敏感な大手学習塾かもしれない。あるいは、中学受験を意識する層が増えることで生徒募集に好影響が期待される県内の私立中学だろうか。いずれにせよ、今後の行く末に注目したい。

茨城県は、県立中高一貫校を県内全域に均等に配置するとしているが、教育熱心な家庭が多いとされる、つくばエクスプレス沿線の、特に、つくば市や守谷市などからは、いずれも不便な立地となる。この点も疑問が残る。

政治家の考えたことだから、「住民誘致→人口増→地域経済活性化→地価上昇→政策成金」といったところだろうか。あるいは「人口減少回避→地域経済低迷抑止・地価下落緩慢化→自治体の消滅を先送り」かもしれない。

自然豊かな茨城で子育てし、その後は県内の「公立中高一貫校」へ通わせるのも、いいかもしれない。将来は都内の大学にも通学可能な距離でもある。

保護者は、老後に残す資金を増やすことができ、家庭菜園やアウトドアを楽しむこともでき、悠々自適かもしれない。

でも、そんなウマい話があるのだろうか。

増設されるのは併設型がほとんどだから、中高一貫化で、高校入学枠が不人気化したりし、地域の事情によっては想定外の新たな問題が発生しないとも限らないだろう。また、相当にボーダーラインが緩い学校もでてくるかもしれない。いずれにせよ、合格できなければ、何も始まらない。

政治家として、人気取りを目論んだのだろうか。

そもそも、中高一貫教育を推進できる現場教員が、どれだけ確保できるのかという疑問もある。