パソコン版を見る

三田学院

[2019年2月28日]

【都立中】限りなく黒に近いグレー

港区立中学校の希望選択制による繰り上げ状況が、2月26日付けで公表された。

三田中学定員100人:学区内135人+学区外96人=入学希望者合計231人

学区外からの入学希望者は、抽選順位に関わらず全員が繰り上がった。つまり、231人中、131人は、国立大学附属中や私立中や都立中へ進んだことになる。

私立中学などへ抜けた割合は56.7%となる。よって、地元公立中学へ進んだ割合は43.3%である。

例年、学区外からの希望者が多いのは高松中(高輪)と三田中(三田)だが、今年度は六本木中(六本木)も抽選になった。高陵中(南麻布・広尾)や御成門中(芝公園・東京タワー下)でも抽選になる年がある。

港区の地元公立中学の多くは2月16日(土)に入学者説明会が開かれた。しかし、高松中、三田中、港南中は、今週末の3月2日(土)である。これは2月16日の時点では入学者の多くが決まっていないからである。

学区外からの希望者がほとんどいない港南中が、なぜ3月2日に説明会なのかというと、学区内の芝浦小と港南小の児童の多くが、希望選択制を使って、高松中や三田中などを希望しているため、高松中や三田中の入学予定者が決まらないと、港南中の入学者が決まらないという特殊事情があるからだ。

データからは、芝浦・港南地区の親子は、地元公立中学へ進むことになっても、学区内の指定校である港南中へは進みたくないと考えていることが分かる。この傾向は、少なくともここ10年以上、大きな変化はない。

港南地区は、もともと一般住宅がほとんどなかった地域で、そもそもスーパーや飲食店などの生活インフラがJR品川駅東口前にほぼ集中している。近年、地域内にタワーマンションが林立し住民人口が増えたが、商店街はそもそもない。国立大学のキャンパスが広大な敷地を占め、その他はオフィスや大型倉庫が多い地域となっている。小型店舗や小中型多目的ビルが著しく少ないため、実は学習塾なども立地しにくい。

芝浦地区は、商店街や小規模ビルがあるが、地区内に公立中学がなく、隣接する港南地区まで通わなければならない。中学生目線では、中学生の保護者目線でも、動線があまり良くない。

こうしたことが、港南中学の人気の度合いに影響しているのではないかと思われる。

中学受験が残念な結果になったら、地元公立中学へ進めばよいのかもしれないが、実情はそんなんに簡単ではないようである。

さて、高校受験で難関高校などを目指す新中1は、夢の実現に向け、早くも動き出している。

つい先日まで、中学受験や中学受検のことで頭の中がいっぱいだったのに、地元公立中学進学を最終的に選択すると、もう高校受験の準備を始めなければならない。

地元公立中学へ進むという選択も、けっして楽な道ではない。

いずれにせよ、近隣の地元公立小学校6年生の進路は、この時期なれば、もう、ほぼ決まったということだろう。

ところで、都立中への繰り上げ待ちの受検生のもとには、「入学者決定事務終了通知書」は、もう届いているのであろうか。

私立中学などは、このような案内は出さない学校がほとんどだが、都立中も「入学者決定事務終了通知書」の発送を「なし」にするという選択肢はないのだろうか。

都立中の残念組してみたら、「とどめの一撃」を喰らったようになってはいないだろうか、と心配になる。

勝利を信じて出陣したのに、「とどめの一撃」まで受けてしまったかもしれないと思うと、複雑な心境になってしまう。

それでも、本気の難関私立中併願という方針は、ありえないだろうか?

都立中単願だと、どっちに転んでも喜ぶのは、悪徳学習塾だけではないだろうか?

悪徳学習塾とは、ある特定の塾だけとは限らない。

都立中単願を薦めたり、都立中単願の指導を喜んで引き受けたりするような塾は、いずれも悪徳の可能性がある。「お宅のお子さんなら、きっと受かりますよ」などと軽々しく言うようなら、悪徳を超えて悪党かもしれない。指導した受検生が泣いても、きっと本心は平気なのだ。最初から、頂くものさえ、先に頂いてしまえば、あとは演技力と方便で逃げ切るつもりなのだろう。

「合格できる人を、合格させられず、ごめんなさーい!」

狐につままれたような気になる表現だ。

「合格できる人に、合格できない指導をして、ごめんねー!」
「合格できない人に、合格できると思わせて、こめんねー!」

が本心ではないのか?

熱くならず、冷静になって考えてみては、いかがだろうか。

限りなく黒に近いグレーだと、思わないだろうか。

一つの教室に、一学年2クラス、合計40人の受検生がいて、35人以上が、不合格。これは、都立中全受検生の全平均合格率よりも、低い。

つまり、塾に通って受検するより、何もしないで受検した方が、より合格可能性が高くなる計算になる。

管理工学や制御工学では、これほどに低い合格率では、その装置で製造された製品は、全部「不良品扱い」になる。数が多くなれば、不良品以外もできあがってくる可能性があるから、良品がたまに作れる程度では、数理科学的に装置の能力を信用できない。よって、良品が製造される能力なしと見做すのが、科学的な判断となる。

しかも、良品のうちの、いくつかは、正体不明の流れ弾との噂もあるようだが・・。