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三田学院

[2019年3月18日]

【都立中】の「いつメン」

ある都立中で開かれた保護者会で、教員から保護者に伝えられた内容が衝撃的である。

「これまでは、補習や追試などで、手厚く救いの手を差し伸べてきましたが、新学年からは、もう自力で這い上がる努力をするようにしてください。」

この学年は、この春から中3になる。実質的に授業内容は高校課程に入る。つまり、学習指導の内容は、もはや義務教育ではなくなるということである。

この都立中の、この学年では、複数の教科や科目で、いつものように補習や追試を受けている生徒が、15〜20人ほどいる。

いつメン

彼ら、彼女らは、補習と追試の常連という意味で、陰で「いつメン」と呼ばれている。「いつものメンバー」の略である。つまり、メンバーが固定化してしまっているのである。

この他に、不登校の生徒が5人ほどいる。

さらに、教科や科目によって補習や追試となる生徒が、「いつメン」とは別に、相当人数いる。教科や科目によっては「いつメン」の人数よりも多くなることさえある。「いつメン予備軍」と呼んでもいいかもしれない。

「不登校」、「不登校予備軍」、「いつメン」、「いつメン予備軍」は、都立中入学後の1年か1年半程度で、1学年全体で1.0クラス分相当の人数に達する。

実質、都立高校進学校再生を目指して設置された「都立中高一貫校」において、後期課程は都立高校進学校ほぼそのもである。しかも、学校にもよるが、実質1年程度早く、都立高校進学校の指導体制になる。

都立高校進学校、その特徴は「ほったらかし」である。良い意味でも、悪い意味でも、「ほったらかし」である。「ほったらかし」は教員や学校の怠慢を意味しない。それとは逆で、必要な自助努力がしっかりとできない、つまり怠慢な生徒には、向かない環境だということである。快適に感じるくらい「ほったらかし」にされる。

これは、進学実績が良好な有名私立中高一貫校とは根本的に異なる。もちろん、私立の場合は、それぞれが独立した運営母体なので、「面倒見」の良さには大きな差がある。

安い授業料で、有名私立中高一貫校並みの、『手厚い』学習指導と『手厚い』進学指導を期待するのは、考えが甘いというか、虫が良すぎるかもしれない。どこかの悪徳学習塾のバラ色の宣伝文句を鵜呑みにして都立中に進学すると、厳しい現実とのギャップは6年間でどんどん拡大するだけであろう。

都立中を目指すなら、「不登校」だけでなく、「いつメン」の存在も、知っておいた方が良い。

都立進学校における勉学の厳しさについては、戸山高校をご紹介した日記も参照されたい。

「いつメン」たちには、今後さらに過酷な日々が待ち受けているのである。

都立中の後期課程は義務教育ではない。退学処分や除籍処分もあり得る。多くの場合は穏便に、自主退学や転校などという形で去ることになる。

「いつメン」になるリスクを、事前に極小化する受検対策は、過去の日記全般を参考にしていただきたい。