[2019年5月17日]
今年2月の中学入試結果についての概要を、現時点までに入手できた情報から総括しておく。
<都立中学>
小石川がさらに難化し、筑波大付属やお茶の水女子大附属(女子)に肉迫した。国公立トップ校争いが激化しつつある。ただし筑波大学附属駒場は依然として別格である。小石川の偏差値は72と、前年より2ポイント上昇した。小石川の繰上合格者のほとんどが女子と、女子の優秀者の層が厚いことが鮮明になった。今年度入学者に限れば、共学校というより女子校のようである。両国がやや平易化したのではないかと思われる。特に女子だ。詳細なデータの収集に努めているところだ。一時的なものかどうかは現時点では不明だ。次回は桜修館の難化の可能性がある。特に男子は要注意であろう。小石川のさらなる難化と合わせ、裏の裏、裏の裏の裏をかく動きで、複雑な受験校選択が起こり、波乱要因となるかもしれない。
<私立中学(男子)>
2月1日午後の算数入試が台風の目となった。巣鴨が偏差値70をつけた。世田谷学園が69と続いた。巣鴨、世田谷ともに大勝利である。巣鴨と世田谷に限れば、世田谷>巣鴨の世間予想ははずれ、見立て通りに、巣鴨がわずかだが勝利した。巣鴨は本格的な難化軌道に入るかもしれない。世田谷もさらに攻勢をかけ続けており、次回も厳しい入試となりそうである。本郷が最も大きく影響を受けるかもしれない。
<私立中学(女子)>
香蘭女学校が偏差値64へとジャンプアップした。立教大学への内部進学枠の情報が、やっと広く行き渡ったようだ。普連土の2月1日午後算数入試が偏差値68にランクされた。品川女子がこれらの影響を受け、やや平易化した。共立女子にも難化傾向が見られる。大妻との差を縮小し、品川女子を引き離した。
<国立大学附属中>
東京学芸大学附属が世田谷中と竹早中で人気の復活傾向が見られた。附属高校の人気復活と並行した動きと見ている。筑波大学附属とお茶の水女子大学附属は、特に女子で、優秀な受験生の一部を小石川に取られる傾向が鮮明になりつつある。共に、入試方法の変更を公表しており、今後に波乱が起こる可能性がある。
<全体>
偏差値50超で激戦化傾向が見て取れる。都心部を中心に、中学受験率の上昇が背景にある。都心部では、高校受験に学力上位層が残らなくなる傾向が強まっている。高校受験は、23区周辺部と多摩地区の学力上位層が、支えるようになるのだろうか。
*偏差値は、すべて、首都圏模試センター(しゅともし)