[2019年6月17日]
かつては、お嬢様学校の代表格の一つとして有名であったが、バブル崩壊とともに、徐々に人気が低迷し、白百合や東洋英和との難易度差は、開きに開き切った感がある。
お嬢様学校というよりも、準難関の進学校として、リノベーション中と言ったところであろうか。
お嬢様学校の名残であろうか、コンサーバトリーは充実している。高級ホテルのカフェテリアを思わせる。どの私立中学よりも広く座席数が多い。
特筆すべきは、理科実験設備が、どの共学校や男子校、私立校や国立校や都立校と比べても、圧倒的に充実していることだ。しかし、宣伝の前面には押し出さない。むしろ、グローバル教育とリベラルアーツ教育を前面に打ち出しているかのように見える。
理科実験設備に関して言えば、この世で一番充実しているかのように宣伝している、あの共学校よりも充実している。
共学校人気で、共学校ばかりに注目し、見逃している受験生親子が多いかもしれない。
進学校もどきをウリにする際にしばしば利用される、体系数学も、プログレスやトレジャーやバードランドは、使用しない。
基盤学力(知識・技能)と新学力(思考力・判断力・表現力)の育成に力を入れている。
基盤学力なくして、つまり、知識や情報なくして、思考も判断もないことを見抜いているかのようだ。近年、基礎学力の育成のために、これまでより授業進度を少し緩やかにした。
入学してくる生徒の学力が下がったからではない。むしろ人気復活で優秀な生徒が再び集まるようになってきている。にもかかわらず、授業進度を緩やかにした。
徹底した教育内容の見直しを繰り返す中で、基礎基本こそが大切であることに気がついたのであろう。原理原則に立ち返ったと言っても良かろう。
結果、進学実績は好転している。
体系数学やトレジャーを使用すれば、より高い学力がつくというものではないし、進学実績が向上するというものではない。体系数学もトレジャーもツールに過ぎない。
使用する教材で、根本的に何かが変わるものではないことの証明である。
基礎基本をしっかり学ぶ。基礎基本をしっかり理解する。基礎基本を応用できるようにする。基礎基本をもとに課題を発見できるようにする。基礎基本をもとに課題を解決できるようにする。
世間が、都立中学の専売特許のように思っているような教育を、都立中以上に実践している。
基盤学力を磨き上げることで、新学力を養うことができる。いきなり新学力を育成しようとしても、迷走するだけだ。
知識や技能が不足すれば、新学力は育たない。
知識や技能が偏れば、誤った判断につながる。
共学化や、大学系列入などが盛んな昨今において、むしろ大学を廃止し、女子教育の本質を貫こうとする、時代の流れに逆行するかのような山脇の姿勢が、混沌とした時代であるがゆえに、むしろ冴えわたる。
山脇の新しい教育には、期待できそうだ。
素敵な校舎や充実した施設だけではない。
教育姿勢や教育内容が、いずれ、さらに、再評価されよう。
教育内容で併願先を選ぶなら、山脇を見ておくことをお勧めする。
都立中の滑り止めにちょうど良い難易度である。ここより上の難易度の学校を滑り止めに使えるなら、都立中にも合格できる可能性がそれなりにあるから、実質的な滑り止めにはならないであろう。
費用の安さで併願先を選ぶなら、他の私立中とおなじように、スルーするしかない。でも、かつての名門お嬢様学校のイメージとは違い、さほど高くはない。むしろ私立学校としてはお手頃な方である。
そもそも、費用の安さを第一に選ぶなら、都立中の併願校に、候補はないであろう。
地元公立中学を、滑り止め校かのように、見做すしかなくなる。
しかし、誰でも入学できる学校は、滑り止めでも、併願校でもない。