[2019年6月19日]
小石川の難化が異次元レベルに達した。
その原因の一つに、ある私立中受験指導大手塾が、数年前に開設した「小石川対策講座」の本格稼働が考えられる。私立難関校受験生が、追加的にかなりの人数で、小石川併願に動いた。この私立中学受験指導大手塾は、今年度から、小石川以外の「難関都立中対策講座」を追加開設した。
都立中「単願」受検生には、面白くない動きである。
大手塾の高額な塾代で、想定以上に教育資金を使い果たしてしまった私立中受験生の保護者が、受験生であるわが子に都立中学へ入学してもらうことで、家庭の経済面を立て直したいという思惑も働いているようだ。それでも彼らは、最終的には私立も都立も選べる状況にあるので、都立中しか選べない、あるいは、都立中しか選ばない受検生親子には、厄介な存在だ。
そうでなくても、都立中は、共学私立中の早稲田実業中等部や渋谷学園幕張や渋谷学園渋谷や広尾学園などの併願校として、有力候補になり得る。東京農大一中や国学院久我山中、法政大学中や法政大学二中の受験生にも、併願候補にもなり得る。
こうしたご家庭の中には、幼少期から教育に資金を注ぎ込んで、子の能力開発に努めてきた方が多いから、公立学校生活充実優先の牧歌的な受検生には、強敵となりかねない。
そもそも総定員が1桁少ない都公立中高一貫に、私立中受験生がなだれ込むようになると、都公立中高一貫「単願」受検生の武運は、一段と悪くなる。
私立中受験生の親子が志望校として好む都公立中高一貫校は、さらに注意が必要になろう。
小石川を筆頭に、桜修館、九段Bは、これまで以上に厳しくなるのではないか。
高校募集の停止を控え、武蔵、両国も、さらに激戦になる危険性が高い。
大泉、白鴎、富士は、難関私立中受験を目指す親子の視線には入りにくいが、玉突きで、都立中単願受検生が下りてくる可能性が十分にあるので、影響は免れないであろう。
筑波大学附属中の8教科から4教科入試への変更、お茶の水女子大学附属中の適性検査入試への変更は、短期的には難関都立中学の難易度緩和に作用するかもしれないが、中期的には難関私立中と国立大附属難関中と都立中難関校が、三つ巴の闘いに突入していく要因になる可能性が高いと見ておいた方がよかろう。
もはや、中学受験と中学受検に、垣根はなくなりつつあるのだ。
もともと、そうなることは、この日記で予想してきたことだ。
しかし、次回以降の都立中入試で、身をもって体験する人が、さらに増えていくであろう。
過去を見て判断するなど論外だが、現状だけを見て判断してもいけない。少なくとも3年先を予見しながら、どのような対策をすべきか考えていないと、いざ自分の番が来た時に状況が激変していたということになりかねない。
もはや、難関私国立中への合格可能性がある受験生親子でない限り、都立中は進学先候補に入れない方が賢明なのかもしれない。
むしろ、都立中合格を目指すなら、難関私国立中に挑戦できる力もつけておきたい。ディフェンスする力だけでは、完全に被弾を食い止めることができない。先制攻撃する力があってこそ、より安全に試合運びができる。
そうでない親子が都立中学に挑んでも、悪徳学習塾や、適性検査型入試でおこぼれ頂戴する私立中学を、いたずらに喜ばせるだけだ。しかも、受検生親子だけが、火だるまになるリスクのすべてを負わなければならない。
都立中第一志望組や、都立中熱望組の合格戦略は、新たな局面に入ったのである。しかし、この厳しい状況下でも、都立中「実質単願」組が、より確実に合格を手に入れる秘策はある。
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