[2019年6月21日]
頌栄女子は、港区白金台にある難関女子中高である。
おなじく白金台にある自然植物園のような緑豊かな環境に設備が点在する。最寄り駅は高輪台駅である。校門は、駅出口から15mほどしか離れていない。雨の日に傘なしでもOKであろう。
しゅともしの偏差値表で、80%合格偏差値が70を超える。男子校の本郷と同じく、難関都立中の併願校として、ちょうどいい。
帰国子女を多く抱え、英語教育のレベルが非常に高い。キリスト教系であることもあってか、ネイティブ・ティーチャーを数多く抱えている。教室の座席配置が「階段式の扇型」と、大学の中規模教室のようであるのが特徴的な学校だ。全国で最初に制服スカートにタータン・チェックを採用した女子校としても有名だ。
国語・算数・理科・社会、全教科の試験時間が40分点である。
国語・算数・理科・社会、全教科の配点が100点満点である。
理科と社会の配点が高いので、理科と社会が得意な人には、いくらか有利かもしれない。
しかし、ここでも、合否を分けているのが算数だ。入試担当の教員がデータを基に説明してくれた。
合否に与える影響が最も小さいのが国語だ。国語は、合格者と不合格者の得点差が最も小さい。つまり、国語を合否判定から除外し、算数・理科・社会の3教科で合否を決めても、4教科で判定した場合と、ほぼ同じメンバーが合格になるということだ。もちろん、実際には4教科で判定されるので、国語を捨てることはできない。
適性検査入試は行っていない。
都立中入試では、適性検査?の得点分布も広いので、配点比率にもよるが、配点の大きい表現力の違いが、合否に大きな影響を与えかねない。4教科型の学力試験と比較すると、適性検査入試は、算数に加えて、一部の国語力の差による影響が大きくなる。つまり、表現力に難があると、適性検査入試は相対的に不利になる。裏を返せば、適性検査入試は国語力で逆転する余地が相対的に大きいということだ。ただし、そのことが入学後の学力分布の幅を大きくしている懸念がある。
適性検査?における作文の配点を下げるなどして、より国語の学力試験に近い出題にすれば、「作文番長」や「作文女番長」の合格比率が減り、大学進学実績が大幅に向上するかもしれない。難関大学進学実績ばかりに注目していては分かりにくいが、都立中は入学難易度と比較した「全体的な」進学実績が、相対的に見劣りする。つまり、中下位の都立中における校内学力中下位層の進学実績が芳しくない。
センター試験が大学入学新テストに移行しても、客観テストであることに根本的な変わりはないので、国公立大学で定員の8割以上をしめる一般入試の突破のために、あえて「作文番長」や「作文女番長」になる必要はない。むしろ、基盤となる学力を高めることに継続的に取組む方が圧倒的に有利である。
さて頌栄にもどるが、近年、入学難易度が高止まりしている。最大の理由は大学進学実績であろう。合格者数の他に進学者数をすべて開示しているところが自信の表れである。国公立大学と慶応大学にめっぽう強い。もちろん早稲田にも強い。
指定校推薦に慶應大学や早稲田大学などの難関大学が名を連ねるが、利用するのは毎年3人程度とのことだ。大学進学実績のほとんどが実力突破である。本物の進学校の証しだ。
大学入試改革など気にもかけていない。これまでの教育で十分以上に対応できると自信を見せる。むしろ、マスコミ報道などに右往左往しないようにと、生徒や保護者に伝えている。ますます本物の匂いがする。
教科担当者は、一部に記述が入ることで、国語などはむしろ難易度が下がると分析している。ますます共感する。教員の「本質を見抜く力」が高いということは、学習指導や進学指導にも安心できる。
センター試験に代わる新テストで、問題の難易度が下がることを危惧している。難易度の高い試験ほど、うちの生徒は真価を発揮すると息巻く。難関国公立大学や慶應大学に強いことがそれを証明している。
優秀な教員が生徒を鍛えるように、優秀な生徒が教員を鍛えるのかもしれない、と感じた。
難関都立中の併願校候補の一つに、いかがだろうか。