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三田学院

[2019年7月14日]

【都立中】御三家に残れるか、古豪両国

最新年度、小石川に大学合格実績で大きく水をあけられた両国。都立中御三家の地位に残れるのか、これから正念場を迎えることになろう。

近年、東部地区二番手の都立小松川高校の追撃が厳しく、大学合格実績で肉迫されつつある。東部地区トップ校の地位さえ、危うくなってきているのだ。

今後は、高校募集の停止で、高入生に含まれていた学力優秀者が、大学合格実績を稼いでくれなくなる。

一方で、中入生の募集人数を増やしただけでは、合格ラインは下がるだけで、学力優秀な生徒の絶対数は増えない。

授業スピードを上げただけで、大学合格実績が向上するほど、大学入試は甘くない。そのことは、やれ体系数学だ、やれニュー・トレジャーだと、声高に叫ぶ中堅や新興の私立中高一貫校の大学合格実績を見ればわかる。中学で先取りできない日比谷や戸山の背を見ることさえできないでいる。

高校募集の停止は、あまりにも進学校にふさわしくない生徒が、高校入試によって紛れ込むリスクを低減させることには有効だが、大学合格実績を向上させることには、必ずしも直結しない。

ただ、浪人を嫌う生徒の比率が多い傾向にある都立中高一貫生という視点からは、今後予想される授業スピードのアップは、いくらかの改善効果が期待できる。しかし、その副作用として「落ちこぼれ」を増やすリスクは高まる。都立中高一貫校において、特に中入生の落ちこぼれ問題は解決の糸口さえ見えておらず、中入生の募集人数を増やせば、今後さらに問題が深刻化する危険性すらある。

すでに6年一貫体制で実績を上げてきた小石川のように、これまで高入生を抱えてきた都立中高一貫校が、現場レベルにおいて真に6年一貫体制に完全に移行できるまでには、高校募集停止後にさらに年月が必要かもしれない。

その間に、小石川がさらに実績を伸ばし、短期的には実績の差が広がる可能性がある。

古豪両国は、真に復活を果たすことができるのか。

もう、小石川を追撃するような力は、ないのか?

高校募集の停止で、改めて問われることになろう。